はた)” の例文
白亀の改元かいげん白鳥しらとり神瑞しんずゐ、八幡のはと、源家のはた、すべて白きは 皇国みくに祥象しやうせうなれば、天機てんき白熊はくいうをいだししも 昇平万歳しようへいばんぜいの吉ずゐ成べし。
わたくしと、日出雄少年ひでをせうねんと、ほか一群いちぐん水兵すいへいとは、りくとゞまつて、その試運轉しうんてん光景くわうけいながめつゝ、花火はなびげ、はたり、大喝采だいかつさいをやるつもりだ。
青年せいねんは、あかはたが、黄昏たそがれうみに、えるのを見送みおくっていました。まったくえなくなってから、かれはがけからおりたのであります。
希望 (新字新仮名) / 小川未明(著)
多々良川の川ぐちまでのあいだ、敵影は見ず、対岸の名島の高地に、はたのぼり、うす煙などが強風下に翻々ほんぽんと狂い舞ッているだけだった。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その話を聞いた老人夫婦は内心この腕白わんぱくものに愛想あいそをつかしていた時だったから、一刻も早く追い出したさにはたとか太刀たちとか陣羽織じんばおりとか
桃太郎 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
停船の間際に舞台の上を見ると黒い長※の男が、四つのはたを背に挿して、長槍をしごき、腕を剥き出した大勢の男と戦いの最中であった。
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
たいまつをつけた人がさきつと、長持ながもちのうしろには神主かんぬしがつきって、はたほこてて、山の上のおやしろをさして行きました。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
英文学に異彩をはなつと称せらるるかの有名なるミルトンの『失楽園パラダイスロスト』の主人公は、神を相手に謀叛むほんはたひるがえした悪魔の雄将サタンである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
光吉こうきちは自分の目をうたぐった。先頭に立って、二メートルちかくもあるはたざおをかついでくる女の人が、見たことのある人のように思えたのだ。
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
ジョバンニが見ている間その人はしきりに赤いはたをふっていましたが、にわかに赤旗あかはたをおろしてうしろにかくすようにし
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
店の前に立てた、赤地あかじに白くそめ出した長いはたが、氷をふくんだような朝の風に、はたはたと寒そうに鳴っていました。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
一息ひといきついた自分は、とっさに戸の上部じょうぶのガラスまどをやぶろうと考えた。いきなり、うしろをふりむくと、手にしたはたのぼうでガラスをつきくだいた。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
サクラ湾頭わんとうに立てたはたがさんざんに破れたので、あしをとって大きな球をつくりそれをさおの先につけることにした。八月といえば北半球の二月である。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
參詣さんけい老若男女らうにやくなんによは、ぞろ/\と、るやうに松並木まつなみきみち往來わうらいして、ふくろはひつたあめや、かみこしらへたはたのやうなものが、子供こどもにも大人おとなにもあつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
この日は巡査じゅんさ背中せなかを向けて行ってしまった。親方はぼうしを手に持ってこしを曲げたまま、にやにやしながら、はたいて退しりぞてきに向かって敬礼けいれいした。
余等はみちびかれて紅葉館のはたともに立てた小舟に乗った。宿引は一礼いちれいして去り、船頭はぎい櫓声ろせいを立てゝぎ出す。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
なぜというと、向こうには赤い屋根とはたが見えますし、道の両側には白あじさいと野薔薇のばらが恋でもしているように二つずつならんで植わっていましたから。
ニールスは、金文字きんもじで書いた大きなはたがヒラヒラしているのを見て、すぐにそれとわかりました。その人たちは、いつまでもいつまでも、歌っていました。
そうして、このおしろとうのほうをよく見ているんですよ。もしも男の子が生まれれば、白いはたをかかげますからね。そうしたら、みんなでかえっていらっしゃい。
馬の上の少年少女たちに失敬しっけいしてみたり、はた持ちの旗をかついだり、もうまったく夢中むちゅうになっています。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
得られたれば此度このたび旦那だんなおほせ別家べつけでも出しつかはすべきか幸ひ天神丸の新艘卸しんざうおろしなれば其方上乘うはのりして大坂へなり又は江戸へなり勝手かつてな所で一はたあぐべしとて手元金として七百兩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
宗助そうすけ例刻れいこくかへつてた。神田かんだとほりで、門並かどなみはたてゝ、もうくれ賣出うりだしをはじめたことだの、勸工場くわんこうば紅白こうはくまくつて樂隊がくたい景氣けいきけさしてゐることだのをはなししたすゑ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それがのちつてから方方はう/″\陸地測量部りくちそくりやうぶの三角測量臺かくそくりやうだいてられてそのうへちひさなはたがひら/\とひらめくやうにつてからそのもり見通みとほしにさはるといふので三四ほんだけらせられた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
曰ふ、しやうはたるは、氣盛なる者之を能くす、而かも眞勇しんゆうに非ざるなり。孤城こじやうえんなきに守り、せん主を衆そむくにたもつ、律義者りちぎものに非ざれば能はず、故に眞勇は必ず律義者りちぎものに出づと。
成経 (康頼のそばに走る)はただ! たしかに赤い旗が見える。平氏の官船かんせんだ。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
