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帶
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おび
ふりがな文庫
“
帶
(
おび
)” の例文
新字:
帯
あゝ、
其
(
そ
)
のよろこびの
涙
(
なみだ
)
も、
夜
(
よる
)
は
片敷
(
かたし
)
いて
帶
(
おび
)
も
解
(
と
)
かぬ
留守
(
るす
)
の
袖
(
そで
)
に
乾
(
かわ
)
きもあへず、
飛報
(
ひはう
)
は
鎭守府
(
ちんじゆふ
)
の
病院
(
びやうゐん
)
より、
一家
(
いつけ
)
の
魂
(
たましひ
)
を
消
(
け
)
しに
來
(
き
)
た。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
伯父
(
をぢ
)
さんはもう
困
(
こま
)
つてしまつて、
父
(
とう
)
さんの
締
(
し
)
めて
居
(
ゐ
)
る
帶
(
おび
)
に
手拭
(
てぬぐひ
)
を
結
(
ゆは
)
ひつけ、その
手拭
(
てぬぐひ
)
で
父
(
とう
)
さんを
引
(
ひ
)
いて
行
(
い
)
くやうにして
呉
(
く
)
れました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
餘所
(
よそ
)
の
女
(
をんな
)
の
子
(
こ
)
は
大抵
(
たいてい
)
は
綺麗
(
きれい
)
な
赤
(
あか
)
い
帶
(
おび
)
を
締
(
し
)
めて、ぐるりと
褰
(
から
)
げた
衣物
(
きもの
)
の
裾
(
すそ
)
は
帶
(
おび
)
の
結
(
むす
)
び
目
(
め
)
の
下
(
した
)
へ
入
(
い
)
れて
只管
(
ひたすら
)
に
後姿
(
うしろすがた
)
を
氣
(
き
)
にするのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つたる
大形
(
おほがた
)
の
裕衣
(
ゆかた
)
に
引
(
ひつ
)
かけ
帶
(
おび
)
は
黒繻子
(
くろじゆす
)
と
何
(
なに
)
やらのまがひ
物
(
もの
)
、
緋
(
ひ
)
の
平
(
ひら
)
ぐけが
背
(
せ
)
の
處
(
ところ
)
に
見
(
み
)
えて
言
(
い
)
はずと
知
(
し
)
れし
此
(
この
)
あたりの
姉
(
あね
)
さま
風
(
ふう
)
なり
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
宗助
(
そうすけ
)
にはそれが
意外
(
いぐわい
)
であつた。
然
(
しか
)
し
大
(
たい
)
した
綺羅
(
きら
)
を
着飾
(
きかざ
)
つた
譯
(
わけ
)
でもないので、
衣服
(
いふく
)
の
色
(
いろ
)
も、
帶
(
おび
)
の
光
(
ひかり
)
も、
夫程
(
それほど
)
彼
(
かれ
)
を
驚
(
おどろ
)
かす
迄
(
まで
)
には
至
(
いた
)
らなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
矢
(
や
)
がすりの
袷
(
あはせ
)
に、
赤
(
あか
)
の
帶
(
おび
)
の
竪矢
(
たてや
)
の
字
(
じ
)
を
背中
(
せなか
)
に
負
(
お
)
うた
侍女
(
じぢよ
)
が、
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
手
(
て
)
を
支
(
つか
)
へて、キッパリと
耳
(
みゝ
)
に
快
(
こゝろよ
)
い
江戸言葉
(
えどことば
)
で
言
(
い
)
つた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
年頃
(
としごろ
)
廿一二の女
惣身
(
そうしん
)
に
打疵
(
うちきず
)
多
(
おほく
)
して
殺
(
ころし
)
候樣子に相見申候尤も
衣類
(
いるゐ
)
は
紬縞小袖
(
