逆上とりのぼ)” の例文
こうわれたので、王子おうじあまりのかなしさに、逆上とりのぼせて、前後ぜんごかんがえもなく、とううえからびました。
見れば丑松はすこし逆上とりのぼせた人のやうに、同僚の前にひざまづいて、恥の額を板敷の塵埃ほこりの中に埋めて居た。深い哀憐あはれみの心は、可傷いたましい光景ありさまを見ると同時に、銀之助の胸をいて湧上わきあがつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)