“はた”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ハタ
語句割合
傍16.1%
果14.0%
端12.9%
機10.4%
旗6.5%
畑6.0%
礑3.8%
側3.6%
払3.2%
他1.9%
畠1.7%
将1.7%
幡1.7%
働1.0%
將0.9%
畔0.8%
秦0.8%
幡多0.7%
圃0.7%
叩0.6%
二十0.6%
掃0.6%
撲0.5%
旌0.5%
鰭0.5%
幟0.5%
幢0.4%
敲0.4%
活0.4%
徴0.3%
拂0.3%
拊0.3%
搏0.3%
撃0.3%
旆0.3%
波多0.3%
織機0.3%
上帛0.2%
撲地0.2%
旗幟0.2%
殴0.2%
促0.2%
打0.2%
旁0.2%
旛0.2%
経幡0.2%
織0.2%
辺0.2%
繒0.1%
督促0.1%
他所0.1%
先頭0.1%
却0.1%
吐0.1%
周囲0.1%
外0.1%
局外0.1%
弾0.1%
搗0.1%
撲叩0.1%
撾0.1%
擲0.1%
旌旗0.1%
旒0.1%
機織0.1%
田園0.1%
磤0.1%
突0.1%
籏0.1%
紙幟0.1%
織機械0.1%
討0.1%
鐺0.1%
門外0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
湯の谷もここは山の方へ尽(はずれ)の家で、奥庭が深いから、傍(はた)の騒しいのにもかかわらず、森(しん)とした藪蔭(やぶかげ)に、細い、青い光物が見えたので。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
敗(やぶ)れたる專(せん)門棋士(きし)の胸(けう)中や果(はた)して如何に? どんな勝負(せうふ)事も背(はい)後に生活(くわつ)問題(もんだい)が裏(うら)附けるとなれば一そう尖鋭化(せんえいくわ)してくる事は明かだが
彼らはえいえいと鉄条網を切り開いた急坂(きゅうはん)を登りつめた揚句(あげく)、この壕(ほり)の端(はた)まで来て一も二もなくこの深い溝(みぞ)の中に飛び込んだのである。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
翌朝(よくあさ)起(お)きると、すでに気(き)づかれたと悟(さと)ったものか、機(はた)は、織(お)り残(のこ)しのままになって、女(おんな)の姿(すがた)はどこへか消(き)えて見(み)えなかったのでした。
はまねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
私(わたくし)と、日出雄少年(ひでをせうねん)と、他(ほか)に一群(いちぐん)の水兵(すいへい)とは、陸(りく)に留(とゞま)つて、其(その)試運轉(しうんてん)の光景(くわうけい)を眺(なが)めつゝ、花火(はなび)を揚(あ)げ、旗(はた)を振(ふ)り、大喝采(だいかつさい)をやる積(つも)りだ。
見渡す限り畑(はた)や圃(はたけ)は黄金色に色づいて、家の裏表に植(うわ)っている柿や、栗の樹の葉は黄色になって、ひらひらと秋風に揺れています。
嵐の夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
然るに其の時間という生緩いものも無くなって、礑(はた)と自然に魂が直面して打たれた場合である。前のは動的であるが、これは静的である。
穂高岳 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「僕はこれから家へ帰ってマザーに悉皆(すっかり)謝罪する。明日から生れ更った積りで働く。君は一つ側(はた)から大いに気を利かしてくれ給え」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「御生憎(おあいにく)様、もうこれぎりなの。到来物よ」と云って梅子は縁側へ出て、膝(ひざ)の上に落ちたウエーファーの粉(こ)を払(はた)いた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
然うしてその小さな眼のうちは、他(はた)の批評を一句も聞き漏らすまいといつもおど/\と慄(ふる)へてゐた。義男の友達も多勢見に來た。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
為朝(ためとも)はそこから上(あ)がって、ずんずん奥(おく)へ入(はい)って見(み)ますと、一めん、岩(いわ)でたたんだような土地(とち)で、田(た)もなければ畠(はた)もありません。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
