海の中にてうみのなかにて
二人の生活は、八月に入つてから、愈々困憊の極に達して居た。来る日も、来る日も彼等の生活は陰惨な影に閉ざされて居た。 敬吉には、おくみの存在が現在の暗いじめ/\とした世界と、明るい晴々とした自由な世界とを、遮ぎつて居る障壁のやうに、思はれる日 …