“脱出”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぬけだ76.7%
だっしゅつ10.0%
エスケープ3.3%
にげだ3.3%
のがれだ3.3%
はずれ3.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「わたし何だか急に来て見たくなつて、そつ脱出ぬけだして来たの。まさかこんなに遠い処とは思はないでせう、来てみて驚いてしまつたわ。」
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
伊那丸いなまる龍太郎りゅうたろう外濠そとぼりをわたって、脱出だっしゅつしたのを、やがて知った浜松城の武士たちは、にわかに、追手おってを組織して、入野いりぬせきへはしった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この二人の小さな中学生は、今日学校を脱出エスケープしたのです。というのは、この学校では八時の開講時間が一分遅れても、門をがたんと閉めて生徒を入れないほど万事やかましい学校でした。
遠くから眺めてゐると、自分の脱出にげだして来た家に火事が起つて、見る見る燃え上がるのを、暗い山の上から瞰下みおろすやうな心持があつた。今思つてもその心持が忘られない。
弓町より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
紙帳から脱出のがれだすことなど、何んでもなかったのであろうが、次から次と——部屋の間違い、気絶、斬り合いの叫喚さけび、次から次と起こって来た事件のため、さすがの彼女も心を顛倒てんとうさせていた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
智慧ちえの深そうな目の御色も時によると朦朧どんより潤みをって、疲れ沈んで、物を凝視みつめる力も無いという風に変ることが有ました。私は又た旦那様のあごから美しく白く並んだ御歯が脱出はずれるのを見かけました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)