“誘”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
さそ45.7%
いざな27.2%
おび13.9%
いざ2.9%
いざの1.8%
そそ1.1%
1.1%
オビ0.9%
さそい0.7%
さそわ0.7%
0.7%
そゝの0.4%
0.4%
いざない0.2%
0.2%
かま0.2%
こし0.2%
さそは0.2%
そその0.2%
そゝ0.2%
ひか0.2%
ほこ0.2%
みちび0.2%
イザナ0.2%
サソ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
たとへば鳩の、願ひにさそはれ、そのつよき翼をたかめ、おのがこゝろに身を負はせてそらをわたり、たのしき巣にむかふが如く 八二—八四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
山西はますますなれなれしく口をいた。小女こむすめは男の口から一歩進んだいざないを待っているかのように、体をしんなりとさして歩いた。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それはずいぶん恐ろしい……どうかして、うまくお角をおびき寄せる工夫はないか。ともかく、手紙をひとつ書いてみようではないか。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
だが、いざなっていったその千種屋が、番頭の言葉だとあまり上等ではなかろうと思われたのに、どうしてなかなか容易ならぬ上宿なのです。
村役場の吏員か警察署員をいざのうて、偽の埋葬認可証を出してもらって、村人たちを欺いて、母の偽の葬式を営んだのでしょう。
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
教育ある婦人で殊に選挙権ある男子の家庭にある婦人たちは時節柄その見聞に由っても政治上の興味をそそられることがないとは限らない。
鏡心灯語 抄 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
とどのつまり他人ひとを誑らかしたり、罪にき入れたり、愚弄したりする、あの人間の敵が、あべこべに、まんまと翻弄されたわけである。
さう言ふことが出来るほど、彼岸の中日は、まるで何かを思ひつめ、何かにオビかれたやうになつて、大空のを追うて歩いた人たちがあつたものである。
山越しの阿弥陀像の画因 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
少しばかりさそいをかけますとね、ぽう、ぽっぽ——お社ぢかまで参りましょう。石段下へ引寄せておいて、石投魚の亡者を飛上らせるだけでも用はたりましょうと存じますのよ。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三十年以前の私の心がそろそろ蘇生そせいして来て、父母在世当時の私の生活や静かな日本を思い出し何んとなく哀調にさそわれてしまうのである。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
其からは、此二つの女手ヲンナデの「ホン」を、一心に習ひとほした。偶然は友をくものであつた。一月も立たぬ中の事である。早く、此都に移つて居た飛鳥寺アスカデラ元興寺グワンコウジ—から卷數クワンズが屆けられた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
何物でもかはつた物は見逃すまいとする良人をつとから「自動車をおごるから」などとそゝのかされて下宿を出た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
一ツは好奇心にられて、「美しい少女」といふことが強く彼等の心に響いたのだ。中には「萬歳」を叫ぶ剽輕者へうきんものもあツて、大騷である。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
以前の客間にいざないて「サア大原さん、ようやく出来ました。貴君あなたはきっと沢山召上るだろうと思って大きな丼鉢どんぶりばちへ入れて来ましたから御遠慮なく何杯でもおかわりして下さい」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
白川をここまでびきよせておいて、ついと引つ離してしまつては彼の立場は全然失はれるであらう。
瘢痕 (新字旧仮名) / 平出修(著)
と文平は低声こごゑかまをかけるやうに言出した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
たとひ殿の罪深くして、地獄に入り給はば、日蓮を如何に仏に成さんと釈迦こしらへさせ給ふとも、用ひ参らせ候べからず。同じ地獄なるべし
わたくしはただ瀑布たきおとむようにして、こころしずめてすわってたまでで、そうするとなんともいえぬ無我むがさかいさそはれてき、雑念ざつねんなどはすこしもきざしませぬ。
其細君をそそのかして半襟を二掛見立てて買って来て貰った。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
なにやら物にそゝられる
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
特に藝術と宗教とが深く編みなされている世界に、強く心をひかれている私は、それらの要素の完全な結合である上人の作に、自ら近づくべき歩を進めていたのです。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
拔け荷を扱つて暴富をほこつた釜屋の構へは、嚴重の上にも嚴重を極めて、忍び返しを打つた凄まじい塀の中には、城郭じやうくわくのやうな家造りが物々しくも軒を連ねて居ります。
貞盛としては、その廟議の帰決を、あらゆる方法のもとに、自分に有利にみちびかなければならなかった。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
恐らく此方面に強いイザナひとなつたのが、平田学に触れて居た雪江中根氏の力だつたのであらう。
橘曙覧評伝 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「吾は君とは違ひて、サソふ人もあらざれば、いとさびしとのたまふにて、君は定めて誘ふ人もあまたありぬべしとの御心を、味村の飛ゆくさまをみそなはして、つゞけ給へる也」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)