“喘”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あえ74.9%
あへ12.2%
はず4.0%
3.0%
2.7%
あへぎ1.1%
0.6%
あせ0.4%
0.2%
0.2%
はづ0.2%
0.2%
ほっ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
だが、いたわる方の側の息が苦しそうにいでいるのに対し、いたわられている方のカズ子は岩の上を伝う小鳥のように身軽だった。
千早館の迷路 (新字新仮名) / 海野十三(著)
井戸端に水を汲んでゐる女衆や、畑から帰つて来る男衆は、良平がぎ喘ぎ走るのを見ては、「おいどうしたね?」などと声をかけた。
トロツコ (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
馬は、重荷のために後退りするのを防ごうとして、にこめた満身の力でふるえながら、脚をひろげ、鼻息をふうふうませている。
乞食 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
後から息をって、権叔父とともに追いついて来たお杉隠居はそのていを見ると、群衆を突きとばし、小脇差のつかに手をかけて歯をいた。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生命のかぎりを啼きすだく虫の秋を、ここにもまた、生命のまたたきを灯に惜しむ、ふたりの熊野の曲が、野水のくように、の外まで聞えていた。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此故に起きよ、の戰ひに勝つ魂もし重き肉體と共になやみくづほるゝにあらずば之をもてに勝て 五二—五四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
頭は鉄兜をかぶっているようで、ささえのない下ッ腹は絶えず何かに追ッかけられてるように、トカ、トカとえいでいるのだった。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
だから、結婚を必要事件と、初手から断定して、何時か之を成立させ様とる努力を、不自然であり、不合理であり、且つあまりに俗臭を帯びたものと解釈した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
彼は、山田申楽の二十余名が、いよいよこの地の奉仕もおえたので、大和の春日へ寄って伊賀へ帰る——というのを領境まで見送っての帰り、馬上、ふウふウいながら戻って来た。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんな時でも稀に名も知らぬ小鳥が奇妙なき声をするのを耳にとらえるくらいのもので、蝉の声すらもまったく聴えなかった。
植物人間 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
三千代の此前つたよりは寧ろ蒼白かつた。代助にかれて書斎の入口近寄つた時、代助は三千代のましてゐることに気が付いた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ト、いひつつ一咳して、く息も苦しげなり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
臨終に、兼てより懇意せし、裏の牧場に飼はれたる、牡丹といふ牝牛をば、わが枕ひよせ。苦しき息を
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)