一町いっちょう)” の例文
転んで手をつくと、はや薬のにおいがしてはだえを襲つた。此の一町いっちょうがかりは、のきも柱も土も石も、残らず一種のんで居る。
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
が、ものの一町いっちょうも行く間、彼はそうして葉巻を吸っているばかりだった。湯河が馬鹿にされたような気持でイライラして来たことは云うまでもない。
途上 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
太郎は、一町いっちょうを隔てて、この大路を北へ、立本寺りゅうほんじ築土ついじの下を、話しながら通りかかる、二人の男女なんにょの姿を見た。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)