“いっちょう”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
一朝37.4%
一挺30.8%
一梃13.2%
一蝶4.4%
一丁3.3%
一町3.3%
溢漲2.2%
一張1.1%
一調1.1%
一貼1.1%
一鳥1.1%
乙鳥1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
何が僕を一朝いっちょうにして豹変ひょうへんせしめたか、そのキッカケは、大学三年のときに、省線電車「信濃町しなのまち」駅の階段を守ったという一事件に発する。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
くだるに従って、深い穴の底はいよいよ暗かった。彼がわずかに頼みとするのは、鬼火のように燃ゆる一挺いっちょうの蝋燭の他は無かった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
皆々打笑ひ、熊の皮を取り、十文字にさす竹入れ、小屋の軒に下げて見せ、且つ山刀一梃いっちょうを与へて帰らしむ。其後数日来ずと謂へり
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「土佐狩野はいうに及ばず、応挙、光琳の風をよく呑み込んで、ちょっと浮世絵のほうでは又平から師宣、宮川長春などという所を見破って、其へ一蝶いっちょうの艶のある所をよく味わって」
修学旅行しゅうがくりょこうのとき、桟橋前さんばしまえの小料理屋で、てんぷらうどん一丁いっちょうッとさけんでいた松江の姿が、久しぶりに生きて動いて、いま目の前にいる松江とむすびつこうとしている。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
が、ものの一町いっちょうも行く間、彼はそうして葉巻を吸っているばかりだった。湯河が馬鹿にされたような気持でイライラして来たことは云うまでもない。
途上 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
パリーと自身との間に感ぜられる反対性は、彼の個性をきわだたせながら彼の力を倍加せしめた。ぜひとも自己表現を求める熱情の溢漲いっちょうであった。その熱情は各種のものだった。
にしきの帯を解いた様な、なまめかしい草の上、雨のあとの薄霞うすがすみ、山のすそ靉靆たなびうち一張いっちょうむらさき大きさ月輪げつりんの如く、はたすみれの花束に似たるあり。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
又藩公へお客様の時には、翁は囃子、仕舞、一調いっちょう等を毎々つとめた。他家へお供して勤めた事もあったが、同時に師匠の能静師の事が藩公へ聞こえたのであろう。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
わたしは腫物できもので困つてゐる者ですが、幸ひに親切な人が一貼いっちょう膏薬こうやくをくれまして、これを貼ればぐになおるといふのです。
赤膏薬 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
尾張一ノ宮の医森一鳥いっちょうの長子で、この時年十七。鷲津益斎の家塾に学んでいた。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ただ一筋の出処しゅっしょの裏には十重二十重とえはたえ因縁いんねんからんでいるかも知れぬ。鴻雁こうがんの北に去りて乙鳥いっちょうの南にきたるさえ、鳥の身になっては相当の弁解があるはずじゃ。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)