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脱出
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ぬけだ
ふりがな文庫
“
脱出
(
ぬけだ
)” の例文
「わたし何だか急に来て見たくなつて、
私
(
そつ
)
と
脱出
(
ぬけだ
)
して来たの。まさかこんなに遠い処とは思はないでせう、来てみて驚いてしまつたわ。」
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「出た者は一人も無かつた筈です。でも若い人達は時々夜遊びに出かけますから、時々はそつと
脱出
(
ぬけだ
)
すやうで、私共にはよくわかりません」
銭形平次捕物控:275 五月人形
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それから十四の
年
(
とし
)
にO市の感化院を
脱出
(
ぬけだ
)
して無一文で女郎買いに行った。ドッチも喜ぶ話だから多分、
無料
(
ただ
)
だろうと思って行ったのが一生のアヤマリ。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
便利あり、利益ある方面に向って
脱出
(
ぬけだ
)
した跡には、この地のかかる俤が、
空蝉
(
うつせみ
)
になり
脱殻
(
ぬけがら
)
になって
了
(
しま
)
うのである。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼が
脱出
(
ぬけだ
)
して来た小屋を沢庵は知っていた。又八の耳たぶを持ちながら、沢庵は小者たちの寝ている所を
覗
(
のぞ
)
き
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
是から人の
引込
(
ひっこ
)
むまでと有助は身を
潜
(
かゞ
)
めて居りますと、上野の
丑刻
(
やつ
)
の鐘がボーン/\と聞える、そっと
脱出
(
ぬけだ
)
して
四辺
(
あたり
)
を見廻すと、
仲間衆
(
ちゅうげんしゅう
)
の歩いている様子も無いから
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
或る晩の事、自分は相變らず、
密
(
そつ
)
と
家
(
うち
)
を
脱出
(
ぬけだ
)
して、門の外まで出ると
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
敬吉一人を頼りにして、故郷を
脱出
(
ぬけだ
)
して、下宿屋の汚い部屋で、今迄惨じめな、苦しい生活を忍んで来たのが、敬吉に帰国を迫られた為到頭死を覚悟した女の心持が、敬吉の頭の中へ力強く反映した。
海の中にて
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
ところで犯人も
到底
(
とうてい
)
知
(
しれ
)
ずにはいまいと考え、ほとぼりのさめた頃京都市を
脱出
(
ぬけだ
)
して、
大津
(
おおつ
)
まで来た時何か変な事があったが、それを
耐
(
こら
)
えて
土山宿
(
つちやまじゅく
)
まで
漸
(
ようや
)
く
落延
(
おちの
)
び、同所の
大野家
(
おおのや
)
と云う
旅宿屋
(
やどや
)
へ泊ると
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
便利
(
べんり
)
あり、
利益
(
りえき
)
ある
方面
(
はうめん
)
に
向
(
むか
)
つて
脱出
(
ぬけだ
)
した
跡
(
あと
)
には、
此
(
この
)
地
(
ち
)
のかゝる
俤
(
おもかげ
)
が、
空蝉
(
うつせみ
)
になり
脱殼
(
ぬけがら
)
になつて
了
(
しま
)
ふのである。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
五人の中で
悧口
(
りこう
)
な信太郎は、隙を見て土藏を
脱出
(
ぬけだ
)
しましたが、村右衞門に
脅
(
おど
)
かされた言葉が恐ろしくて祕密を
漏
(
もら
)
す間もないうち、
鑄掛屋
(
いかけや
)
の權次に
誘
(
さそ
)
ひ出され
銭形平次捕物控:140 五つの命
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
……それでヒョッと貴様が、
昨夜
(
ゆんべ
)
のうちに金を探し出いて、ここへ来はせんかと思うて、死ぬる思いで、暗いうちに病院を
脱出
(
ぬけだ
)
いて、塀を乗越いて、ここへ来たんだぞ。
オンチ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そこが因果で別れることも出来ないところから、この
両人
(
ふたり
)
はその
夜
(
よ
)
のうち
窃
(
ひそか
)
に根岸を
脱出
(
ぬけだ
)
し、綾瀬川へ身を投げて心中した。死骸が
翌朝
(
よくあさ
)
千住大橋際へ漂着いたしました。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「いつ城を
脱出
(
ぬけだ
)