つむぎじまこそで
)
二枚を着し
黒純子
(
くろどんす
)
の
龍
(
りう
)
の
模樣
(
もやう
)
織出
(
おりだし
)
の丸
帶
(
おび
)
を
締
(
しめ
)
面部
(
めんぶ
)
眉
(
まゆ
)
左
(
ひだり
)
の方に
古
(
ふる
)
き
疵
(
きず
)
の
痕
(
あと
)
相見
(
あひみえ
)
候
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
しかし
實際
(
じつさい
)
は、
海
(
うみ
)
や
山
(
やま
)
が
不規則
(
ふきそく
)
に
入
(
い
)
り
亂
(
みだ
)
れてゐますから、その
水平的森林帶
(
すいへいてきしんりんたい
)
も、ところ/″\で
中斷
(
ちゆうだん
)
し、また
氣候
(
きこう
)
にも
影響
(
えいきよう
)
されて
不規則
(
ふきそく
)
な
帶
(
おび
)
となつてゐます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
それから
鞍
(
くら
)
から
馬
(
うま
)
の
胸
(
むね
)
のところや
尻
(
しり
)
の
方
(
ほう
)
に
廻
(
まは
)
つて
行
(
ゆ
)
く
革
(
かは
)
の
帶
(
おび
)
には、
杏葉
(
きようよう
)
といふ
飾
(
かざ
)
りがつけてありまして、その
飾
(
かざ
)
りはたいてい
鐵
(
てつ
)
の
上
(
うへ
)
に
金
(
きん
)
めっきをした
銅
(
どう
)
を
張
(
は
)
りつけ
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
そして
吉備
(
きび
)
の
中山
(
なかやま
)
が
帶
(
おび
)
にしてゐるといふようなことは、
別
(
べつ
)
に
珍
(
めづら
)
しくもなんともないのであるにも
拘
(
かゝは
)
らず、われ/\はそれに
對
(
たい
)
して、
朗
(
ほが
)
らかな
氣持
(
きも
)
ちを
受
(
う
)
けずにゐられません。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
髮形をすつかり堅氣の娘風にしたお靜の後姿——
黄
(
き
)
八
丈
(
ぢやう
)
の
袷
(
あはせ
)
と
緋鹿
(
ひか
)
の子
帶
(
おび
)
が、唐花屋の
暖簾
(
のれん
)
をくゞつて見えなくなつた時は、
大日坂
(
だいにちざか
)
の下から遠く樣子を見て居た錢形の平次も
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
『
御覽
(
ごらん
)
なさい、
眞紅
(
まつか
)
な
帶
(
おび
)
を
結
(
し
)
めて
居
(
ゐ
)
る
娘
(
むすめ
)
も
居
(
ゐ
)
ますよ。』
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
帶
(
おび
)
しめ
鈕
(
ぼたん
)
かけ
身
(
み
)
を
固
(
かた
)
め、
趾
(
あしゆび
)
殘
(
のこ
)
らず
裏返
(
うらがへ
)
す。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
なごやが下に
帶
(
おび
)
解
(
と
)
くと
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
其子
(
そのこ
)
の
帶
(
おび
)
は
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
帶
(
おび
)
のよに
歌時計:童謡集
(旧字旧仮名)
/
水谷まさる
(著)
と、
口
(
くち
)
の
中
(
うち
)
でいふとすぐ
抱
(
だ
)
いた。
下駄
(
げた
)
の
泥
(
どろ
)
が
帶
(
おび
)
にべつたりとついたのも
構
(
かま
)
はないで、
抱
(
だ
)
きあげて、
引占
(
ひきし
)
めると、
肩
(
かた
)
の
處
(
ところ
)
へかじりついた。
迷子
