“ありあり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
歴々61.0%
歴然22.1%
明白2.6%
瞭々2.6%
在々1.3%
明々1.3%
明々地1.3%
明々白々1.3%
明歴1.3%
明瞭1.3%
現々1.3%
現然1.3%
顕然1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
……もちろんその詳細な内容は遠からず貴方の眼の前に、歴々ありありと展開致して来る事と存じますから、ここには説明致しませぬが……
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
満願寺屋まんがんじや水神すいじん騒ぎの一件か、それとも、ことによったらいろはがるたの——ではあるまいか、ともう歴然ありありと持ち前の気負いを見せて来るのだ。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
彼地あちらに行っても面白くないから、それで、またしても戻って来たのだが、斯うしていても、あの年齢を取った、血気ちのけのない、悧巧そうな顔が、明白ありありと眼に見える。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
老婆は私がうするかと思って、冷かに睨んでいるのが瞭々ありありと分った。
老婆 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ありゃマシュースだ」スパイダーの顔には在々ありありと恐怖の色が現われた。
赤い手 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
三日月みかづきなりにってある、にいれたいくらいのちいさなつめを、母指おやゆび中指なかゆびさきつまんだまま、ほのかな月光げっこうすかした春重はるしげおもてには、得意とくいいろ明々ありありうかんで
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
眼のふちには泣きただらしたあとの残っているのが明々地ありありと解る。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
半平の奇怪な言葉に、ひとすじの偽りもないことは、明々白々ありありあらわれている。すべてを観察して、神の使者は、うちうなずき
現代忍術伝 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
種々いろいろに変って、此方こちらの眼に映った眉毛、目元口付、むっちりとした白い掌先てさき、くゝれの出来た手首などが明歴ありありと浮き上って忘れられない。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
静子の目には、兄と清子の間に遠慮が明瞭ありありと見えた。清子は始終敬虔つつましくしてゐたが、一度信吾と並んで坐つた時、いかにも極悪気きまりわるげであつた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
それでは本栖湖のその水城こそは纐纈城ではあるまいか? ……それに自分の持っているこの紅巾へ現々ありありとかつて父上の御名があらわれ、しかも謹製と頭に大きく
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と云いながら見れば、四分板六分板の切れ端を積んで現然ありありと真似び建てたる五重塔、思わず母親涙になって、おお好い児ぞと声曇らし、いきなり猪之にいだきつきぬ。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)