したか」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それは間違いの無いことだ、音響殺人が不可能なよりも、博士が研究室を
脱出
(
ぬけだ
)
す方が不可能だ」
音波の殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
何うぞして
脱出
(
ぬけだ
)
したいと只一心に伯父の隙をねらって居りますが注意に怠りはございません。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
灯を
点
(
とも
)
した
栄螺
(
さざえ
)
だの、
兜
(
かぶと
)
を着た鯛だの、少し
猥
(
わい
)
せつな
蛸
(
たこ
)
だのが居る中に、黄螺の女房といってね、くるくると巻いた
裾
(
すそ
)
を貝から長々と
曳
(
ひ
)
いて、青い
衣服
(
きもの
)
で
脱出
(
ぬけだ
)
した
円髷
(
まるまげ
)
が乱れかかって、その癖
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それが白い羽根付きの黒いお
釜帽
(
かまぼう
)
からカールをハミ出させて、白靴下のハイヒールの上にスラリと
反
(
そ
)
り返って、
縁
(
ふち
)
無しの鼻眼鏡をかけたところは、ハンカチの箱から
脱出
(
ぬけだ
)
して来たような日本美人だ。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そして、ほんの少しばかりの旅費だけを持って、何一つ手廻りの品も持出さずに、そっと南伊豆の別荘を
脱出
(
ぬけだ
)
し、一気に北海道の奥の奥、十勝平原の隠れ家へ飛んだのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:01 第四の場合
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
其の晩に
脱出
(
ぬけだ
)
して、
彼
(
か
)
の早四郎という宿屋の忰が、
馬子
(
まご
)
の
久藏
(
きゅうぞう
)
という者の処へ訪ねて参り
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
空色の
袷
(
あわせ
)
に襟のかかった
寝衣
(
ねまき
)
の
形
(
なり
)
で、寝床を
脱出
(
ぬけだ
)
した
窶
(
やつ
)
れた姿、追かけられて逃げる風で、あわただしく越そうとする敷居に
爪先
(
つまさき
)
を取られて、うつむけさまに倒れかかって、横に流れて
蹌踉
(
よろめ
)
く処を
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いずれ御病死の
届
(
とどけ
)
をすることになるだろう、——お前は
此処
(
ここ
)
から
脱出
(
ぬけだ
)
して、村々の自訴を止めるのだ。よいか、阿武隈の御家を取潰しても、百姓町人が
直
(
す
)
ぐ幸せになるとは限るまい。
奇談クラブ〔戦後版〕:10 暴君の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と根強く
掛合込
(
かけあいこ
)
みまして、お由にはなか/\断りきれぬ様子でありますから、茂二作は一旦脱いだ羽織を
引掛
(
ひっか
)
け、裏口から
窃
(
そっ
)
と
脱出
(
ぬけだ
)
して表へ廻り、今帰ったふりで門口を明けましたから
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「例へば、お姉樣がどうして殺される前の晩戸締りをしてある家から
脱出
(
ぬけだ
)
したか、——いや、お姉樣が脱出した後、誰が戸締りをしたか。第一それからしてわからないぢやありませんか」
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
己が六間堀へ行ってる留守に黙って
脱出
(
ぬけだ
)
したんだから、不思議でならねえ
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
江の島
詣
(
まうで
)
の一行が、暴風雨の爲に
棧橋
(
さんばし
)
が落ちて島に閉ぢ籠められ、そのうちの一人、徳力屋千之助が、雨の止んだ深夜の海の凄まじい樣子を見物すると言つて宿を
脱出
(
ぬけだ
)
し、數百尺の大斷崖から落ちて
銭形平次捕物控:056 地獄から来た男
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
兼「だッて親方
私
(
わっち
)
の居ねい留守に
脱出
(
ぬけだ
)
しちまッたんです」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「床から
脱出
(
ぬけだ
)
して、其邊に」
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
脱
常用漢字
中学
部首:⾁
11画
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
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