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一挺
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いっちょう
ふりがな文庫
“
一挺
(
いっちょう
)” の例文
大江山警部が茶筒をあけてみると、内部には果して
一挺
(
いっちょう
)
のピストルが入っていた。弾丸をぬき出してみると、確かに
口径
(
こうけい
)
四・五センチだ。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
降
(
くだ
)
るに従って、深い穴の底はいよいよ暗かった。彼が
僅
(
わずか
)
に頼みとするのは、鬼火のように燃ゆる
一挺
(
いっちょう
)
の蝋燭の他は無かった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そして、ゆっくりゆっくりズボンのポケットに手を入れると、
一挺
(
いっちょう
)
の小型ピストルを取り出して、警官たちの鼻の先につきつけるのであった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
木俣は片ひざをついた、がこのときかれの手は早くもポケットに入った、
一挺
(
いっちょう
)
の
角柄
(
つのえ
)
の小刀がその手にきらりと輝いた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
むす子は
歯牙
(
しが
)
にかけず、晴々と笑っていて、「いいものを見せましょうか」と、台所から
一挺
(
いっちょう
)
日本の
木鋏
(
きばさみ
)
を持ち出した。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
(梢より先ず呼びて、忽ち枝より飛び
下
(
くだ
)
る。形は
山賤
(
やまがつ
)
の
木樵
(
きこり
)
にして、
翼
(
つばさ
)
あり、
面
(
おもて
)
は
烏天狗
(
からすてんぐ
)
なり。腰に
一挺
(
いっちょう
)
の
斧
(
おの
)
を帯ぶ)
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「それじゃ仕舞ッてからで
宜
(
い
)
いからネ、
何時
(
いつ
)
もの車屋へ往ッて一人乗
一挺
(
いっちょう
)
誂
(
あつ
)
らえて来ておくれ、
浜町
(
はまちょう
)
まで
上下
(
じょうげ
)
」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
一口に
云
(
い
)
えば塾も
住居
(
すまい
)
も
殻明
(
からあ
)
きにして
仕舞
(
しま
)
い、
何処
(
どこ
)
を捜した所で鉄砲は
勿論
(
もちろん
)
一挺
(
いっちょう
)
もなし、
刃物
(
はもの
)
もなければ
飛道具
(
とびどうぐ
)
もない、一目明白、
直
(
すぐ
)
に分るようにしました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
林「
往
(
い
)
く処へ往けば分らア、黙っていろ、金藏、この近所に
駕籠屋
(
かごや
)
があるだろう、
一挺
(
いっちょう
)
雇って来い」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
忽
(
たちま
)
ち
蠅
(
はえ
)
は群生して花壇や病舎の中を飛び廻った。病舎では、一疋の蠅は
一挺
(
いっちょう
)
のピストルに等しく恐怖すべき敵であった。院内の窓という窓には尽く金網が張られ出した。
花園の思想
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
拳銃
一挺
(
いっちょう
)
さげただけの軽装である。高城の拳銃を何か不思議なものでも見る目付で眺めながら、彼は自分も略刀帯に軍刀を吊り拳銃を下げ、その上から水筒をつるした。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
窓から半身を出した能登守は、ややしばらくの間、その疑問の提灯を見定めている様子でありましたが、やがて取り直したと見えるのがまさしく
一挺
(
いっちょう
)
の鉄砲であります。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼が
密
(
ひそ
)
かに
一挺
(
いっちょう
)
の三味線を手に入れようとして主家から給される時々の手あてや使い先で
貰
(
もら
)
う
祝儀
(
しゅうぎ
)
などを貯金し出したのは十四歳の
暮
(
くれ
)
であって翌年の夏ようよう
粗末
(
そまつ
)
な稽古三味線を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
何の
罪咎
(
つみとが
)
もない身に
一挺
(
いっちょう
)
の小刀すらも帯びぬ市民たちは、たちまち血煙立ててそこに数百人の死傷者を生じました。その
阿鼻叫喚
(
あびきょうかん
)
の
直中
(
ただなか
)
へ、騎馬兵がさらに砂塵を挙げて
吶喊
(
とっかん
)
してきました。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
これで一通りであるが、雨の降る時や雪の降る時、また重い荷をかつぐ時には上から
蓑
(
みの
)
を着る。その蓑の
襟
(
えり
)
飾りにとても美しいのがある。そうして
一挺
(
いっちょう
)
の
鎌
(
かま
)
をもって野良に出てゆくのである。
陸中雑記
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
次男に生れて
新家
(
しんや
)
を立てたが、若い
中
(
うち
)
に妻に死なれたので幼ない
児供
(
こども
)
を残して国を飛出した。性来
頗
(
すこぶ
