“うわず”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
上釣25.0%
上澄16.7%
逆上16.7%
上吊8.3%
上摺8.3%
上滑8.3%
上辷8.3%
上逆8.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
伝六郎の声が次第に上釣うわずって涙声になって来た。満場ただ伝六郎の一人舞台になってシインとしかけているところへ、縁側の障子の西日の前に一人の小女こおんなの影法師がチョコチョコと出て来てひざまずいた。
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
上澄うわずみどころか、人生という盃から、柚子はおりよどみも、みな飲みほし、幸福な感情に包まれて死んだことがわかり、心に秘密を持っている娘というものは、どれほど忍耐強く、また
春雪 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
逆上うわずっているので更に気がつかぬようじゃったが、あの体のまま、手もそのまま、ただ腰を落しさえすれば、自然に杖の先が、相手の胸元へどんと伸びる……そこじゃと、思うたので
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこにもここにも、出発前の上吊うわずった声と、着物のれ合う音とがあった。騒乱の中から、さっきの荷物運搬人が現われて、予約してある寝台車へ私を救助した。
踊る地平線:10 長靴の春 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
お嘉代の調子は上摺うわずりました。
黒吉の声も、上滑うわずって、かすれていた。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
上辷うわずった声が、さっと、後ろへ退いたとき、庄次郎の丸ッこい体が、横ッ飛びに、原を駈けていた。だが、突き当りに、寺の垣があって、咄嗟とっさに越せなかった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とかすかに答えた千浪は血のおののきに上逆うわずって、男の手がふんわりと肩にからんだのもうつつであった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)