逆上のぼせあが)” の例文
「それでもまだ承知が出来ないのか。それじゃ仕様がない、降りよう。今何を言ッても解らない、逆上のぼせあがッているから」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
……魔物まものだ、おにわめいて、血相けつさうへてござる……うもところ、——うへ逆上のぼせあがらつしやるなよ——うやら取逆とりのぼせてさつしやるが、はて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
オホヽヽヽ養母おつかさん、逆上のぼせあがつてだけは取消にして、下ださい、外聞が悪いから——それや、狸々しやう/″\花吉と異名あだな取る程、酒をみますよ、俳優買やくしやかひでは毎々新聞屋の御厄介にもなりますよ、養母おつかさん
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
ナニ、心配することはない、たかの知れた馬鹿息子の言い草じゃ。しかし、ああいうやつが逆上のぼせあがると、どういうことをしでかすまいものでもない、まあ用心にくはなしと思うて、わしはよいことを
して貰ひけるが或時貴君あなたの御本宅は何方いづかたに候やときけば老女私は馬喰町二丁目米屋市郎左衞門と云ふ旅籠屋はたごや隱居いんきよなれどもをひが居る所は家内も大勢おほぜいことに客の有る時は百人も押込おしこむゆゑ逆上のぼせあがりて血の道もおこす程のさわなれば私ばかり物靜ものしづか消光度くらしたくと別宅致せしなりとのはなし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
逆上のぼせあがッた木戸番の口だらけにしたかおが見える而已のみで、何時いつ見ても変ッた事もなし。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)