逆上ぎやくじやう)” の例文
欺かんとは不屆至極ふとゞきしごくなりと叱付しかりつければ天一坊は莞爾くわんじと打笑ひ越前は逆上ぎやくじやうせしと見えたり此頃まで三百俵の知行なりしが三千石の高祿かうろくになり當時町奉行を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ハヽー少し逆上ぎやくじやうしてるやうぢやから、カルメロを一りんにヤーラツパを五ふん調合てうがふしてつかはすから、小屋こやかへつて一にちに三くわい割合わりあひ服薬ふくやくいたすがよい。
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
……ころしてなう、と逆上ぎやくじやうするうち、段々だん/\くはしくきますと、をんなが、不思議ふしぎひとふのをきらふ。めう姿すがたかくしたがるのは、の、われらばかりにはかぎらぬ樣子やうす
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
伜の甲子きね太郎はまだ二十そこ/\の若い男で、武家の匂ひもない町人風ですが、一人の親をうしなつて逆上ぎやくじやうしたものか、眼は血走り、唇もわなゝき言ふことはこと/″\くしどろもどろでした。
ひとかな失禮しつれいながら貴殿は未だ御若年ごじやくねんで有りながら御見請申せば餘程よほど逆上ぎやくじやう今の間に御療治なければ行末ゆくすゑ御案事おあんじ申なりと取ても付ぬ挨拶あいさつに千太郎は身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あれ罷出まかりいでましたが、これも強く逆上ぎやくじやういたしがかすみ、あたまに熱をち、カツカといたしてたまらぬなどまうしてをりまする、それ可愛想かあいそうなのは大原伊丹おほはらいたみで、あれ到頭たうとう生体しやうたいなしで夢中むちゆうります。
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)