竹久夢二
1884.09.16 〜 1934.09.01
“竹久夢二”に特徴的な語句
思
山
時
白
空
日
見
窓
蜻蛉
赤
夢
夜
身
青
風
泣
路
花
降
黒
鶴
指
何
頬
子
仰言
家
爺
可愛
雨
雪
鳥
眼
好
田舎
熊
涙
世
暮
髪
歌
逢
人
手
女
悲
実
膝
兎
児
著者としての作品一覧
朝(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
ある春の朝でした。 太陽は、いま薔薇色の雲をわけて、小山のうえを越える所でした。小さい子供は、白い小さい床の中で、まだ眠って居りました。 「お起き、お起き」柱に掛った角時計が言いま …
読書目安時間:約3分
ある春の朝でした。 太陽は、いま薔薇色の雲をわけて、小山のうえを越える所でした。小さい子供は、白い小さい床の中で、まだ眠って居りました。 「お起き、お起き」柱に掛った角時計が言いま …
ある眼(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
「あんな娘をどこが好いんだ、と訊かれると、さあ、ちよつと一口に言へないが」さう云つて、画家のAは話し出した。 彼女はただ普通のモデル娘として、私の画室に通つてきてゐたのです。私も特 …
読書目安時間:約3分
「あんな娘をどこが好いんだ、と訊かれると、さあ、ちよつと一口に言へないが」さう云つて、画家のAは話し出した。 彼女はただ普通のモデル娘として、私の画室に通つてきてゐたのです。私も特 …
大きな蝙蝠傘(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
それはたいそう大きな蝙蝠傘でした。 幹子は、この頃田舎の方から新しくこちらの学校へ入ってきた新入生でした。髪の形も着物も、東京の少女に較べると、かなり田舎染みて見えました。けれど、 …
読書目安時間:約3分
それはたいそう大きな蝙蝠傘でした。 幹子は、この頃田舎の方から新しくこちらの学校へ入ってきた新入生でした。髪の形も着物も、東京の少女に較べると、かなり田舎染みて見えました。けれど、 …
大きな手(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
ある郊外、少女Aと少女Bの対話 Aまあ、あなたの手は綺麗なお手ねえ。白くって、細くって、そしてまあこの柔かいこと。マリア様のお手のようだわ。 Bそうでしょうか? Aあら、あなたはそ …
読書目安時間:約4分
ある郊外、少女Aと少女Bの対話 Aまあ、あなたの手は綺麗なお手ねえ。白くって、細くって、そしてまあこの柔かいこと。マリア様のお手のようだわ。 Bそうでしょうか? Aあら、あなたはそ …
おさなき灯台守(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
この物語はさほど遠い昔のことでは無い。 北の海に添うたある岬に燈台があった。北海の常として秋口から春先へかけて、海は怒ったように暴狂い、波の静かな日は一日も無かった。とりわけこの岬 …
読書目安時間:約4分
この物語はさほど遠い昔のことでは無い。 北の海に添うたある岬に燈台があった。北海の常として秋口から春先へかけて、海は怒ったように暴狂い、波の静かな日は一日も無かった。とりわけこの岬 …
玩具の汽缶車(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
お庭の木の葉が、赤や菫にそまったかとおもっていたら、一枚散り二枚落ちていって、お庭の木はみんな、裸体になった子供のように、寒そうに手をひろげて、つったっていました。 つづれさせさせ …
読書目安時間:約5分
お庭の木の葉が、赤や菫にそまったかとおもっていたら、一枚散り二枚落ちていって、お庭の木はみんな、裸体になった子供のように、寒そうに手をひろげて、つったっていました。 つづれさせさせ …
風(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