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「どうしてえおとつゝあ、
昨夜
(
ゆんべ
)
はそんでも
寒
(
さむ
)
かなかつたつけゝえ」
彼
(
かれ
)
は
荷物
(
にもつ
)
を
卯平
(
うへい
)
の
裾
(
すそ
)
の
方
(
はう
)
へ
卸
(
おろ
)
して
胸
(
むね
)
で
結
(
むす
)
んだ
帶
(
おび
)
を
解
(
と
)
きながらいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
始
(
はじ
)
めて
自分
(
じぶん
)
の
家
(
いへ
)
に
小六
(
ころく
)
の
居
(
ゐ
)
る
事
(
こと
)
に
氣
(
き
)
が
付
(
つ
)
いた。
襯衣
(
しやつ
)
の
上
(
うへ
)
から
暖
(
あたゝ
)
かい
紡績織
(
ばうせきおり
)
を
掛
(
か
)
けて
貰
(
もら
)
つて、
帶
(
おび
)
をぐる/\
卷
(
ま
)
き
付
(
つ
)
けたが
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
踵
(
きびす
)
を
囘
(
かへ
)
してツト
馳出
(
はせい
)
づればお
高
(
たか
)
走
(
はし
)
り
寄
(
よ
)
つて
無言
(
むごん
)
に
引止
(
ひきと
)
むる
帶
(
おび
)
の
端
(
はし
)
振拂
(
ふりはら
)
へば
取
(
とり
)
すがり
突
(
つ
)
き
放
(
はな
)
せば
纒
(
まと
)
ひつき
芳
(
よし
)
さまお
腹
(
はら
)
だちは
御尤
(
ごもつと
)
もなれども
暫時
(
しばし
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
しやれ某し是より直樣油屋へ
踏込
(
ふみこん
)
で久兵衞とか云ふ奴を
引捕
(
ひつとら
)
へて
聞糺
(
きゝたゞ
)
し
呉
(
くれ
)
んと
帶
(
おび
)
〆
(
しめ
)
直
(
なほ
)
して立上りたり後藤は
元來
(
ぐわんらい
)
仁心
(
じんしん
)
深
(
ふか
)
く
正直
(
しやうじき
)
正路
(
しやうろ
)
の人なれば斯の如き事を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
祖母
(
おばあ
)
さんは、おせんべつのしるしにと
言
(
い
)
つて、
東京
(
とうきやう
)
へ
出
(
で
)
る
父
(
とう
)
さんのために
羽織
(
はおり
)
や
帶
(
おび
)
を
織
(
お
)
つて
呉
(
く
)
れました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
模樣
(
もよう
)
はたいてい
繩
(
なは
)
や
莚
(
むしろ
)
の
型
(
かた
)
を
押
(
お
)
しつけその
上
(
うへ
)
に
曲線
(
きよくせん
)
で
渦卷
(
うづま
)
きだとか、それに
類似
(
るいじ
)
の
模樣
(
もよう
)
がつけてありますが、
時
(
とき
)
には
突出
(
とつしゆつ
)
した
帶
(
おび
)
のような
裝飾
(
そうしよく
)
をつけたものもあります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
わかりやすく
言
(
い
)
へば、
地球上
(
ちきゆうじよう
)
の
部分
(
ぶぶん
)
部分
(
ぶぶん
)
が、
赤道
(
せきどう
)
に
沿
(
そ
)
うて
帶
(
おび
)
のように
細長
(
ほそなが
)
くわかれてをり、その
一
(
ひと
)
つ/\に、それ/″\ちがつた
植物
(
しよくぶつ
)
がそだつてゐることをいふのです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
おほぎみの
御笠
(
みかさ
)
の
山
(
やま
)
の
帶
(
おび
)
にせる、
細谷川
(
ほそたにがは
)
の
音
(
おと
)
のさやけさ
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