知らず、その老女(ろうによ)は何者、狂か、あらざるか、合力(ごうりよく)か、物売か、将(はた)主(あるじ)の知人(しりびと)か、正体の顕(あらは)るべき時はかかる裏(うち)にも一分時毎に近(ちかづ)くなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
旧暦六月十五日に幡(はた)を上げ、秋期彼岸にこれを下ろすに、その幡の巻き方によって風災の有無を判定することになっておる。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
お前(まへ)さんは日(ひ)の出(で)の盛(さかん)な處(ところ)を見(み)て、元氣(げんき)よく働(はた)らいたのは宜(よろ)しい、これからは、其美(そのうつ)くしい處(ところ)を見(み)て、美(うつ)くしい働(はたらき)をも爲(す)るが可(よ)からう。美(うつく)しい事(こと)を。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
徳を以て、將(はた)人を以て、柱とも石とも頼まれし小松殿、世を去り給ひしより、誰れ言ひ合はさねども、心ある者の心にかゝるは、同じく平家の行末なり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
そのころ日比谷や池ノ畔(はた)、隅田川(すみだがわ)にも納涼大会があり、映画や演芸の屋台などで人を集め、大川の舟遊びも盛っていた。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「しかし秦(はた)という字だね。秦という男が自分の苗字は支那から来たと言っていたぜ。矢っ張り工学士だから、彼奴はその支那の職人の子孫か知ら?」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
佐川へ帰ると大いに土佐の国で採集せねばいかんと思い、佐川から西南地方の幡多(はた)郡一円を人足を連れて巡り、かなりの日数を費して、採集して歩いた。
たちまち左手(ゆんで)の畑路(みち)より、夫婦と見ゆる百姓二人話しもて出(い)で来たりぬ。午餉(ひるげ)を終えて今しも圃(はた)に出(い)で行くなるべし。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
信斎は自分の学問の底を叩(はた)いて、色々利益(ため)になりさうな名句を拾ひ集めては比べてみたりした。そして漸(やつ)と出来上つたのが、平(ひら)の蓋に
町役所の土壇(テラッス)に持ち出された大眺望鏡を十重二十(はた)重に取り囲んだ群集が、いずれも殺気だった面持で虚空をみつめているので、日ごろ物見高いコン吉はたちまち活況を呈してそっちへ駆け寄り
可愛い男が忍ばしてあるから、巾着の底を掃(はた)いて精々のご馳走をしているんだ
半七雑感 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
二ツ三ツ頭を撲(はた)いた末、筑阿弥は彼よりも何倍も優(まさ)った力で、日吉の体を吊し上げ、わが家のほうへ駈けて行った。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やっと、ややおちついて四壁(へき)をみると、龍燈(りゅうとう)、鳳燭(ほうしょく)の光は、碧(みどり)と金色(こんじき)を映(は)え交(か)わし、二列となっている仙童女は、旌(はた)、香瓶(こうびん)、笏(しゃく)、供華(くげ)などをささげていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつの時代(ときよ)なりけん。紀の国二三輪が崎に、大宅(おほや)の竹助といふ人在りけり。此の人三海の幸(さち)ありて、海郎(あま)どもあまた養ひ、四鰭(はた)の広(ひろ)物狭(さ)き物を尽(つく)してすなどり、家豊かに暮しける。
あの他人(ひと)の云ふことは何でも双手をあげて賛成する村長に話したら村の栄えのために村の客として迎えよう、幟(はた)をつくり、野楽隊(バンド)を繰り出し、花火を挙げて迎えよう
円卓子での話 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
