“紙門”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ふすま50.0%
からかみ50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
はや足音は次の間にきたりぬ。母はあわてて出迎にてば、一足遅れに紙門ふすまは外より開れてあるじ直行の高く幅たきからだ岸然のつそりとお峯の肩越かたごしあらはれぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
要もないに明て見て何か探す容子、箱丁はこやがそっと入れて行った三味線は、棹を継れたまゝ座敷境の紙門ふすまの下へ片寄かたよせられ、客も芸妓も居るか居ないか疑われるほどの静かさであった。
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
答えがないので、為さんはそっと紙門からかみを開けて座敷を覗くと、お光は不断着をはおったまままだ帯も結ばず、真白な足首あらわにつまは開いて、片手に衣紋えもんを抱えながらじっと立っている。
深川女房 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
仰向いて見る天井に小歌が嫣然にっこり笑って居るので、これではならぬと右へ寝返れば障子にも小歌、左へ寝返れば紙門からかみにも小歌、鴨居にも敷居にも壁にも畳にも水車の裾模様が附いて居るので
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)