“喘”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あえ75.1%
あへ12.2%
はず4.0%
き2.9%
せ2.7%
あへぎ1.0%
あ0.6%
あせ0.4%
い0.2%
な0.2%
はづ0.2%
ほ0.2%
ほっ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
だが、いたわる方の側の息が苦しそうに喘(あえ)いでいるのに対し、いたわられている方のカズ子は岩の上を伝う小鳥のように身軽だった。
千早館の迷路 (新字新仮名) / 海野十三(著)
井戸端に水を汲んでゐる女衆や、畑から帰つて来る男衆は、良平が喘(あへ)ぎ喘ぎ走るのを見ては、「おいどうしたね?」などと声をかけた。
トロツコ (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
馬は、重荷のために後退(あとすざ)りするのを防ごうとして、蹄(ひづめ)にこめた満身の力でふるえながら、脚をひろげ、鼻息をふうふう喘(はず)ませている。
乞食 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
後から息を喘(き)って、権叔父とともに追いついて来たお杉隠居はそのていを見ると、群衆を突きとばし、小脇差のつかに手をかけて歯を剥(む)いた。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生命(いのち)のかぎりを啼きすだく虫の秋を、ここにもまた、生命のまたたきを灯に惜しむ、ふたりの熊野の曲が、野水の喘(せ)くように、墻(かき)の外まで聞えていた。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此故に起きよ、萬(よろづ)の戰ひに勝つ魂もし重き肉體と共になやみくづほるゝにあらずば之をもて喘(あへぎ)に勝て 五二—五四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
頭は鉄兜(てつかぶと)をかぶっているようで、ささえのない下ッ腹は絶えず何かに追ッかけられてるように、トカ、トカと喘(あ)えいでいるのだった。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
だから、結婚を必要事件と、初手から断定して、何時(いつ)か之を成立させ様と喘(あせ)る努力を、不自然であり、不合理であり、且つあまりに俗臭を帯びたものと解釈した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
彼は、山田申楽の二十余名が、いよいよこの地の奉仕(ほうじ)もおえたので、大和の春日へ寄って伊賀へ帰る——というのを領境まで見送っての帰り、馬上、ふウふウ喘(い)いながら戻って来た。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんな時でも稀に名も知らぬ小鳥が奇妙な喘(な)き声をするのを耳にとらえるくらいのもので、蝉の声すらもまったく聴えなかった。
植物人間 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
三千代の顔(かほ)は此前(このまへ)逢(あ)つた時(とき)よりは寧ろ蒼白(あをしろ)かつた。代助に眼(め)と顎(あご)で招(まね)かれて書斎の入口(いりぐち)へ近寄(ちかよ)つた時、代助は三千代の息(いき)を喘(はづ)ましてゐることに気が付いた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ト、いひつつ咳(しわぶき)一咳(ひとつ)して、喘(ほ)と吻(つ)く息も苦しげなり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
臨終(いまわ)の際(きわ)に、兼てより懇意(こころやすく)せし、裏の牧場(まきば)に飼はれたる、牡丹(ぼたん)といふ牝牛(めうし)をば、わが枕辺(べ)に乞(こ)ひよせ。苦しき息を喘(ほっ)ト吻(つ)き
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)