女菩薩(にょぼさつ)の幢(はた)、墨染の法衣(ころも)、それから十文字の怪しい護符、一目見て私の甥は、それが例の摩利信乃法師だと申す事に、気がついたそうでございます。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼はたゞ彼(かれ)の運命に対してのみ卑怯であつた。此四五日は掌(てのひら)に載(の)せた賽(さい)を眺(なが)め暮(く)らした。今日(けふ)もまだ握(にぎ)つてゐた。早く運命が戸外(そと)から来(き)て、其手(て)を軽く敲(はた)いて呉れれば好(い)いと思(おも)つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そうして師匠の慈愛が、自分のほんとうに生きやうとする心の活(はた)らきを一時でも痲痺(しび)らしてゐた事にあさましい呪ひを持つやうな時さへ來た。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
それゆえ、この歌に応(こた)えた、「檀越(だむをち)や然(し)かもな言ひそ里長(さとをさ)らが課役(えつき)徴(はた)らば汝(なれ)も半(なから)かむ」(巻十六・三八四七)という歌の例と、万葉にただ二例あるのみである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
座(ざ)にあるもの二言(にごん)と無(な)い。喜(よろこ)び勇(いさ)んで、煙管(きせる)を筒(つゝ)にしまふやら、前垂(まへだれ)を拂(はた)くやら。
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
お俊は苛立(いらだ)ちて彼の横膝(よこひざ)を続けさまに拊(はた)きぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
開いた前肢(ぜんし)、嘲(あざけ)り嘲り、巨躯を掻き、また搏(はた)きうつ後肢(こうし)の鰭(ひれ)。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
馭者は懐裡(ふところ)を捜(さぐ)りて、油紙の蒲簀莨入(かますたばこい)れを取り出だし、いそがわしく一服を喫して、直ちに物語の端を発(ひら)かんとせり。白糸は渠が吸い殻を撃(はた)くを待ちて
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
文意の前後重複のところあるだろうがひとえにそれは許して貰いたい、要は、こうして圓朝打倒の大旆(はた)を揚げた人たちはかえって内に外にいつも空しく惨敗を喫することとはなってしまったのだった。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
姫や、侍婢、近侍と共に出奔した、野麦峠を越えて、信州島々谷にかかったころは、一族主従離れ離れになり、秀綱卿が波多(はた)へ出ようとするところを、村の人々に落人(おちうど)と見られて取り囲まれ
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
泥によごれた無数の軍馬の脛(すね)が、織機(はた)のように脚速(きゃくそく)をそろえて、敵方の甲冑武者(かっちゅうむしゃ)を騎(の)せ、長槍や陣刀を舞わせながら、二人の顔の上を、躍りこえ、躍りこえして、駈け去った。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
裁ちきった布を綴り合せて縫い初めると、二日もたたぬ間に、大きな一面の綴りの上帛(はた)が出来あがった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
市郎はあッと顔を押えながら、腹立紛(はらたちまぎ)れの殆ど無意識に、お杉の胸の辺(あたり)を強く突くと、彼女(かれ)は屏風倒しに撲地(はた)と倒れた。袋の山毛欅は四方に散乱した。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
偉大なる殿堂の旗幟(はた)を仰げよ
傾ける殿堂 (新字旧仮名) / 上里春生(著)
あたかも強く吹いて来る川風のために二つの火縄は消されてしまった。はっと思う間もなしに、市五郎は殴(はた)かれたか蹴られたか、声を立てずにその場に倒れた。
馬妖記 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
又一方(かた/\)は前橋の竪町で、清水助右衞門と云って名高い富豪(ものもち)でありましたが、三千円の金を持って出た切(ぎ)り更に帰って来ませんので、借財方から厳しく促(はた)られ遂(つい)に身代限りに成りまして、微禄(びろく)いたし
これが顋(あご)の疵(きず)は何うした、なぜ縁側から突落(つきおと)した、お女郎(じょうろ)だアから子を持ったことが無(ね)えから、子の可愛い事は知りますめえが、あんたに子が出来て御覧なさえ、一つでも打(はた)くことは出来ねえよ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