、こゝに、ひく草畝くさあぜ内側うちがはに、つゆとともに次第しだいく、提灯ちやうちんなかに、ほのしろかすかえて、一張ひとはり天幕テントがあつた。——晝間ひるまあかはたつてた。はたおともなくきたはうなゝめなびく。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
行列のさきに押し立てたのは救民と書いた四はんはたである。次に中に天照皇大神宮てんせうくわうだいじんぐう、右に湯武両聖王たうぶりやうせいわう、左に八幡大菩薩はちまんだいぼさつと書いた旗、五七のきりに二つびきの旗を立てゝ行く。次に木筒きづゝが二ちやう行く。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
かへりみるとまち旅館りよかんはた竿頭かんとうしろうごいてる。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ふるるのはやつぱりしろはた
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
不安ふあんいま、黒きはたして
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
はたさしもの笠符かさじるし
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
「きつねさん、あなたは、はたって、その行列ぎょうれつなかはいっていましたよ。わたしたちがやるときにも、どうかあのようにしてください。」
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
『や、や、あのはたは、あのふねは。』とばかり、焦眉せうびきふわすれてをどつ、わたくしいそそのほうまなこてんぜんとしたが、ときすでおそかつた。
ただ城楼じょうろう高きところ——さがふじ大久保家おおくぼけ差物さしものと、淡墨色うすずみいろにまるくめたあおいもんはたじるしとが目あたらしく翩翻へんぽんとしている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
桃太郎は桃のはたを片手に、日の丸の扇を打ち振り打ち振り、犬猿雉いぬさるきじの三匹に号令した。犬猿雉の三匹は仲の家来けらいではなかったかも知れない。
桃太郎 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
手ぬぐいのはしから、そそけたかみがのぞいて、風にゆれている。つめたいはたざおをおさえた両手の指は、かじかんでふくらんでいるように見える。
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
あの下流かりゅうの赤いはたの立っているところに、いつもうでに赤いきれをきつけて、はだかに半天はんてんだけ一まいてみんなの泳ぐのを見ている三十ばかりの男が
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
自分はむちゅうでランプをさしつけたまま、後ずさりに戸口へ近づき、はたを持っていた方の手をうしろへまわして戸口をさぐってみると、ぎくっとした。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
屋根にはイルミネーションがつき、前面には金銀のまくが下がり、幾本いくほんものはたがにぎやかに立ちならび、すべて新吉の町につくったものと少しもわりませんでした。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
こして、その間にここへはたを立てておけば、通航つうこうの船が見つけて助けてくれるかもしれんじゃないか
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
また西郷南洲さいごうなんしゅう廟堂びょうどうより薩南さつなんに引退した時の決心、また多数にようせられ新政厚徳こうとくはたぐるに至った心中は、おそらくはその周囲におった人にも分からなかったであろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
川の上には、ちょうど中ほどの河岸かし通りに沿って数知れない船が停泊ていはくして、林のようにならんだ帆柱ほばしらや、帆づなや、それにいろいろの色のはたを風にばたばた言わせながらおし合いへし合いしていた。
「え、あの道路からずっとなんですよ。彼処あすこはたが立ってますだ」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
はた真赤まっかに宙をあおつ。
朱日記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
踏切番ふみきりばんはたふりぢいさん
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
おきまっていますふねがこれでございます。おじいさんは、あのくろはたっているほばしらのしたのところにすわってっています。
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
大日本帝國だいにつぽんていこく海軍大佐櫻木重雄かいぐんたいささくらぎしげを本島ほんとう發見はつけんす、いま大日本帝國だいにつぽんていこく占領地せんりようちなり、おくれてこのしま上陸じやうりくするものは、すみやかにはたいて立去たちさ
その夜、かれは、思いこんだようすで、楽隊がくたいはたもちのしごとはぜひ自分にさせてもらいたいと熱心ねっしんにたのんだ。
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
甲斐かいざかいの憂惧うれいがされば、これで心をやすらかにして、はた中原ちゅうげんにこころざすことができるというもの。家康いえやすにとって、伊那丸はおそろしいがんであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
砂の向うの、青い水と救助区域きゅうじょくいきの赤いはたと、向うのブリキ色の雲とを見たとき、いきなり私どもはスウェーデンの峡湾きょうわんにでも来たような気がしてどきっとしました。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)