“まず”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:マズ
語句割合
36.5%
不味29.4%
14.1%
12.9%
下手2.7%
1.5%
0.5%
無味0.5%
不快0.2%
下味0.2%
不可0.2%
不好0.2%
不美味0.2%
0.2%
拙劣0.2%
貧乏0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「やはり親分のおっしゃった通り、百両出せと言って手紙が来ましたよ、少し手跡が違うようでしたが相変らず鼻紙へ書いたまずい字で」
それでも料理屋へって高価な不味まずいものを食べたり、飲酒会さけのみかいへ往って高い割前を取られるよりもはるかに廉く上って家内一同で楽しめる。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
心からかなしんでいるのでした。ふたりはまずしい百姓ひゃくしょうでした。持っている土地といえば、わずかに庭ぐらいの大きさのものでした。
此頃ハ天下無二の軍学者勝麟太郎という大先生に門人となり、ことの外かはいがられ候て、まずきやくぶんのよふなものになり申候。
お富が海へ飛び込むところなぞは内容として、私には見るにえない。り方がうまいとか下手まずいとか云う芸術上の鑑賞の余地がないくらいいやです。
虚子君へ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いかさま、日に焼けたその顔は——鼻付のまずさから、目の細さ加減、口唇の恰好、土にまみれた藁草履を思出させる。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
浪路どの、どんな暮しをしているのか? 大奥で過していた身が、こんなまずしげな家で——
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「するとうまく中った形容が俗で、旨く中らなかった形容が詩なんだね。藤尾さん無味まずくって中らない形容を云って御覧」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
三人は、毎日不快まずい顔を突き合わして暮した。お作は、お国さえけば、それで事は済むように思った。が、新吉はそうも思わなかった。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
寝支度に取りかかる時、二人はまた不快まずい顔を合わした。新吉はもう愛想がつきたという顔で、ろくろく口も利かず、蒲団のなかへもぐり込んだ。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
津田は仕方なしに、ひとり下味まず食麺麭しょくパンをにちゃにちゃんだ。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「——賛成だ、至極いいよ。私たち風来とは違って、矢野には学士の肩書がある。——御縁談は、と来ると、悪く老成おやじじみるが仕方がない……として、わけなくまとまるだろうと思うがね、実はこのお取次は、私じゃ不可まずいよ。」
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
無心をされたがどうしたものか、なるべくは断りたい、断ったら嫌われようか、嫌われては甚だ不好まずい。一体スウィートでありながら金子かねをくれろは変な工合だ、妙だよ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ここの栗めしや竹の子めしって随分下らないもんですネエ、そりゃあおどろくほどですよ、不美味まずくって……」
千世子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
学校の出来は、書き方や図画のようなものはよかったが、数学などはまずかった。数学ばかりではない、総体からいって余り上等の方ではなかった。
「どうも私は説明は拙劣まずいのですが、——」
この有様でもお秀は妾になったのだろうか、女の節操みさおうってまで金銭がほしい者が如何して如此こん貧乏まずしい有様だろうか。
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)