壻に擬せられている番頭某と五百となら、旁(はた)から見ても好配偶である。五百は二十九歳であるが、打見(うちみ)には二十四、五にしか見えなかった。それに抽斎はもう四十歳に満ちている。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
青地に四印曼荼羅(まんだら)を描いた旗と、蓮華広大曼荼羅を描いたものとを掛けて、飯食を供し、旛(はた)の上方には、加治木玄白斎が、自分の血で、三股金剛杵を描き、その杵の中に、一宇頂輪の真言を書いた。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
許宣は保叔塔寺(ほしゅくとうじ)へ往って焼香しようと思って、宵に姐に相談して、朝はやく起きて紙の馬、抹香(まっこう)、赤い蝋燭(ろうそく)、経幡(はた)、馬蹄銀(ばていぎん)の形をした紙の銭などを買い調(ととの)え、飯を喫(く)い、新らしく仕立てた衣服(きもの)を着
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「男結びとか、女結びとか、織(はた)結びとか?」
……艶(えん)なる女優の心を得た池の面(おも)は、萌黄(もえぎ)の薄絹のごとく波を伸べつつ拭(ぬぐ)って、清めるばかりに見えたのに、取って黒髪に挿そうとすると、ちっと離したくらいでは、耳の辺(はた)へも寄せられぬ。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
夜ごと日ごとに鏡に向える女は、夜ごと日ごとに鏡の傍(そば)に坐りて、夜ごと日ごとの繒(はた)を織る。ある時は明るき繒(はた)を織り、ある時は暗き繒(はた)を織る。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
シャロットの女の織るは不断の繒(はた)である。草むらの萌草(もえぐさ)の厚く茂れる底に、釣鐘の花の沈める様を織るときは、花の影のいつ浮くべしとも見えぬほどの濃き色である。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今まで黙りて居しは意気地(いくじ)なきのにはあらず、夫死してもわれは生きたりと言い顔に、知らず知らず積みし貸し金、利に利をつけてむやみに手近の者に督促(はた)り始めぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
吝嗇者(りんしょくもの)の日済(ひなし)を督促(はた)るように、われよりあせりて今戻せ明日(あす)返せとせがむが小人(しょうじん)にて、いわゆる大人(たいじん)とは一切の勘定を天道様(てんとうさま)の銀行に任して、われは真一文字にわが分をかせぐ者ぞ
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
若林と吾輩がイクラ他所(はた)から苦心努力しても、現在の自己障害……『自我忘失症』から離脱出来ないであろう事が、やっと今になって判ったのだ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
危うくトラック隊の先頭(はた)を切ると、それに寄り添うようにして線路の真ん中にピタリと止まる。その中から転び出るように下り立った一人の人物。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
緊羯羅(こんがら)童子を使うて、世間の新聞一切報告せしむる方を載せ、この童子用なき日は、一百金銭を持ち来り、持呪者に与う、しかしその銭は仏法僧のために用(つか)い却(はた)し、決して吝(おし)んじゃいけないとは
『ハツハハ。相不変(あひかはらず)不減口(へらずぐち)を吐(はた)く! 暑いところを能くやつて来ましたね。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
岸本が自分の生活を根から覆(くつがえ)そうとして掛ったことは、今更眼に見えない牢屋(ろうや)なぞを出られて堪(たま)るものかというものをも、嘘(うそ)を嘘として置いて貰わないことには周囲(はた)で迷惑だというものをも
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「人間、好きな道には命さえ投げ出すよ、仕事というものは、外(はた)で人の見るほど苦になるものじゃない」
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
局外(はた)のものが何んの気もなしに考えれば、愚にもつかぬ事なれど、色気があって御覧(ごろう)じろ。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
