“いや”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:イヤ
語句割合
30.6%
11.8%
11.6%
9.0%
8.0%
7.4%
5.8%
可厭4.8%
2.5%
1.9%
(他:110)6.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
自分は五年ぜんの事を書いているのである。十月二十五日の事を書いているのである。いやになって了った。書きたくない。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
そんな風に楽しい空想をえがいているときでも、絶えず、先輩達の眼、周囲の口が、想われて、それがなによりいやでした。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
「師匠の芸の神髄をつかんだ、と思ったのは真似まねだけだったのか――師匠は、女団洲なんて、いやだったろうなあ。」
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
いや、お約束やくそくなるにうたにてはいやよ、ごむ人形にんぎやうげまじとかしらをふるに
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
趣味の何物たるをも心得ぬ下司下郎げすげろうの、わがいやしき心根に比較していやしむに至っては許しがたい。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
少なくとも今一つの人にいやしまるる職分のごときは、是に比べるとずっと小さな偶然だったと、認め得る時が来ようかと思う。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
と云いやあ、むこうでもいやとは云われんです。そこでわたしが、御政おまささんだって、あんなに苦労してやっている。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いやも應もありません。平次とガラツ八は長兵衞を引立てて源助町まで飛びました。今度こそは一擧に事件の謎が解けさうです。
趣味の何物たるをも心得ぬ下司下郎げすげろうの、わがいやしき心根に比較していやしむに至っては許しがたい。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
田島は、キヌ子を憎むあまりに、ほとんど人間ばなれのしたケチないやしい計画を立て、果して、死ぬほどの大難に逢うに到った。
グッド・バイ (新字新仮名) / 太宰治(著)
「帰って来ません。こいつは確かに蝶々に係り合いがあると睨んでいるんですが……。なにしろいやにこぐらかっているんでね」
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「もうお願い申すのもこれが最後です。どうぞわたくしにあなたの三枚の切り札の名を教えて下さい。それとも、おいやですか」
僕はその夕がた、あたまのつかれをいやしに、井筒屋へ行った。それも、かどの立たないようにわざと裏から行った。
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
こういう雨が何度も何度も来た後でなければ、私達はたとえようの無い烈しい春の饑渇きかついやすことが出来ない。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「さやう、な。けど、貴方あんたのやうな方が此方こつちから好いたと言うたら、どんな者でも可厭いや言ふ者は、そりや無い」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
千代 まあ、ほんまに夫れはけしいことぢや。今年は何やら可厭いやな年ぢや。出来秋ぢや、出来秋ぢやと云うて米は不作。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
秋の十月に諸国に地震があり、故郷の駿河も相当ひどかったということは彼の帰心をいやが上にもそそったのであった。
宝永噴火 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
その表現はそのチョッピリとした鼻の背景として、そうした気分をいやが上にも引っ立てているかのように見えます。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
直情径行は今も昔もいやし難き余の病なりしかば、数ば大声を発し、論戦若し危きに及べば所謂横紙破りの我慢をも言出だしき。
透谷全集を読む (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
自分は家へ帰つてもつまらないと疲労を酒でいやして、十時には自由になるかつ子を迎へて一しよに戻るつもりだつたのです。
現代詩 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
平生自分は瀬戸なんぞの人柄のいやしいのを見て、何事につけても、彼と我との間には大した懸隔があると思っていた。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
自分は、金の多少より、勿論少ないことによって起された感ではあるが、受用は人をいやしくすると云ったゲーテの言葉を身に徹えて感じた。
「麦酒も松茸もございますから早くあれを還してお了ひなさいましよ。わたし那奴あいつが居ると思ふと不快いやな心持で」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
搗てて加へて、どの家の門口かどぐちからもおつそろしく不快いやな惡臭が流れて來るので、おれは鼻を押へて大急ぎに駈け拔けた。
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
何も彼も忘れ盡して熟睡に陷ちようと努めれば努める程いやが上にも頭が冴えて、容易に寢つけさうもなかつた。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
讀者の興味をいやが上にも湧き立たせ、且つは後世の人々をして其俤を偲ばしむる眞の方法ではあるまいか
踊の玄人くろうとにしろその心のいやしさをその巧妙な手振りではおおいかくせぬものがあろう。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
惜しきことには、口のあたりどことなくいやしげなるところありて、黒水晶のごとき目の光鋭く、見つめらるる人に不快の感を起こさすが、きずなるべし。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