風が、山の方から吹いて来ました。学校の先生がお通りになると、街で遊んでいた生徒達が、みんなお辞儀をするように、風が通ると、林に立っている若い梢も、野の草も、みんなお辞儀をするのでし …
読書目安時間:約3分
風が、山の方から吹いて来ました。学校の先生がお通りになると、街で遊んでいた生徒達が、みんなお辞儀をするように、風が通ると、林に立っている若い梢も、野の草も、みんなお辞儀をするのでし …
クリスマスの贈物(新字新仮名)
読書目安時間:約6分
「ねえ、かあさん」 みっちゃんは、お三時のとき、二つ目の木の葉パンを半分頬ばりながら、母様にいいました。 「ねえ、かあさん」 「なあに、みっちゃん」 「あのね、かあさん。もうじきに …
読書目安時間:約6分
「ねえ、かあさん」 みっちゃんは、お三時のとき、二つ目の木の葉パンを半分頬ばりながら、母様にいいました。 「ねえ、かあさん」 「なあに、みっちゃん」 「あのね、かあさん。もうじきに …
コドモノスケッチ帖:動物園にて(新字旧仮名)
読書目安時間:約7分
太郎「鶴がカアカアつて啼いてるの、あれ泣いてるんですか、おぢさん」 おぢさん「泣てるんぢやない、うれしくて歌つてるんです。ほらあの雄の鶴がカアつていうとすぐ雌の鶴がカアカアつていう …
読書目安時間:約7分
太郎「鶴がカアカアつて啼いてるの、あれ泣いてるんですか、おぢさん」 おぢさん「泣てるんぢやない、うれしくて歌つてるんです。ほらあの雄の鶴がカアつていうとすぐ雌の鶴がカアカアつていう …
最初の悲哀(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
街子の父親は、貧しい町絵師でありました。五月幟の下絵や、稲荷様の行燈や、ビラ絵を描いて、生活をしているのでありました。しかし、街子はたいそう幸福でした。というのは、父親は街子を、こ …
読書目安時間:約2分
街子の父親は、貧しい町絵師でありました。五月幟の下絵や、稲荷様の行燈や、ビラ絵を描いて、生活をしているのでありました。しかし、街子はたいそう幸福でした。というのは、父親は街子を、こ …
桜さく島:春のかはたれ(新字旧仮名)
読書目安時間:約4分
暮れゆく春のかなしさは 歌ふをきけや爪弾の 「おもひきれとは死ねとの謎か 死ぬりや野山の土となる」 「春信」の 女の髪をすべりたる 黄楊の小櫛か 月の影。 「どうせ売られる身ぢやほ …
読書目安時間:約4分
暮れゆく春のかなしさは 歌ふをきけや爪弾の 「おもひきれとは死ねとの謎か 死ぬりや野山の土となる」 「春信」の 女の髪をすべりたる 黄楊の小櫛か 月の影。 「どうせ売られる身ぢやほ …
桜さく島:見知らぬ世界(新字旧仮名)
読書目安時間:約7分
青い野原のなかを、白い路がながく/\つヾいた。 母とも姉とも乳母とも、いまはおぼえもない。 おぶさつたその女が泣くので、私もさそはれてわけはしらずに、ほろ/\泣いてゐた。 女の肩に …
読書目安時間:約7分
青い野原のなかを、白い路がながく/\つヾいた。 母とも姉とも乳母とも、いまはおぼえもない。 おぶさつたその女が泣くので、私もさそはれてわけはしらずに、ほろ/\泣いてゐた。 女の肩に …
少年・春(新字新仮名)
読書目安時間:約15分
「い」とあなたがいうと 「それから」と母様は仰言った。 「ろ」 「それから」 「は」 あなたは母様の膝に抱っこされて居た。そとでは凩が恐しく吼え狂うので、地上のありとあらゆる草も木 …
読書目安時間:約15分
「い」とあなたがいうと 「それから」と母様は仰言った。 「ろ」 「それから」 「は」 あなたは母様の膝に抱っこされて居た。そとでは凩が恐しく吼え狂うので、地上のありとあらゆる草も木 …
砂がき(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1時間28分
十字架 ”神は彼を罰して 一人の女性の手に わたし給へり” ああ、 わが負へる 白き十字架。 わが負へる柔き十字架。 人も見よ。 わが負へる美しき十字架。 心飢ゆ ひもじいと言つて …