船橋氏は記念(かたみ)の『欧山米水』を取り出して、一寸(ちよつと)表紙の埃を弾(はた)いて読みかけてはみたが、別に軍人を天使のやうに書いてもなかつたので、その儘打捨(うつちや)らかして了つた。
ただやたらに痘斑や窪みがその輪郭を破っているため、民衆的な表現に従えば、悪魔が夜な夜な豌豆を搗(はた)きにくるといった顔に数えられる訳である。
左の腕の中に城太郎の顎(あご)を引っかけ、三つ四つ、ぴしゃぴしゃ撲叩(はた)いて
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
穀を連枷(からさお)で撾(はた)いてしまうまで穀精納屋に匿れいるとか、仲冬百姓が新年の農事に取り掛からんと思う際、穀精再び現わるとか、山羊と猪の差こそあれ
ウガチとかコガシとか申す者は空抜(うろぬき)にしてと断りながら、青内寺(せいないじ)煙草(たばこ)二三服馬士(まご)張(ば)りの煙管(きせる)にてスパリ/\と長閑(のどか)に吸い無遠慮に榾(ほだ)さし焼(く)べて舞い立つ灰の雪袴(ゆきんばかま)に落ち来(きた)るをぽんと擲(はた)きつ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
(敵の名目人とあるからには、それは敵の大将である。三軍の旌旗(はた)である)
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
庭先に立てられた「祝出征……」の旒(はた)を、彼はつくづくと見上げていたが、やがてまた、袖と袖の間に顔を埋めてさめざめと泣きはじめた。
一老人 (新字新仮名) / 犬田卯(著)
「僕の家じゃ、畑仕事はしてもらう必要はないけれど、養蚕や機織(はた)くらいは覚えておいてもいいね。」
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
多恨のダビデが歌ふて「ギルボアの山よ、願はくは汝の上に雨露(あめつゆ)降ることあらざれ、亦供物(そなへもの)の田園(はた)もあらざれ、其(そ)は彼処(かしこ)に勇士の干棄(たてす)てらるればなり」と哭(こく)せし山也。
彼はこれのみ開封せずして、やがて他の読壳(よみがら)と一つに投入れし鞄を磤(はた)と閉づるや、枕に引寄せて仰臥(あふぎふ)すと見れば、はや目を塞(ふさ)ぎて睡(ねむり)を促さんと為るなりき。されども、彼は能(よ)く睡(ねぶ)るを得べきか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
隅棚(すみだな)の枕時計は突(はた)と秒刻(チクタク)を忘れぬ。益(ますま)す静に、益す明かなる閨(ねや)の内には、空(むな)しとも空(むなし)き時の移るともなく移るのみなりしが、忽(たちま)ち差入る鳥影の軒端(のきば)に近く、俯(ふ)したる宮が肩頭(かたさき)に打連(うちつらな)りて飜(ひらめ)きつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼はその深夜に動いて行く松明(たいまつ)の輝きを想像し、榊(さかき)、籏(はた)なぞを想像し、幣帛(ぬさ)、弓、鉾(ほこ)なぞを想像し、その想像を同門の人たちのささげて行く四大人の御霊代にまで持って行った。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
昨夜(ゆうべ)の豪雨(ごうう)は幸にからり霽(は)れて、道も大抵乾いて居る。風が南からソヨ/\吹いて、「諸行無常」「是生滅法」の紙幟(はた)がヒラ/\靡(なび)く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
作るやうに、此の家にはない込みいつた織機械(はた)を使はなければなりません。こんな機械は、羊毛を織る大工場にでも行かなければありませんね。
日本で近頃流行の「討論」をラヂオや何かで聞いてゐると、それは文字通り「討(はた)し」合ひであり、討ち合ひである。相手の議論を眞向から叩きつける。
デモクラシーのいろいろ (旧字旧仮名) / 笠信太郎(著)
賣(うる)術(すべ)など知らざる上に都(みやこ)は知らず在方(ざいかた)では身の賣買(うりかひ)は法度(はつと)にて誰に頼(たの)まん樣もなく當惑(たうわく)なして居たりしが十兵衞鐺(はた)と膝(ひざ)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
▲門外(はた)から見ると文人の生活は極めて呑気に思われる。ノホホンだの後生楽(ごしょうらく)だの仙人だの若隠居だのという冷罵を我々は何百遍何千遍も浴びせられた。
駆逐されんとする文人 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)