“逆上”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
のぼ48.5%
のぼせ31.8%
あが7.2%
ぎゃくじょう4.5%
のぼせあが1.9%
ぎやくじやう1.5%
うわず0.8%
こみあ0.8%
とりのぼ0.8%
うはず0.4%
こみあが0.4%
さかあ0.4%
とりのぼせ0.4%
のぼぜ0.4%
ぼっ0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ここへ、台所と居間の隔てを開け、茶菓子を運んで、二階から下りたお源という、小柄こがらい島田の女中が、逆上のぼせたような顔色かおつき
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一瞬前の逆上のぼせが続いたら、何んなかたちになつて現れたか知れないが兎も角樽野は平穏な己れの姿を再び此処に見出さなかつたらう。
円卓子での話 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
賛之丞は、その途端に、血が逆上あがったように騒ぎ立って、裏木戸にいた七、八人といっしょに、土足で、母屋のまん中を駈けぬけた。
八寒道中 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とかく金に限らず、位置でも名誉でもおのれにするときは、油断をすれば逆上ぎゃくじょうしてこれを利用するを忘れてただ濫用らんようおちいりやすい。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「それでもまだ承知が出来ないのか。それじゃ仕様がない、降りよう。今何を言ッても解らない、逆上のぼせあがッているから」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
欺かんとは不屆至極ふとゞきしごくなりと叱付しかりつければ天一坊は莞爾くわんじと打笑ひ越前は逆上ぎやくじやうせしと見えたり此頃まで三百俵の知行なりしが三千石の高祿かうろくになり當時町奉行を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大きなおそなえに小さいおそなえ附着くっついてヤッサモッサを始める段になると、もう気が逆上うわずッて了い、丸呑まるのみにさせられたギゴチない定義や定理が、頭の中でしゃちこばって
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そうして独りでつくねんとして御飯を食べているのだと思って来るとむら/\と逆上こみあげて来て果ては、膳も茶碗も霞んで了う。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
こうわれたので、王子おうじあまりのかなしさに、逆上とりのぼせて、前後ぜんごかんがえもなく、とううえからびました。
まい、まいの逆上うはずつて、もののえるはのあるため、となんとかまをくすりを、まくらをかいもの、仰向あをむけに、かみしばつたなか點滴したゝらして、兩眼りやうがんを、めくらにした、とふのであります。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
種々いろんなことが逆上こみあがって、咽喉の奥ではむせぶような気がするのをじっこらえながら、表面うわべは陽気に面白可笑く、二人のいる前で、さっき言った
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
水底みなぞこどろ逆上さかあ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
何を申すも田舎者で、預り物が紛失ふんじつ致して少々逆上とりのぼせて居る様にも見受けますれば、お荷物に手を附けました段は重々恐れ入りますが何うか何も心得ません者と思召おぼしめ只管ひたすら御勘弁を
馬琴ばきんも歯が悪かった。「里見八犬伝」の終りに記されたのによると、「逆上のぼぜ口痛の患ひ起りしより、年五十に至りては、歯はみな年々にぬけて一枚もあらずなりぬ」
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
平常いつもはあまり眼に立たぬほどの切れの浅い二重瞼が少し逆上ぼっとなって赤く際だってしおれて見えた。睫毛が長くを霞めている。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)