此
(
こ
)
の
急信
(
きふしん
)
は××
年
(
ねん
)
××
月
(
ぐわつ
)
××
日
(
にち
)
、
午後
(
ごご
)
三
時
(
じ
)
に
屆
(
とゞ
)
いたので、
民子
(
たみこ
)
は
蒼
(
あを
)
くなつて
衝
(
つ
)
と
立
(
た
)
つと、
不斷着
(
ふだんぎ
)
に
繻子
(
しゆす
)
の
帶
(
おび
)
引緊
(
ひきし
)
めて、つか/\と
玄關
(
げんくわん
)
へ。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
到底
(
たうてい
)
彼等
(
かれら
)
の
白
(
しろ
)
い
菅笠
(
すげがさ
)
と
赤
(
あか
)
い
帶
(
おび
)
とは
廣
(
ひろ
)
い
野
(
の
)
を
飾
(
かざ
)
る
大輪
(
たいりん
)
の
花
(
はな
)
でなければならぬ。
其
(
そ
)
の
一
(
ひと
)
つの
要件
(
えうけん
)
がおつぎには
缺
(
か
)
けて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
一
人
(
にん
)
は三
尺
(
じやく
)
帶
(
おび
)
に
突
(
つツ
)
かけ
草履
(
ぞうり
)
の
仕事師
(
しごとし
)
の
息子
(
むすこ
)
、一
人
(
にん
)
はかわ
色
(
いろ
)
金巾
(
かなきん
)
の
羽織
(
はをり
)
に
紫
(
むらさき
)
の
兵子帶
(
へこおび
)
といふ
坊樣仕立
(
ぼうさましたて
)
、
思
(
おも
)
ふ
事
(
こと
)
はうらはらに、
話
(
はな
)
しは
常
(
つね
)
に
喰
(
く
)
ひ
違
(
ちが
)
ひがちなれど
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其上
(
そのうへ
)
男
(
をとこ
)
は
此
(
この
)
寒
(
さむ
)
いのに
膝小僧
(
ひざこぞう
)
を
少
(
すこ
)
し
出
(
だ
)
して、
紺
(
こん
)
の
落
(
お
)
ちた
小倉
(
こくら
)
の
帶
(
おび
)
の
尻
(
しり
)
に
差
(
さ
)
した
手拭
(
てぬぐひ
)
を
拔
(
ぬ
)
いては
鼻
(
はな
)
の
下
(
した
)
を
擦
(
こす
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
云ひ聞せければ長八は大いに悦こび成程
夫
(
それ
)
にて
解
(
わか
)
りしなりと是より紙屑は
勿論
(
もちろん
)
帶
(
おび
)
腹掛
(
はらかけ
)
古鐵
(
ふるかね
)
の
類
(
るゐ
)
何にても
買込
(
かひこみ
)
賣買を
精出
(
せいだ
)
しけるゆゑ長八は段々と
繁昌
(
はんじやう
)
して大いに
工面
(
くめん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
またこの
冠
(
かんむり
)
を
着
(
つ
)
けてゐた
人
(
ひと
)
の
腰
(
こし
)
のあたりには、
金飾
(
きんかざ
)
りの
美
(
うつく
)
しい
帶
(
おび
)
がありまして、その
帶
(
おび
)
から
腰
(
こし
)
のまはりには、
十七本
(
じゆうしちほん
)
の
金
(
きん
)
で
作
(
つく
)
つた
下
(
さ
)
げ
物
(
もの
)
をぶら
下
(
さ
)
げてをり、その
下
(
さ
)
げ
物
(
もの
)
の
先
(
さき
)
には
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
この
森林
(
しんりん
)
のそれ/″\
異
(
ことな
)
つた
状態
(
じようたい
)
にある
幾條
(
いくすぢ
)
もの
帶
(
おび
)
を『
水平的森林帶
(
すいへいてきしんりんたい
)
』といひます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
祖母
(
おばあ
)
さんは、
父
(
とう
)
さんが
子供
(
こども
)
の
