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一張
読み方 | 割合 |
ひとはり | 92.9% |
いっちょう | 7.1% |
ほんの
板囲いに過ぎない仮屋の
藺莚のうえではあるが、白い
衾は厚くかさねられ、片隅には、職人図を描いた
屏風が
一張立てられてあった。
言合はせたやうに、
一張差置いた、
眞の
細い、
乏しい
提灯に、
頭と
顏をひしと
押着けた
處は、
人間唯髯のないだけで、
秋の
蟲と
餘りかはりない。
錦の帯を解いた様な、
媚めかしい草の上、雨のあとの
薄霞、山の
裾に
靉靆く
中に
一張の
紫大きさ
月輪の如く、はた
菫の花束に似たるあり。