“乏”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とぼ81.7%
とも8.6%
とぼし6.5%
まず2.2%
ぼう1.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
洋学草昧そうまいの世なれば、書籍しょじゃくはなはだとぼしく、かつ、これを学ぶに師友なければ、遠く長崎の訳官についてその疑をたき
慶応義塾の記 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ただ長蔵さんが、この朝飯の経験にとぼしい人間に向って、「御前さん達も飯が食いたいかね」と尋ねてくれなかったのを、今では残念に思ってる。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
深山幽僻しんざんいうへきの地なればかひこはもとより木綿わたをもしやうぜざるゆゑ、衣類いるゐとぼしき事おしてしるべし。
ぐつたりとよこにして、言合いひあはせたやうに、一張ひとはり差置さしおいた、しんほそい、とぼしい提灯ちやうちん
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かてとぼしい村のこどもらが、都会文明とかいぶんめい放恣ほうし階級かいきゅうとにたいするやむにやまれない反感はんかんです。
実は無知な余をいつわりおおせた死は、いつの間にか余の血管にもぐり込んで、ともしい血を追い廻しつつ流れていたのだそうである。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大陸たいりくまたはそのちかくにある火山かざんからさんするものは、流動性りゆうどうせいともしく
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
それだけを生きる張合にしていたが、口の端に通うものがともしくなるにつれ、知嘉姫は日増しにものを言わなくなった。
奥の海 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
まなこをあげて大千三千世界を観るに、我がきみの怨敵たらんもの、いづくにかはた侍るべき、まこと我が皇の御敵おんあだたらんものの侍らば、痩せたる老法師の力ともしくは侍れども、御力を用ゐさせ玉ふまでもなく
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
可愛らしい二重瞼がつづけ様に二三度またたいた。結んだ口元をちょろちょろと雨竜あまりょうの影が渡る。鷺草さぎそうともすみれとも片づかぬ花は依然として春をともしく咲いている。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
○一国、一家、一にんを分けてもいはず、金に就て論議の生ずるは、とぼしき時なり、少き時なり、おはづかしくも足らぬ時なり。工夫も然り、有る時にせず、無い時にす。
青眼白頭 (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
かくて其冬雪中にいたり、山のいたち狐などとぼしく人家にきたりて食をぬすむ事雪中の常なれば、此ものゝ所為しわざにや、かごはやぶれて白烏しろからすはねばかりゑんの下にありしときゝし。
唯だわがあまりに爭ふ心にとぼしきをば、ベルナルドオ嘲り笑ひぬ。
佐藤はその頃頭に毛のとぼしい男であった。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かざとぼしぢて
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
——浪路どの、どんな暮しをしているのか? 大奥で過していた身が、こんなまずしげな家で——
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
その手前に表通りの砂糖問屋の磨きあげた、黒塗りの窓のある住居蔵があって、お糸さんという豊かに丸っこい娘さんの琴の音がよく聞えていたが、隣りに、とてもみじめなまずしい母子おやこ二人の荒物屋があって、小娘のおとめさんもお婆さん見たいにうつむいて、始終ふるえているように見えた人だった。
曾てわたくしも明治大正の交、ぼうけて三田に教鞭きょうべんった事もあったが、早く辞して去ったのは幸であった。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)