明白ありあり)” の例文
その時も私の方から、御褒め申せば、もう何よりの御機嫌で、羽翅はがいひろげるように肩を高くなすって、御喜悦およろこびは鼻の先にも下唇にも明白ありあり見透みえすきましたのです。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼地あちらに行っても面白くないから、それで、またしても戻って来たのだが、斯うしていても、あの年齢を取った、血気ちのけのない、悧巧そうな顔が、明白ありありと眼に見える。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
ことに寝起の時の御顔色は、いつすこし青ざめて、老衰おいおとろえた御様子が明白ありありと解りました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)