“おび”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:オビ
語句割合
36.9%
24.3%
9.4%
8.4%
6.7%
3.5%
2.4%
2.0%
2.0%
飫肥0.5%
0.5%
0.4%
0.4%
0.4%
0.3%
0.3%
腹帯0.3%
誘引0.1%
0.1%
弾帯0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
王帯0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いままでながもとしきりにいていたむしが、えがちにほそったのは、雨戸あまどからひかりに、おのずとおびえてしまったに相違そういない。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
めったに、物事を疑ってみることをしない彼女だけに、事の意外に打たれると、驚き方も、人よりはひどく、そしておびえやすかった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かたつかんで、ぐいとった。そので、かおさかさにでた八五ろうは、もう一おびって、藤吉とうきち枝折戸しおりどうちきずりんだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
おびき出そうとしたが、雪のせいで腹が痛くて顔を出せなかった。今度来たら、キッと女房の下手人の顔を見定めてやるから——と
伯父をぢさんはもうこまつてしまつて、とうさんのめておび手拭てぬぐひゆはひつけ、その手拭てぬぐひとうさんをいてくやうにしてれました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
此犬はあまり大きくもないが、金壺眼かなつぼまなこの意地悪い悪相あくそうをした犬で、滅多めったに恐怖と云うものを知らぬ鶴子すら初めて見た時はおびえて泣いた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
はじめは勤人が居たんだが、俺の鼾に子供がおびえて仕方がないと云ふので、向方が越して知り合ひのあゝいふ師匠が移つて来たのだつたさ。
剰へ日が血のやうに西からのぼり、月が痺れて東へ落ちかかる怪しい神経病者の幻想フアンタジヤさへ時折発作のやうに霊自身をおびやかす。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
京子の片手は何かにおびふるえて加奈子の膝の上に置かれた。加奈子はその手を見詰めて居るうちに、二十年前の二人の少女時代の或る場面を想い出した。
春:――二つの連作―― (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
須磨子は三年前に飫肥おびへ往ったので、仲平の隠家へは天野家から来た謙助の妻淑子よしこと、前年八月に淑子の生んだ千菊せんぎくとがついて来た。
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
冷たい日光ひざしが雪に照返つて、家々の窓硝子を、寒さにおびえた樣にギラつかせて居た。大地は底深く凍つて了つて、歩くと鋼鐵の板を踏む樣な、下駄の音が、頭まで響く。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
またつね琥珀こはくもつおびとして、襲衣しふいうち人知ひとしれずつゝみてむ。立居たちゐたびになよやかなるたまほねひとつ/\こといとごと微妙びめうひゞきして、くもののし、にくくだかしめき。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それは少しも心に止まらねども美登利が素振のくり返されて正太は例の歌も出ず、大路の徃来ゆききおびただしきさへ心淋しければ賑やかなりとも思はれず、火ともし頃より筆やが店に転がりて
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女ばかりはおびえがちな寮に、魁偉かいい優婆塞うばそくと美男の浪人が、果し合いの白刃を抜き交わしたので、老女や多くの侍女こしもとは唯あれあれと、一所ひとところに群れ寄って、廊下は時ならぬ花壇かだんとなる。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
図太づぶとくて、いらひどくて、人をあやめることを何とも思はないで、公にそむくことを心持が好い位に心得て、やゝもすれば上には反抗して強がり、下には弱みに付入つておびやかし、租税もくすねれば
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
扇沢から吹きげられた千切れ雲が気紛れに手を伸して、時々祖父じい岳の額を撫でに来るが、双尖を聳やかした鹿島槍ヶ岳の威容におびえて、慌てたように黒部の大谷に逃げ込む。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
思ひきや方様の方には、疾くより赤手柄の奥様居まして、やがては腹帯おびもしたまはむとの噂。さるにても大学へはと聞けば、いなさる様子はなし、今も奥様の父御のものなる会社へ通ひたまふなるが。
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
本船ほんせん愚昧おろかなる船長せんちやうは『船幽靈ふないうれいめが、難破船なんぱせん眞似まねなんかして、このふね暗礁あんせうへでも誘引おびせやうとかゝつてるのだな。』と延氣のんきことつてつたが、其實そのじつ船幽靈ふないうれいならぬ海賊船かいぞくせん
現世このよ存在得ありうべからざる海魔かいまとか船幽靈ふなゆうれいとかよりは百倍ひやくばい千倍せんばい恐怖おそるべきあるもの仕業しわざで、なに企圖くわだつるところがあつて、弦月丸げんげつまる彼處かしこ海上かいじやう誘引おびせやうとしたのではあるまいか
おびやかし味方に付る時は江戸表えどおもて名乘なのりいづるに必ず便利べんりなるべしと不敵にも思案を定め彼奧座敷に至り燭臺しよくだいあかりをともしとねの上に欣然きんぜんと座を胴卷どうまきの金子はわきの臺に差置さしおき所持の二品を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
浅葱天鵞絨びろうどの鳥打帽子を被って、卵色薄羅紗うすらしゃ猟装束りょうふくを着て、弾帯おびをきりりとしめて、薄皮の行膝はばきをはめて、胡坐あぐらをかきながら、パイプを軽くつまんでマニラを吹いて居る。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
おびえたやうな声が響いて、軍治は矢庭に急な板梯子を中途からとび下り、居間の障子を引き開けると、蒔はもう歯のないよぢれた膜のやうな唇を間を置いて開き、又閉ぢしてゐるだけであつて
鳥羽家の子供 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
打顫うちふるふ手に十行あまりしたためしを、つと裂きて火鉢に差爇さしくべければ、ほのほの急に炎々とのぼるを、可踈うとましと眺めたる折しも、紙門ふすまけてその光におびえしをんなは、覚えずあるじ気色けしきあやしみつつ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
お祖母様や乳母や誰彼に聞かされたお化の話はすべてわが家にあった出来事ではないかと夜はいつでも微かな物音にさえおびえやすかった。自然と私は朝を待った。町っ子の気儘な生活をうらやんだ。
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
お前が、さも新吉の凄じい権幕におびえたように、神経のこわばった相形そうぎょういて微笑わらいを見せながら、そういって私の部屋に入って来た。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
村の人は村の人できよときよとして唯恐怖におびえてゐた。
田舎からの手紙 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
孫権は、王帯おびきながら、ふとおもての怒気をひそめていた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しばらくして黄金丸は、鷲郎に打向ひて、今日朱目がもとにて聞きし事ども委敷くわしく語り、「かかる良計ある上は、すみやかに彼の聴水を、おびいだしてとらえんず」ト、いへば鷲郎もうち点頭うなず
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)