読書目安時間:約1時間28分
十字架 ”神は彼を罰して 一人の女性の手に わたし給へり” ああ、 わが負へる 白き十字架。 わが負へる柔き十字架。 人も見よ。 わが負へる美しき十字架。 心飢ゆ ひもじいと言つて …
先生の顔(新字新仮名)
読書目安時間:約6分
それは火曜日の地理の時間でした。 森先生は教壇の上から、葉子が附図の蔭にかくれて、ノートへ戯書をしているのを見つけた。 「葉子さん、そのノートを持ってここへお出でなさい」不意に森先 …
読書目安時間:約6分
それは火曜日の地理の時間でした。 森先生は教壇の上から、葉子が附図の蔭にかくれて、ノートへ戯書をしているのを見つけた。 「葉子さん、そのノートを持ってここへお出でなさい」不意に森先 …
たどんの与太さん(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
「なんだってお寺の坊さんは、ぼくに與太郎なんて名前をつけてくれたんだろう」 と、與太郎は考えました。 「飴のなかから與太さんが出たよ」街の飴屋の爺さんが、そう節をつけて歌いながら大 …
読書目安時間:約5分
「なんだってお寺の坊さんは、ぼくに與太郎なんて名前をつけてくれたんだろう」 と、與太郎は考えました。 「飴のなかから與太さんが出たよ」街の飴屋の爺さんが、そう節をつけて歌いながら大 …
誰が・何時・何処で・何をした(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
二人の小さな中学生が、お茶の水橋の欄干にもたれて、じっと水を見ていました。 「君、この水はどこへ往くんだろうね」 「海さ」 「そりゃ知ってるよ。だけど何川の支流とか、上流とか言うじ …
読書目安時間:約10分
二人の小さな中学生が、お茶の水橋の欄干にもたれて、じっと水を見ていました。 「君、この水はどこへ往くんだろうね」 「海さ」 「そりゃ知ってるよ。だけど何川の支流とか、上流とか言うじ …
どんたく:絵入り小唄集(新字旧仮名)
読書目安時間:約15分
こはわが少年の日のいとしき小唄なり。 いまは過ぎし日のおさなきどちにこのひとまきをおくらむ。 お花よ、お蝶よ、お駒よ、小春よ。太郎よ、次郎よ、草之助よ。げに御身たちはわがつたなき草 …
読書目安時間:約15分
こはわが少年の日のいとしき小唄なり。 いまは過ぎし日のおさなきどちにこのひとまきをおくらむ。 お花よ、お蝶よ、お駒よ、小春よ。太郎よ、次郎よ、草之助よ。げに御身たちはわがつたなき草 …
人形物語(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
あるちいさな女の児と、大きな人形とが、ある日お花さんのおうちをたずねました。 ところがその女の児は、それはもうほんとに、ちいさな女の児で、その人形はまた、それはそれはすばらしい大き …
読書目安時間:約2分
あるちいさな女の児と、大きな人形とが、ある日お花さんのおうちをたずねました。 ところがその女の児は、それはもうほんとに、ちいさな女の児で、その人形はまた、それはそれはすばらしい大き …
博多人形(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
お磯は、可愛い博多人形を持っていました。その人形は、黒い眼と薔薇色の頬を持った、それはそれは可愛らしい人形でありましたから、お磯はどの人形よりも可愛がっていました。どこへゆく時にも …
読書目安時間:約4分
お磯は、可愛い博多人形を持っていました。その人形は、黒い眼と薔薇色の頬を持った、それはそれは可愛らしい人形でありましたから、お磯はどの人形よりも可愛がっていました。どこへゆく時にも …
はしがき(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
少年達のため挿絵をかきながら、物語の方も自分でかいて見ようと思立って、その頃まだ私の手許から小学校へ通っていた子供をめやすにかいたのが巻頭の数篇です。中学へ通うようになった時、「誰 …