時分
(
じぶん
)
の
着物
(
きもの
)
や
帶
(
おび
)
まで
自分
(
じぶん
)
で
織
(
お
)
つたばかりでなく、
食
(
た
)
べるもの——お
味噌
(
みそ
)
からお
醤油
(
しやうゆ
)
の
類
(
たぐひ
)
までお
家
(
うち
)
で
造
(
つく
)
り
祖母
(
おばあ
)
さんが
自分
(
じぶん
)
の
髮
(
かみ
)
につける
油
(
あぶら
)
まで
庭
(
には
)
の
椿
(
つばき
)
の
實
(
み
)
から
絞
(
しぼ
)
りまして
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
富
(
ふ
)
の
字
(
じ
)
と
云
(
い
)
ふ
稱
(
な
)
からして
工面
(
くめん
)
のいゝ
長唄
(
ながうた
)
の
姉
(
ねえ
)
さんが、
煙管
(
きせる
)
を
懷劍
(
くわいけん
)
に
構
(
かま
)
へて、かみ
入
(
いれ
)
を
帶
(
おび
)
から
拔
(
ぬ
)
くと、
十圓紙幣
(
じふゑんしへい
)
が
折疊
(
をりたゝ
)
んで
入
(
はひ
)
つて
居
(
ゐ
)
る……
偉
(
えら
)
い。
九九九会小記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
恭助
(
あるじ
)
は
太
(
いた
)
く
疲
(
つか
)
れて
禮服
(
れいふく
)
ぬぎも
敢
(
あ
)
へず
横
(
よこ
)
に
成
(
な
)
るを、あれ
貴郎
(
あなた
)
お
召物
(
めしもの
)
だけはお
替
(
か
)
へ
遊
(
あそ
)
ばせ、
夫
(
そ
)
れではいけませぬと
羽織
(
はをり
)
をぬがせて、
帶
(
おび
)
をも
奧
(
おく
)
さま
手
(
て
)
づから
解
(
と
)
きて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
晉
(
しん
)
の
少主
(
せうしゆ
)
の
時
(
とき
)
、
婦人
(
ふじん
)
あり。
容色
(
ようしよく
)
艷麗
(
えんれい
)
、
一代
(
いちだい
)
の
佳
(
か
)
。
而
(
しか
)
して
帶
(
おび
)
の
下
(
した
)
空
(
むな
)
しく
兩
(
りやう
)
の
足
(
あし
)
ともに
腿
(
もゝ
)
よりなし。
餘
(
よ
)
は
常人
(
じやうじん
)
に
異
(
こと
)
なるなかりき。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
つね/″\
寳
(
たから
)
のやうに
大事
(
だいじ
)
がりて、
身
(
み
)
につく
物
(
もの
)
の
隨
(
ずい
)
一
好
(
す
)
き
成
(
な
)
りし
手綱染
(
たづなぞめ
)
の
帶
(
おび
)
あげも
其
(
その
)
まゝに
有
(
あり
)
けり、いつも
小遣
(
こづが
)
ひの
入
(
い
)
れ
塲處
(
ばしよ
)
なる
鏡臺
(
きようだい
)
の
引出
(
ひきだ
)
しを
明
(
あ
)
けて
見
(
み
)
るに
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
何
(
ど
)
うでありませう。お
前樣
(
まへさま
)
。
此
(
これ
)
から
逢
(
あ
)
ひにおいでなさらうと
云
(
い
)
ふ、
其
(
そ
)
の
婦
(
をなご
)
の
方
(
かた
)
は、
裾模樣
(
すそもやう
)
に、
錦
(
にしき
)
の
帶
(
おび
)
、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
蹴出
(
けだ
)
しでも。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
一
體
(
たい
)
の
容顏
(
きりよう
)
好
(
い
)
い
方
(
ほう
)
なれども、いかにもいかにもの
田舍風
(
いなかふう
)
、
午房縞
(
ごぼうじま
)
の
綿入
(
わたい
)
れに
論
(
ろん
)
なく
白木綿
(
しろもめん
