“はづ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ハヅ
語句割合
42.7%
14.9%
8.2%
7.9%
5.1%
3.8%
2.8%
2.5%
1.9%
1.3%
1.3%
0.9%
0.9%
0.6%
遠慮0.6%
0.6%
0.3%
0.3%
巴豆0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
発奮0.3%
興奮0.3%
0.3%
0.3%
退席0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それでもやつと呼鈴ベルを押すと、明りのさしてゐる障子が開いて、束髪そくはつつた女中が一人ひとり、すぐに格子戸の掛け金をはづしてくれる。
漱石山房の秋 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ヂュリ そのやうなことをそちしたこそくさりをれ! はぢかしゃる身分みぶんかいの、彼方あのかたひたひにははぢなどははづかしがってすわらぬ。
うちへ帰つて、一日いちにち部屋に這入つたなり考へ込んでゐた。あによめを連れて音楽会へ行くはづの所を断わつて、大いにあによめに気を揉ました位である。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
プツゼル婆あさんは黒い大外套の襟に附いてゐる、真鍮のホオクをはづした。そして嚢の中から目金入と編みさしの沓足袋くつたびとを取り出した。
友達に冷笑ひやかされるはづかしさ、家へ歸つて何と言つたものだらうといふ樣な事を、子供心に考へると、小さい胸は一圖に迫つて、涙が留度もなく溢れる。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
はづかしくもなくくこんな莫迦ばかげたことかれたものだ』とグリフォンがしました。彼等かれら雙方さうはうともだまつたまゝすわつてあはれなあいちやんをてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
はづれの河堤の桜が咲きはぢめて、夜桜の雪洞が燭いたから花見へ行つて見ないかと近所の若者に誘はれたが滝本は、昼も夜も自分の部屋に引き籠つてゐた。
南風譜 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
向うは只一度打つた切りで、それも慌てゝ狙ひがはづれました。皆山から駈け下りて来るはずみで、踏み留まる事が出来ません。それを下で待ち受けてゐたのですね。
左へ躱した自動車は、躱し方が余りに急であつた為、はづみを打つてそのまゝ、左手の岩崖を墜落しさうな勢ひを示した。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
古時計はナポレオン三世のやうな気忙きぜはしさうな顔をして、露西亜人などには頓着とんぢやくなく息をはづませてゐる。紳士はいつになく露西亜が恋しくなつて来た。
今日こんにち世界せかいゆうする地震學參考書ぢしんがくさんこうしよ中堅ちゆうけんをなすものであつて、これ事業じぎようは、日本地震學會時代につぽんぢしんがつかいじだいおい專有せんゆうしてゐたわがくに名聲めいせいはづかしめなかつたといへるであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
「伊藤君、先生は君の顔を見た、たしかに見た、第二の芳賀に君は擬せられとる!」と私は息をはづませて言つた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
扨も世を無常と觀じては斯かる侘しき住居も、大梵高臺の樂みに換へらるゝものよと思へば、あるじの貴さも彌増いやまして、今宵こよひの我身やゝはづかしく覺ゆ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「まだ巳刻よつ前だよ、良い兄さんが髷節まげぶしほこりを附けて歩く時刻ぢやないよ。それに氣組が大變ぢやないか。叔母さんとこの味噌汁みそしる煮豆にまめぢや、そんなはづみがつくわけはねえ」
女子をんなどもは何時いつしか枕もとを遠慮はづして四辺あたりには父と母と正雄のあるばかり、今いふ事は解るとも解らぬとも覚えねども兄様にいさん兄様と小さき声に呼べば、何か用かと氷袋を片寄せて傍近く寄るに
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
院長がそれをはづして、凸面のレンズでランプの光線を注ぎながら、柄の附いた正方形の金屬板の穴から覗いて目の中を調べる際に、冷吉は僅に、院長の、髮を短く毬栗にした、薄黒い顏の色と
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
この外交官はその頃名うての筆まめな男で、はづみに乗るとどんな皮肉を書き出すか判らなかつた。物もあらうに、回想録とは、聞く身にとつて如何いかにも気持が悪かつた。
三千代のかほ此前このまへつたときよりは寧ろ蒼白あをしろかつた。代助にあごまねかれて書斎の入口いりぐち近寄ちかよつた時、代助は三千代のいきはづましてゐることに気が付いた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
巴豆はづといひ附子ぶしといふも皆是薬、障礙しやうげ悪神あくじん毘那耶迦びなやかも本地はすなはち毘盧沙那如来びるしやなによらい、此故に耆婆きばまなこを開けば尽大地の草木、保命ほうみやうの霊薬ならぬも無く、仏陀ぶつだ教を垂るれば遍虚空へんこくう鬼刹きせつ
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ここにその將軍既に詐りをけて、弓をはづし、つはものを藏めつ。ここに頂髮たぎふさの中よりけのゆづるり出で更に張りて追ひ撃つ。かれ逢坂あふさかに逃げ退きて、き立ちてまた戰ふ。
私の声が調子はづれに大きかつたので、青野はあかくなつて、はにかんでしまつた。
競馬の日 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
幾分声をはづませながら、野村は言つた。北はひどく驚いたやうだつた。二人は暫く言葉もなく向ひ合つてゐたが、やがて肩を並べてそこを出た。
月日 (新字旧仮名) / 北条民雄(著)
「は、」と、おもはず雪枝ゆきえは、此方こなたひそみながら押堪おしこらへたいき発奮はづんだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だが困つた事には身体からだが牛のやうに肥えてゐるので、お説教が興奮はづむと、ふいごのやうな苦しさうな息遣ひをする。
見る者なかりしとこゝ浪人體らうにんていさむらひの身には粗服そふくまとひ二月の餘寒よかんはげしきに羊羹色やうかんいろの羽織を着て麻のはかま穿はきつかはづれし大小をたいせし者常樂院じやうらくゐんの表門へ進みいらんとせしが寺内の嚴重げんぢうなる形勢ありさま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
頭の所爲せい天氣てんき加減かげんか、何時もは随分ずゐぶんよくかたる二人も、今日けふは些ツともはなしはづまぬ。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
カピ妻 ようとはうぢゃ。乳母うばや、ちっとの退席はづしてたも、内密ないしょうはなしぢゃによって。……いや/\、乳母うばもどりゃ、一通ひとゝほいておいてもらうたはうがよかった。
はづしなされませ。わたくし聞質きゝたゞしてませう。どうしてもこばまッしゃらうかもれぬが。