“後姿”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うしろすがた86.1%
うしろつき7.6%
うしろで3.8%
うしろ1.3%
うしろかげ1.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一彦はただ一言「うん」とこたえたまま、老人の後姿うしろすがたをじっと見つめていました。その顔には、ただならぬ真剣な色がうかんでいました。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
習慣で、どんなに遅くっても、就床前に必ず歯を磨く前川が、室内の奥についている洗面所ウォッシュ・スタンドの方へ歩いて行く後姿うしろすがたに、
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
一杯いつぱいあをしげつた桑畑くはばたけなどしろおほきな菅笠すげがさあかおびとの後姿うしろすがた
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
彼女は誰も自分のそばにいないので、せっかく出来上った滑稽こっけい後姿うしろすがたも、眼と眼で笑ってやる事ができないのを物足りなく思った。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大井はその後姿うしろすがたを目送しながら、わざとらしく大きな声で笑い出したが、すぐに卓子テエブルの上のウイスキイをぐいとやって、
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
素足に草鞋穿わらじばき、じんじん端折ばしょりで、てすけとくてく峠へ押上おしのぼ後姿うしろつきを、日脚なりに遠く蔭るまで見送りましたが、何が、貴辺あなた
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と会釈して、スッとった所を見ると、スラリとした後姿うしろつきだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
明り取りに半ば開いた、重なる障子の薄墨に、一刷ひとはけ黒き愛吉の後姿うしろつき朦朧もうろうとして幻めくお夏のそびらおおわれかかって、玉をべたる襟脚の
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まず最初に容貌かおだちを視て、次に衣服なりを視て、帯を視て爪端つまさきを視て、行過ぎてからズーと後姿うしろつきを一べつして、また帯を視て髪を視て、その跡でチョイとお勢を横目で視て、そして澄ましてしまう。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
脱心ぬかりたりと心急立せきたち、本郷のとおりへ駈出でて、東西を見渡せば、一町ばかりさきに立ちて、日蔭を明神坂の方へ、急ぎ足に歩み行く後姿うしろつきはその者なれば、遠く離れて見失わじと、裏長屋の近道をくぐりて、間近く彼奴かやつの後に出でつ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その後姿うしろでに、ゆらすとみえた、紫煙シガアのけむの一片。
(新字旧仮名) / 高祖保(著)
へしか、消ゆる後姿うしろでかはれるれつ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
がくれに奧寄あうよひと後姿うしろでに、
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
西日にはあげまきむきて居るならし後姿うしろぶかき四五の女童めわらは
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
このそうさが妙に気になって、ことによると、まだそのあとがあるかも知れないと思ったせいか、何気なく後姿うしろかげを見送っていると、大きな黒松の根方ねがたのところへ行って、立小便たちしょうべんをし始めたから、急に顔をそむけて、どてらの方を向いた。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)