おび)” の例文
「そう笑いなさるけどナ、組長さん」その噂を持ってきた職工は、おびえた眼を、わしの方に向けて云った。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
冷たい日光ひざしが雪に照返つて、家々の窓硝子を、寒さにおびえた樣にギラつかせて居た。大地は底深く凍つて了つて、歩くと鋼鐵の板を踏む樣な、下駄の音が、頭まで響く。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
かつて持彦の放埒ほうらつおびえた彼女は、もう慄えることがなくなっていた。
花桐 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
冷たい日光ひざしが雪に照返つて、家々の窓硝子を、寒さにおびえた様にギラつかせて居た。大地は底深く凍つて了つて、歩くと鋼鉄の板を踏む様な、下駄の音が、頭まで響く。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)