“歴然”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ありあり36.2%
れきぜん21.3%
れっき14.9%
あり/\12.8%
くつきり4.3%
れつき4.3%
ちやん2.1%
はっきり2.1%
まざまざ2.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
浦子は辛うじて蚊帳の外に、障子の紙に描かれた、胸白き浴衣の色、腰の浅葱あさぎも黒髪も、夢ならぬその我が姿を、歴然ありありと見たのである。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
修復しゆふく度毎たびごと棟札むねふだあり、今猶歴然れきぜんそんす。毘沙門の御丈みたけ三尺五六寸、往古わうご椿沢つばきざはといふ村に椿の大樹たいじゆありしを伐て尊像そんざうを作りしとぞ。作名さくめいつたはらずときゝぬ。
酒井俊蔵と云う父親と、歴然れっきとした、謹(夫人の名。)と云う母親が附いている妙の縁談を、門附風情が何を知って、周章あわてなさんな。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
文章の点は如何どうかと思ふが、内容から言ふと紅葉氏より、良い。……青春を読むと、歴然あり/\と明治現代の青年男女の傾向が見えて来るではないか。
未亡人と人道問題 (新字旧仮名) / 二葉亭四迷(著)
豐かな洗髮を肩から背に波打たせて、ぢつと川原に目を落して、これも烈しく胸を騷がせてゐる智惠子の歴然くつきりと白い横顏を、吉野は不思議な花でも見る樣に眺めてゐた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
それに近頃東京から赴任した生意気な某とは何だ。天下に某と云ふ名前の人があるか考へて見ろ。是でも歴然れつきとした姓もあり名もあるんだ。
坊っちやん (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「いや、さうですか。でも、新聞には歴然ちやんとさう出てゐましたよ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
障子の把手にも歴然はっきりと血の手形が付いていた。
黒服の怪物は中腰になつてその函をどうかしてゐるのであるが、幻はやがて彼の黒服を通して、且つは彼の肉体を通して、彼の手と函との関係を歴然まざまざと透視させた。
公判 (新字旧仮名) / 平出修(著)