)
の
帶
(
おび
)
、
青
(
あを
)
き
毛布
(
けつと
)
を
膝
(
ひざ
)
の
下
(
した
)
に、
前
(
まへ
)
こゞみに
成
(
な
)
りて
兩手
(
りようて
)
に
頭
(
かしら
)
をしかと
押
(
おさ
)
へし。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
こゝに
巣
(
す
)
をくふ
平吉
(
へいきち
)
と
云
(
い
)
ふ
博奕仲間
(
ぶちなかま
)
に
頼
(
たの
)
んで、
其
(
そ
)
の
袷
(
あはせ
)
と
綿入
(
わたいれ
)
を
一枚
(
いちまい
)
づゝ、
帶
(
おび
)
を
添
(
そ
)
へて
質入
(
しちい
)
れにして、
小助
(
こすけ
)
が
手
(
て
)
に
握
(
にぎ
)
つた
金子
(
かね
)
が……
一歩
(
いちぶ
)
としてある。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夫
(
そ
)
れとも
其
(
その
)
やうな
奧樣
(
おくさま
)
あつかひ
虫
(
むし
)
が
好
(
す
)
かで
矢張
(
やは
)
り
傳法肌
(
でんぽうはだ
)
の三
尺
(
じやく
)
帶
(
おび
)
が
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
るかなと
問
(
と
)
へば、どうで
其處
(
そこ
)
らが
落
(
おち
)
でござりましよ、
此方
(
こちら
)
で
思
(
おも
)
ふやうなは
先樣
(
さきさま
)
が
嫌
(
いや
)
なり
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
話
(
はなし
)
は
別
(
べつ
)
にある……
色仕掛
(
いろじかけ
)
で、あはれな
娘
(
むすめ
)
の
身
(
み
)
の
皮
(
かは
)
を
剥
(
は
)
いだ
元二
(
げんじ
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
、
其
(
そ
)
の
袷
(
あはせ
)
に一
枚
(
まい
)
づゝ
帶
(
おび
)
を
添
(
そ
)
へて
質入
(
しちい
)
れにして、
手
(
て
)
に
握
(
にぎ
)
つた
金子
(
きんす
)
一
歩
(
ぶ
)
としてある。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
仕事
(
しごと
)
を
頼
(
たの
)
むの
何
(
なに
)
が
何
(
ど
)
うしたとか
小
(
こ
)
うるさく
這入込
(
はいりこ
)
んでは
前
(
まへ
)
だれの
半襟
(
はんえり
)
の
帶
(
おび
)
つ
皮
(
かは
)
のと
附屆
(
つけとゞけ
)
をして
御機嫌
(
ごきげん
)
を
取
(
と
)
つては
居
(
ゐ
)
るけれど、つひしか
喜
(
よろこ
)
んだ
挨拶
(
あいさつ
)
をした
事
(
こと
)
が
無
(
な
)
い
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
青
(
あを
)
ざめた
女
(
をんな
)
の
瞼
(
まぶた
)
も
決意
(
けつい
)
に
紅
(
くれなゐ
)
に
潮
(
てう
)
しつゝ、「
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
けないで
支度
(
したく
)
をしませう。」
地震
(
ぢしん
)
以來
(
いらい
)
、
解
(
と
)
いた
事
(
こと
)
のない
帶
(
おび
)
だから、ぐいと
引
(
ひき
)
しめるだけで
事
(
こと
)
は
足
(
た
)
りる。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
友仙
(
いうぜん
)
の
帶
(
おび
)
に
緋
(
ひ
)
ぢりめんの
帶
(
おび
)
あげも
人手
(
ひとで
)
を
借
(
か
)
りずに
手
(
て
)
ばしこく
締
(
し
)
めたる
姿
(
すがた
)
