“後退”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あとずさ32.9%
あとじさ22.0%
あとしざ13.3%
あとじさり6.4%
あとすざ3.5%
あとず3.5%
あとじ2.9%
あとずさり2.3%
しりごみ2.3%
うしろさが1.2%
うしろじさ1.2%
あとかへ0.6%
こうたい0.6%
たじろ0.6%
あとさ0.6%
あとさが0.6%
あとし0.6%
あとしさ0.6%
あとすさ0.6%
あとすさり0.6%
あとすざり0.6%
あとびしゃ0.6%
あともど0.6%
さが0.6%
しさ0.6%
ゴスタン0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼女は死んだのだ。やがてウィルは立上った。ミラは両手を口にあてて思わず出ようとした叫を止めると後退りして暗い廊下に出た。
目撃者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼はやがて不意にぶるぶると全身をわして後退りしたが又、卓子に両手をかけて女を見入った。女に近づこうとして又立ちんだ。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
つるは不気味そうに後退ったが、くるりと向うを向いて、手荒く其処らを片付けた。釜の飯を飯櫃に移し、薬鑵や膳椀を揃えた。
特殊部落の犯罪 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
少年達はギクンとして、其処は山門からかなり間隔も離れてゐたのだが、彼等の身体を擦り合はすやうに密集させ、ヂリヂリと後退した。
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
馬は、重荷のために後退りするのを防ごうとして、にこめた満身の力でふるえながら、脚をひろげ、鼻息をふうふうませている。
乞食 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
犬はタジタジとして少し後退さったが、この猛獣が唸りすぎて、水洟を垂らしたので、甘く見たか、忽ち効果がなくなってしまう。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
若衆一人に詰め寄せられて白縮緬組の十人の者は次第次第に後退さり、既に駕籠から離れようとしたが、いい甲斐なしと思ったか、と一人が切り込んで来た。
紅白縮緬組 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私は次の瞬間に思わずアッ! と声を挙げて二足三足後退したのである。死体だ! 畳は血汐でドス黒くなっている。
琥珀のパイプ (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
捕卒の一人は後退する彭を判官の前へ引き据えた。彭はどんな目にあわされることかと思って生きた心地がしなかった。
荷花公主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
飄逸洒脱の鳩渓先生、抜け上った額に春の陽を受けながら、相輪に結びつけたかかり綱伝い、後退りにそろそろと降りて来られる。
平賀源内捕物帳:萩寺の女 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
いつものようにお台所へ下ってお末の出尻と一所に頂くべいとね、後退りに出ようとすると、愛吉さん一ツあげましょうかと、お夏さんが言ったんです。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一度出た門を急に後退りをして厄介ついでに成るべく人の好ささうな教授連に紹介やら保証やらを頼み廻つてゐる。
同時滊角短聲三發蒸滊機關ハッタとまつて、廻旋する推進螺旋泡立飛雪く、本船ち二十米突——三十米突後退したとつたが、此時すでにかつた
播磨 何を下らぬことを! 郁之進ごときが十人掛かっても、後退ぐ余か。
稲生播磨守 (新字新仮名) / 林不忘(著)
タタタタッ——と武蔵の後退がりに引くばかりなので、ここぞと飽くまで押したのである。武蔵の顔はすでに蒼白なのだ。どう見ても呼吸をしている顔ではない。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「賢い! 賢い! はなれず後退りが兵法の妙じゃ! ほら! 一尺! ほら! 二尺! 一人でもはなれたら、この石突きがお見舞い申すぞ! ほら! ほら! 突いてかかればお仲間が田楽ざし! ほら! ほら!」
太陽はまぶしく、銀貨反射しました。みんなは、このをおそれるように後退りをしました。そして、をみはりました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
聞くとひとしくお照は思わず後退りて、朧なる月影にじっと男の顔を見つつ。
片男波 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
子供だちは後退しながら逃げようとした。すると老人は子供だちの方へ指をさして
虎杖採り (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
此返事いて、むつとつた。頭巾剥出して、血色頸元ると後退もしない。またいてた。
飛び上がって後退りした今松
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
おやとふとかひに、兩方いて、ギクリ、シヤクリ、ギクリ、シヤクリとしながら、後退りをするやうにして、あ、あ、とふうちに、スーと、あのあたりの、戸袋えるんです。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
片手をかざした山城守は、どどどッと部屋隅へよろめき後退った。ドウン! 襖にぶつかって、襖が倒れた。一弥は、のように円くなって、小刻みの足を廊下に飛ばせて御用部屋へ走っていた。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
叩いた自分の掌に男の脂汗が淡くくっついたのを敏感に感じながら、加奈江は一歩後退った。
越年 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
後退……ゴスタン……だ陸だッ」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)