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歴々
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あり/\
ふりがな文庫
“
歴々
(
あり/\
)” の例文
別れて帰る時に、丁寧に草津から伊香保の方へ出て行く路をその父親は教へて呉れたが、その親切は今だにKの頭に
歴々
(
あり/\
)
と思ひ出されて来た。
田舎からの手紙
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
と云へる有様の
歴々
(
あり/\
)
と目前に現はれ、しかも
妾
(
せふ
)
は
禹
(
う
)
の位置に立ちて、
禹
(
う
)
の言葉を口に
誦
(
しよう
)
し、
龍
(
りよう
)
をして
遂
(
つひ
)
に
辟易
(
へきえき
)
せしめぬ。
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
すると思ひがけなく、その切符には彼自身の切符と同じく、△△△から東京迄と云ふ字が、
歴々
(
あり/\
)
と読まれたのである。
海の中にて
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
その地肌の上に
歴々
(
あり/\
)
と大きな足袋裸足の跡と思われる型が、石子刑事を嘲けるように二つ並んでついていた。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
其
(
そ
)
の
雪
(
ゆき
)
より
白
(
しろ
)
く、
透通
(
すきとほ
)
る
胸
(
むね
)
に、すや/\と
息
(
いき
)
を
引
(
ひ
)
いた、
肺
(
はい
)
を
病
(
なや
)
むだ
美女
(
たをやめ
)
の
臨終
(
いまは
)
の
状
(
さま
)
が、
歴々
(
あり/\
)
と、あはれ、
苦
(
くる
)
しいむなさきの、
襟
(
ゑり
)
の
乱
(
みだ
)
れたのさへ
偲
(
しの
)
ばるゝではないか。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
何
(
なん
)
だか、
隔
(
へだて
)
の
或物
(
あるもの
)
を
撤
(
てつ
)
して、
直接
(
ぢか
)
に
私
(
わたし
)
に
接
(
せつ
)
して
見
(
み
)
やうとする
様子
(
やうす
)
が、
歴々
(
あり/\
)
と
素振
(
そぶり
)
に
見
(
み
)
える。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
犯人がわからないばかりでなく、何の目的で選り拔きの美しい娘ばかり殺すのか、
皆暮
(
かいく
)
れ見當も付かないのです。その上死體は、洗ひ落してはあるが、
歴々
(
あり/\
)
と全身に
金箔
(
きんぱく
)
を置いた
跡
(
あと
)
があります。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
先
(
ま
)
ア見たまえそれ血の文字が
歴々
(
あり/\
)
と残ッて居る
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
通つて来た長い間の人生のあとが、眉にも、額にも、髪にも、姿にも
歴々
(
あり/\
)
とあらはれて見えた。私は悲しい気がした。
ある日
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
が、チラリと美奈子の顔を見た眼には美奈子の少女らしい優しい好意に対する感謝の情が、
歴々
(
あり/\
)
と動いてゐた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
現在
(
げんざい
)
、
居
(
ゐ
)
るのに、
看護婦
(
かんごふ
)
さんにも、
誰
(
だれ
)
の
目
(
め
)
にも
遮
(
さへぎ
)
りません……
何
(
ど
)
うかすると、
看護婦
(
かんごふ
)
さんの
白
(
しろ
)
い
姿
(
すがた
)
が、
澄
(
す
)
まして、
其
(
そ
)
の
女性
(
をんな
)
の、
衣服
(
きもの
)
の
中
(
なか
)
を
歴々
(
あり/\
)
と
拔
(
ぬ
)
けて
歩行
(
ある
)
いたんです。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
取逃がした日の事が
歴々
(
あり/\
)
と思い出されて、それからの苦しい四晩の徹夜、それから今日までの苦心の数々が、なんだか遠い昔から続いているように石子刑事に思われたのだった。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
『うむ、ちよつとお詣して来た。もう度々来るには来たんだけども——』かう言つた正木の眼には、さつき汽船から上つてからのことが
歴々
(
あり/\
)
と浮んで来た。
船路
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
所詮
(
しよせん
)
が
嵩
(
かう
)
じて、
眞暗
(
まつくら
)
がり。
我
(
わ
)
が
掌
(
てのひら
)
は
見
(
み
)
えいでも、
歴々
(
あり/\
)
と、
影
(
かげ
)
は
映
(
うつ
)
る、
燈
(
あかり
)
を
消
(
け
)
しても
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
で。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
さう思ふと、信一郎の瞳にあざやかな夫人の姿が、
歴々
(
あり/\
)
と浮かんで来た。彼は一刻も早く、夫人に逢ひたくなつた。其処へ、彼のさうした決心を促すやうに、九段両国行きの電車が、
軋
(
きし
)
つて来た。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
下野國志に、室の八島の夕暮の炊煙に包まれたさまを描いた揷繪が一枚入つてあるが、それを見ると、昔の旅行のさまが
歴々
(
あり/\
)
と私の眼の前に浮んで見えるやうな氣がした。
日光
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
況
(
ま
)
して
此
(
こ
)
の
水上
(
みなかみ
)
は、
昨日
(
きのふ
)
孤家
(
ひとつや
)
の
婦人
(
をんな
)
と
水
(
みづ
)
を
浴
(
あ
)
びた
処
(
ところ
)
と
思
(
おも
)
ふと、
気
(
き
)
の
精
(
せい
)
か
其
(
そ
)
の
女瀧
(
めだき
)
の
中
(
なか
)
に
絵
(
ゑ
)
のやうな
彼
(
か
)
の
婦人
(
をんな
)
の
姿
(
すがた
)
が
歴々
(
あり/\
)
、と
浮
(
う
)
いて
出
(
で
)
ると
巻込
(
まきこ
)
まれて、
沈
(
しづ
)
んだと
思
(
おも
)
ふと
又
(
また
)
浮
(
う
)
いて
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と絶叫した青年の面影が、又
歴々
(
あり/\
)
と浮かんで来た。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
かの女の顔にも艱難を経て来たもののみが知ることの出来る恋の満足が
歴々
(
あり/\
)
と覗かれた。
山間の旅舎
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
あでやかな
顏
(
かほ
)
は
目前
(
めさき
)
に
歴々
(
あり/\
)
と
見
(
み
)
えて、ニツと
笑
(
わら
)
ふ
涼
(
すゞし
)
い
目
(
め
)
の、うるんだ
露
(
つゆ
)
も
手
(
て
)
に
取
(
と
)
るばかり、
手
(
て
)
を
取
(
と
)
らうする、と
何
(
なん
)
にもない。
掌
(
たなそこ
)
に
障
(
さは
)
つたのは
寒
(
さむ
)
い
旭
(
あさひ
)
の
光線
(
くわうせん
)
で、
夜
(
よ
)
はほの/″\と
明
(
あ
)
けたのであつた。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
続いて停車場にかけてある大きな女の額が不思議にも私の眼に
歴々
(
あり/\
)
と見えて来た。
百日紅
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
なげき
踠
(
もが
)
いた苦悶の子といふことが
歴々
(
あり/\
)
と解る。
文壇一夕話
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
歴
常用漢字
小5
部首:⽌
14画
々
3画
“歴々”で始まる語句
歴々方
歴々銀鈎指下生