、
不圖
(
ふと
)
見
(
み
)
たる
目
(
め
)
には
此樣
(
このやう
)
の
病人
(
びやうにん
)
とも
思
(
おも
)
ひ
寄
(
よ
)
るまじき
美
(
うつ
)
くしさ、
兩親
(
ふたおや
)
は
見返
(
みかへ
)
りて
今更
(
いまさら
)
に
涙
(
なみだ
)
ぐみぬ
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
肩
(
かた
)
を
細
(
ほそ
)
く、
片袖
(
かたそで
)
をなよ/\と
胸
(
むね
)
につけた、
風通
(
かぜとほ
)
しの
南
(
みなみ
)
へ
背
(
せ
)
を
向
(
む
)
けた
背後姿
(
うしろすがた
)
の、
腰
(
こし
)
のあたりまで
仄
(
ほのか
)
に
見
(
み
)
える、
敷居
(
しきゐ
)
に
掛
(
か
)
けた
半身
(
はんしん
)
で
帶
(
おび
)
と
髮
(
かみ
)
のみ
艷
(
あで
)
やかに
黒
(
くろ
)
い。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
三言
(
みこと
)
とは
呼
(
よ
)
ばれもせず
帶
(
おび
)
より
先
(
さき
)
に
襻
(
たすき
)
がけの
甲斐
(
かひ
)
/\しく、
井戸端
(
ゐどばた
)
に
出
(
いづ
)
れば
月
(
つき
)
かげ
流
(
なが
)
しに
殘
(
のこ
)
りて、
肌
(
はだへ
)
を
刺
(
さ
)
すやうな
風
(
かぜ
)
の
寒
(
さむ
)
さに
夢
(
ゆめ
)
を
忘
(
わす
)
れぬ、
風呂
(
ふろ
)
は
据
(
すゑ
)
風呂
(
ふろ
)
にて
大
(
おほ
)
きからねど
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
緩
(
ゆる
)
い
流
(
ながれ
)
は
浮草
(
うきぐさ
)
の
帶
(
おび
)
を
解
(
と
)
いた。
私
(
わたし
)
の
手
(
て
)
を
觸
(
ふ
)
れなかつたのは、
濡
(
ぬ
)
れるのを
厭
(
いと
)
つたのでない、
波
(
なみ
)
を
恐
(
おそ
)
れたのでない。
圓山川
(
まるやまがは
)
の
膚
(
はだ
)
に
觸
(
ふ
)
れるのを
憚
(
はゞか
)
つたのであつた。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
あくる
朝
(
あさ
)
風
(
かぜ
)
すゞしきほどに
今
(
いま
)
一人
(
ひとり
)
車
(
くるま
)
に
乘
(
の
)
りつけゝる
人
(
ひと
)
のありけり、
紬
(
つむぎ
)
の
單衣
(
ひとへ
)
に
白
(
しろ
)
ちりめんの
帶
(
おび
)
を
卷
(
ま
)
きて、
鼻
(
はな
)
の
下
(
した
)
に
薄
(
うす
)
ら
髯
(
ひげ
)
のある
三十位
(
さんじふぐらゐ
)
のでつぷりと
肥
(
ふと
)
りて
見
(
み
)
だてよき
人
(
ひと
)
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
貴族鼠
(
きぞくねずみ
)
の
縐高縮緬
(
しぼたかちりめん
)
の
五紋
(
いつゝもん
)
なる
單衣
(
ひとへ
)
を
曳
(
ひ
)
きて、
帶
(
おび
)
は
海松地
(
みるぢ
)
に
裝束切模
(
しやうぞくぎれうつし
)
の
色紙散
(
しきしちらし
)
の
七絲
(
しつちん
)
……
淡紅色紋絽
(
ときいろもんろ
)
の
長襦袢
(
ながじゆばん
)
——
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“帶(
帯
)”の解説
帯(おび、帶)とは、着物の上から腰の上に巻いて結ぶことで着物を体に固定させる幅広で紐状の装身具。道具を装用する機能も持つ。
(出典:Wikipedia)
帶
部首:⼱
11画
“帶”を含む語句
帶刀
貧乏世帶
繃帶
世帶
下帶
熱帶地方
丸帶
帶劍
本帶
扱帶
兵兒帶
苗字帶刀
所帶
一帶
晝夜帶
世帶染
兼帶
帶廣
所帶持
帶揚
...