とぼし)” の例文
佐藤はその頃頭に毛のとぼしい男であった。無論老朽した禿はげではないのだが、まあ土質どしつの悪い草原のように、一面に青々とは茂らなかったのである。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼と我とは性質いたく異なるに、彼は能く我に親みき。唯だわがあまりに爭ふ心にとぼしきをば、ベルナルドオ嘲り笑ひぬ。
○一国、一家、一にんを分けてもいはず、金に就て論議の生ずるは、とぼしき時なり、少き時なり、おはづかしくも足らぬ時なり。工夫も然り、有る時にせず、無い時にす。
青眼白頭 (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
かくて其冬雪中にいたり、山のいたち狐などとぼしく人家にきたりて食をぬすむ事雪中の常なれば、此ものゝ所為しわざにや、かごはやぶれて白烏しろからすはねばかりゑんの下にありしときゝし。
呼出よびいだしなば手懸にも相成べし此旨心得置べし此度の儀は國家こくかの一大事家の安危あんきなるぞ急げ/\途中は金銀ををしむな喩にも黄金とぼしければ交りうすしと云へり女子によしと小人は養ひ難しとの聖言せいげん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かざとぼしぢて
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
かくて其冬雪中にいたり、山のいたち狐などとぼしく人家にきたりて食をぬすむ事雪中の常なれば、此ものゝ所為しわざにや、かごはやぶれて白烏しろからすはねばかりゑんの下にありしときゝし。