いやしくも」と、渠は再び威だけ高になつて、「二等室に乘るくらゐのものなら、それくらゐの禮儀ア知つてをる筈だ。」
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
あの茎の内部にある海綿様繊肉質は血であろうと何んであろうと、いやしくも液体ならば、凡て容赦しない。
夢殿殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ま/\しいやつだとおほいしやくさはつたが、さりとて引返ひきかへすのはいやだし
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
怠惰屋なまけやなぞになられてたまるものか、學校がくかうくのがいやならさくらかはむかすがいか
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
新「済まないのは知って居るが、たった一度で諦めて是ッ切りいやらしい事は云う気遣きづかいないから」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
侍「拙者は修業の身の上で、好い女だとは思いましたけれど、いやらしい事を云い掛けるなどの念は毛頭ない」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
祖谷いやの山々が、こんもりとしていて、六兵衞よ、お母さんがとても心配しているから、早くかえっておいでといっているようにみえました。
狐物語 (旧字新仮名) / 林芙美子(著)
飛騨ひだ山中、四国の祖谷いや山中などの藤蔓ふじづるの橋の渡り心地がまさに斯様こんなであろう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
青年わかものの入り来たれるを見て軽くいやなしつ、孫屋の縁先に置かれし煙草盆たばこぼんよりは煙真直ますぐにたちのぼれり。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
軽くいやして、わが渡す外套がいとうを受け取り、太くしわがれし声にて、今宮本ぬしの演説ありと言いぬ。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
世間の眼は、ようやく、赤穂の遺臣の心根に猜疑さいぎを向け、かげ口、露骨なそしり、いやしみなど、冷たいものの中ではあったが、
圭子は、夫人が酒場バーを嫌うのも、新子の身を惜しんでくれればこそと感激もし、またそんなに、夫人のいやしんでいる、バーに出ている妹の代りに、顔を赤らめながら、
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
すこし不好いやな夢を見たと思へば、それでも死ぬよりはましだらう、と私はさう申しますと、狭山さんは
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
職務しよくむるのはまへにも不好いやであつたが、いまなほそう不好いやたまらぬ
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
妾の懺悔ざんげ、懺悔の苦悶これをいやすの道は、ただただ苦悶にあり。妾が天職によりて、世とおのれとの罪悪と戦うにあり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
懺悔の苦悶、これをいやすの道はただおのれを改むるよりにはあらじ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
『だけど私が言つたなんか言つちや不可いやよ。よ、昌作さん、貴方も伝染うつらない様に用心なさいよ。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そんな不可いや真似まねを為なくても、立派に行くやうに私が稼いであるんぢやありませんか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そして本など拡げて、重苦しい頭をいやそうとあせるのであったが、性のよくない目は、刺すような光に堪えられないほど涙がにじみ出して来た。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
漢学革命もまだです、詩もまだです、書もまだです、山陽はすべてにまだの人間です。これから物になるか成らぬかの分れ目にいる人間です。だのに、ともするとあえぎ出して参りました。名声に酔い、惑溺わくできにひきこまれ、その疲れをいやそうとします。
梅颸の杖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その淫猥いやらしい興奮を乗せて、命の続くかぎりはわれ醜骸しゅうがいに鞭をふるわねばならないということは
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
の舶来の舞踏など、余程高尚な積りでおるかは知らぬが、その変梃へんてこな足取、その淫猥いやらしき腰は、盆踊りより数倍も馬鹿気たものである。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
それは僕には坐浴より外にいやすことの出来ない痛みだつた。
歯車 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「お前の信仰はお前をいやした。」
西方の人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
身分みぶんこそいやしいが、後生ごしょういたってかったほうでござります……。
形状かたちほかにおのずからいやしからぬ様あらわれて、その親切なる言葉
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と息をく処を、新吉は横眼でじろりと見ると、もう/\二眼ふためと見られないいやな顔。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其の顔のいやな事と云うものはなんとも云いようが無い。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
されど此等の事思ひ定め給はんには、先づ快く一夜の勞をいやし給ふに若かず。
此作は我心の瘡痍さういいやすべき藥液なりき。
……手前の不吉いや前科こうらも知らねえでノメノメとこの船へ押しかけて来やがったのが癪にさわるんで……遠慮しやがるのが当前あたりまえだのに……ねえ……親方……
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)