)
る器用人で、
影画
(
かげえ
)
の紙人形を切るのを売物として、
鋏
(
はさみ
)
一挺
(
いっちょう
)
で日本中を廻国した変り者だった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
と、
一挺
(
いっちょう
)
の駕が、彼の眼を揺すッて通った。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其の病の
原因
(
もと
)
はと、
渠
(
かれ
)
を
能
(
よ
)
く知る友だちが
密
(
ひそか
)
に言ふ、仔細あつて世を
早
(
はよ
)
うした恋なりし人の、其の
姉君
(
あねぎみ
)
なる貴夫人より、
一挺
(
いっちょう
)
最新式の猟銃を
賜
(
たま
)
はつた。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
母は
起
(
た
)
って奥へ入ると、重太郎も黙って
其後
(
そのあと
)
につづいた。窟の奥は昼も真暗であったが、お杉の
点
(
とも
)
す
一挺
(
いっちょう
)
の蝋燭に
因
(
よ
)
っておぼろおぼろに明るくなった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
警官は
怪訝
(
けげん
)
な顔をして、
傍
(
そば
)
によってきた。このとき廊下を
距
(
へだ
)
てた向いの暗い室の扉が、音もなく細目に開いて、その中から
一挺
(
いっちょう
)
の太い
銃口
(
じゅうこう
)
がヌッと顔を出した。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と云いながら落着き払って出て
行
(
ゆ
)
きましたが、
何処
(
どこ
)
で買ったか
膏薬
(
こうやく
)
を買って来まして、お浪の身体へベタ/\と
打
(
ぶ
)
たれもしない手や何かへも貼付け、四つ
手
(
で
)
駕籠
(
かご
)
を
一挺
(
いっちょう
)
頼んで来て
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その時はバリカン
一挺
(
いっちょう
)
三円以上もして然もあんまり工合がよくなかった事を覚えて居る、このバリカンというやつにも当りはずれが相当にある、そこで今度もどうかと思いながら
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その手は、
一挺
(
いっちょう
)
のコルト
拳銃
(
けんじゅう
)
を汗ばむほど握りしめていた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そのときデニー博士は、ジグスを呼んで、ポケットから
一挺
(
いっちょう
)
の古風なナイフを出すと彼の手に渡して
火星探険
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私
(
わっち
)
どもは
三俣
(
みつまた
)
まで帰るものですが、
尤
(
もっと
)
も駕籠は
一挺
(
いっちょう
)
しか有りませんが、お寒うござんすから、奥様ばかりお
召
(
めし
)
になったら
如何
(
いかゞ
)
でござんす、
二居
(
ふたい
)
まで二里八丁、いくらでも宜しゅうございます
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お玉の母はその後、やはりこの部落の中で味気ない一生を早く終って、間の山の正調と、手慣れた
一挺
(
いっちょう
)
の三味線と、忠義なる一頭のムク犬とを娘のために
遺品
(
かたみ
)
として、今は世にない人でありました。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「船長、
試
(
こころ
)
みにあの船を
撃
(
う
)
ってみてはどうでしょうか。ここに
一挺
(
いっちょう
)
小銃を持ってきています」
幽霊船の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
文治も島人も一生懸命になって居りますが、何分
櫓
(
ろ
)
一挺
(
いっちょう
)
しかござりませぬから、
何
(
ど
)
うすることも出来ませぬ。浪のまに/\揺られて居ります折しもあれ、大きな岩と岩との間に打込まれました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
小仏から陣馬を通って、上野原へ急ぐ
一挺
(
いっちょう
)
の
駕籠
(
かご
)
。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しずかに、再び彼の手首が現れたときには、
逞
(
たくま
)
しい形をした
一挺
(
いっちょう
)
のピストルが握られていた。怪人は、身体を逆さにしたまま、ピストルを持ち直して、「火の玉」少尉に狙いをつけた。
空中漂流一週間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
どう
降
(
ぶり
)
で、車軸を流す様で、菊屋橋の
際
(
きわ
)
まで来て蕎麦屋で
雨止
(
あまやみ
)
をしておりましたが、更に
止
(
や
)
む
気色
(
けしき
)
がございませんから、仕方がなしに其の頃だから駕籠を
一挺
(
いっちょう
)
雇い、四ツ手駕籠に
桐油
(
とうゆ
)
をかけて
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
竹見が、かけつけてみると、一等運転士は、
一挺
(
いっちょう
)
の
水兵
(
ジャック
)
ナイフをにぎっていた。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
挺
漢検準1級
部首:⼿
10画
“一”で始まる語句
一
一人
一寸
一言
一時
一昨日
一日
一度
一所
一瞥