“可傷”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いたま45.0%
いたはし10.0%
いたまし10.0%
いたいた5.0%
あはれ5.0%
いたは5.0%
いたわ5.0%
いじら5.0%
いた5.0%
いたむべし5.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
服装みなりなども立派に成った。しかし以前の貧乏な時代よりは、今日の方が幸福しあわせであるとは、先生の可傷いたましい眼付が言わなかった。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
牛乳など飮ますと直ぐ鼻からタラ/\と流れ出るさうした敏雄も可傷いたはしさの限りだけれど、父の心痛をまのあたりに見るのはどんなに辛いことか、氣の毒でとても筆にも言葉にもあらはせない、兄さん
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
上らぬ枕を取交えた、括蒲団くくりぶとんいちが沈んで、後毛おくれげの乱れさえ、一入ひとしお可傷いたましさに、お蔦は薄化粧さえしているのである。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それまで彼女は激しい季候を防ぐものもなしに、よく途中から寒い雨にれて来て、その可傷いたいたしさが岸本には見ていられなかったからで。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ゆびさし乍ら熟柿じゆくしくさ呼吸いきを吹いた。敬之進は何処かで飲んで来たものと見える。指された少年の群は一度にどつと声を揚げて、自分達の可傷あはれな先生を笑つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
敬之進の病気、継母の家出、そんなこんなが一緒に成つて、一層ひとしほお志保の心情を可傷いたはしく思はせる。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
姉さんだってもそうでしょう、弱い弱いで、可傷いたわられるうちに、今では最早真実ほんとに弱い人です。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あんまりお心が可傷いじらしい、さまでに思召すその毬唄は、その内時節が参りますと、自然にお耳へ入りましょう!
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……撫肩なでがたに重荷に背負って加賀笠を片手に、うなだれて行くほっそり白い頸脚えりあしも、歴然ありあり目に見えて、可傷いた々々しい。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
踏躙ふみにじ気勢けはいがすると、袖のもつれ衣紋えもんの乱れ、波にゆらるゝかと震ふにつれて、あられの如く火花にて、から/\と飛ぶは、可傷いたむべし引敷ひっしかれとげを落ちて、血汐ちしおのしぶく荊の実。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)