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喘
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せ
ふりがな文庫
“
喘
(
せ
)” の例文
生命
(
いのち
)
のかぎりを啼きすだく虫の秋を、ここにもまた、生命のまたたきを灯に惜しむ、ふたりの熊野の曲が、野水の
喘
(
せ
)
くように、
墻
(
かき
)
の外まで聞えていた。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それについてお前に頼みがあるのだが——」病人は破けた風琴のやうに悲しさうにまた
喘
(
せ
)
き入つた。「その千円は世界中でお前が一番
賤
(
いや
)
しいと思ふ人間に呉れてやつて欲しいのだ。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その青春もさかりにかかって、薄い
痩身
(
そうしん
)
を
揉
(
も
)
んでくるしそうに
咳
(
せき
)
を
喘
(
せ
)
いている姿などを見かけると、家臣は胸を傷めただけでなく暗然ともしたものだった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
云いすてると、勝手を知った本丸の第一の間の上段に坐り、後から息を
喘
(
せ
)
いて追いついて来た家臣たちを顧み
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
放たれた小鳥のように、彼女の姿が、真ッ暗な風のなかへ、ばたばたと消えてゆくとすぐに、そこへ、息を
喘
(
せ
)
いて来た加山耀蔵は、憤然と、友の腕くびを引っ掴んで
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
息を
喘
(
せ
)
いて馳けて来た与四郎兵衛が、切腹部屋の前まで出揃った人々を見て、手を振った。
夏虫行燈
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「一大事が起った」と、あわただしく、陳宮を呼びだして、息を
喘
(
せ
)
きながら告げていた。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「——こう寒うては、お城の若様がまた、お
咳
(
せき
)
を
喘
(
せ
)
いてばかりいることだろう」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幸いにも、京の町では誰にも
咎
(
とが
)
められなかった。そしてやがて、息を
喘
(
せ
)
いて上ってゆくのは
叡山
(
えいざん
)
の
麓
(
ふもと
)
だった。彼の心には常にこの山があった。この山は範宴にとって、心の
故郷
(
ふるさと
)
なのである。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
駈け過ぎようとした一人の若侍が、息を
喘
(
せ
)
いてそれへ引っ返して来た。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奥へ駈けこんだ孫六は、
喘
(
せ
)
く息もつかず、一気に寝所の内へ告げた。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
元成
(
もとなり
)
は、正成の姿を見ると、すぐ
喘
(
せ
)
きあげるように、こういった。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここの人だかりに、さてはと息を
喘
(
せ
)
いて来た清十郎は
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
追いついて来るなり、息を
喘
(
せ
)
いていう。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、息を
喘
(
せ
)
いて、激しく叩いた。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
喘
漢検1級
部首:⼝
12画
“喘”を含む語句
喘々
息喘
喘息
残喘
余喘
喘鳴
痰喘
喘息持
喘息病
喘咽
喘歩
喘聲
発喘
餘喘