読書目安時間:約1分
少年達のため挿絵をかきながら、物語の方も自分でかいて見ようと思立って、その頃まだ私の手許から小学校へ通っていた子供をめやすにかいたのが巻頭の数篇です。中学へ通うようになった時、「誰 …
春(新字新仮名)
読書目安時間:約7分
時 ある春の晴れた朝 所 花咲ける丘 人物 少年(十三歳位) 少女(十一二歳) 先生(小学教師) 猟人(若き遊猟家) 兎(十二三歳少女扮装) 舞台は、桜の花など咲いた野外が好ましい …
読書目安時間:約7分
時 ある春の晴れた朝 所 花咲ける丘 人物 少年(十三歳位) 少女(十一二歳) 先生(小学教師) 猟人(若き遊猟家) 兎(十二三歳少女扮装) 舞台は、桜の花など咲いた野外が好ましい …
日輪草:日輪草は何故枯れたか(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
三宅坂の水揚ポンプのわきに、一本の日輪草が咲いていました。 「こんな所に日輪草が咲くとは、不思議じゃあありませんか」 そこを通る人達は、寺内将軍の銅像には気がつかない人でさえ、きっ …
読書目安時間:約4分
三宅坂の水揚ポンプのわきに、一本の日輪草が咲いていました。 「こんな所に日輪草が咲くとは、不思議じゃあありませんか」 そこを通る人達は、寺内将軍の銅像には気がつかない人でさえ、きっ …
秘密(新字旧仮名)
読書目安時間:約5分
一体世の中に、何故?ときかれて、何となればと答の出来る様なことは、ごくつまらない事に違ひない。 机にも脚が四本ある、犬にも足が四本ある。何故、犬には歩けて、机には歩けないか? こん …
読書目安時間:約5分
一体世の中に、何故?ときかれて、何となればと答の出来る様なことは、ごくつまらない事に違ひない。 机にも脚が四本ある、犬にも足が四本ある。何故、犬には歩けて、机には歩けないか? こん …
街の子(新字新仮名)
読書目安時間:約6分
それは、土曜日の晩でした。 春太郎は風呂屋から飛んで帰りました。春太郎が、湯から上って着物をきていると、そこの壁の上にジャッキイ・クウガンが、ヴァイオリンを持って、街を歩いている絵 …
読書目安時間:約6分
それは、土曜日の晩でした。 春太郎は風呂屋から飛んで帰りました。春太郎が、湯から上って着物をきていると、そこの壁の上にジャッキイ・クウガンが、ヴァイオリンを持って、街を歩いている絵 …
都の眼(新字新仮名)
読書目安時間:約9分
留吉は稲田の畦に腰かけて遠い山を見ていました。いつも留吉の考えることでありましたが、あの山の向うに、留吉が長いこと行って見たいと思っている都があるのでした。 そこには天子様のお城が …
読書目安時間:約9分
留吉は稲田の畦に腰かけて遠い山を見ていました。いつも留吉の考えることでありましたが、あの山の向うに、留吉が長いこと行って見たいと思っている都があるのでした。 そこには天子様のお城が …
夜(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
日が暮れて子供達が寝床へゆく時間になったのに、幹子は寝るのがいやだと言って、お母様を困らせました。 「さあ、みっちゃんお寝みなさいな。雛鳥ももうみんな寝んねしましたよ」 お母様は、 …
読書目安時間:約2分
日が暮れて子供達が寝床へゆく時間になったのに、幹子は寝るのがいやだと言って、お母様を困らせました。 「さあ、みっちゃんお寝みなさいな。雛鳥ももうみんな寝んねしましたよ」 お母様は、 …
“竹久夢二”について
竹久 夢二(たけひさ ゆめじ、1884年〈明治17年〉9月16日 - 1934年〈昭和9年〉9月1日)は、日本の画家・詩人。本名:竹久 茂次郎(たけひさ もじろう)。
(出典:Wikipedia)
(出典:Wikipedia)
“竹久夢二”と年代が近い著者
きょうが誕生日(1月1日)
きょうが命日(1月1日)
今村明恒(1948年)
今月で生誕X十年
今月で没後X十年
今年で生誕X百年
箕作秋坪(生誕200年)