“あり/\”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
歴々57.6%
歴然18.2%
明々6.1%
明白3.0%
在々3.0%
明瞭3.0%
現々3.0%
現然3.0%
顕々3.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と云へる有様の歴々あり/\と目前に現はれ、しかもせふの位置に立ちて、の言葉を口にしようし、りようをしてつひ辟易へきえきせしめぬ。
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
みづつて、さつあみ乗出のりだしてひろげたなかへ、天守てんしゆかげが、かべ仄白ほのじろえるまで、三重さんぢうあたりをこずゑかこまれながら、歴然あり/\うつつてた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
瞑目めいもくせる梅子の心中には、今日しも上野公園にて、はからずも邂逅かいこうせる篠田の面影おもかげ明々あり/\と見ゆるなり、再昨年さいさくねんの春の夜始めて聴きたる彼の説教は、朗々と響くなり、彼を思うて人知れず絞れる生命いのちの涙
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
屠手として是処に使役つかはれて居る壮丁わかものは十人ばかり、いづれまがひの無い新平民——殊に卑賤いやしい手合と見えて、特色のある皮膚の色が明白あり/\と目につく。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
強い意志を刻んだやうな其大な額——いよ/\高く隆起とびだした其頬の骨——殊に其眼は一種の神経質な光を帯びて、悲壮な精神こゝろ内部なか明白あり/\と映して見せた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
茂之助が柄杓で水を飲んで居るうち、夕立もれてたちまちに雲が切れると、十七日の月影が在々あり/\します。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
靜子の目には、兄と清子の間に遠慮が明瞭あり/\と見えた。清子は始終敬虔つゝましくしてゐたが、一度信吾と並んで坐つた時、いかにも極り惡氣であつた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
こらへて居る中すで寅刻なゝつかねも聞え月はこずゑの間にあらはれ木の間/\も現々あり/\茶店さてんの中まで見えすくゆゑ安五郎は不※ふと此方こなた
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と云ひながら見れば、四分板六分板の切端を積んで現然あり/\と真似び建てたる五重塔、思はず母親涙になつて、おゝ好い児ぞと声曇らし、いきなり猪之に抱きつきぬ。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
彼の所謂いはゆる「幸福な幻影」が彼の目の前に顕々あり/\と描きいだされた。
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)