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否
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いや
ふりがな文庫
“
否
(
いや
)” の例文
当人へ弟子入りを承諾したように受け取られ上郎氏の細君が当人を
伴
(
つ
)
れて見えたので、今さら
否
(
いや
)
ともいえず、弟子にしたわけでした。
幕末維新懐古談:79 その後の弟子の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「
否
(
いや
)
だ。
否
(
いや
)
だ。イケナイイケナイ。私から先だ私から先だ。私は
美
(
い
)
い
香気
(
におい
)
が
嗅
(
か
)
ぎたい。花だの香木だのの
芳香
(
におい
)
が嗅ぎたい。早く早く」
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
否
(
いや
)
が応でもだんだんに厄介千万な一大問題に変わって来て、とどのつまりは何とも身動きのならぬ状態に陥ってしまうものである。
犬を連れた奥さん
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
吉田は胸のなかがどうにかして
和
(
やわ
)
らんで来るまでは
否
(
いや
)
でも応でもいつも身体を
鯱硬張
(
しゃちこば
)
らして夜昼を押し通していなければならなかった。
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
一昨日
(
おとつい
)
の
晩
(
ばん
)
宵
(
よい
)
の口に、その松のうらおもてに、ちらちら
灯
(
ともしび
)
が
見
(
み
)
えたのを、
海浜
(
かいひん
)
の別荘で花火を
焚
(
た
)
くのだといい、
否
(
いや
)
、
狐火
(
きつねび
)
だともいった。
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
『
否
(
いや
)
、別に面白い本も持つて來ないんですが、御覽になるなら何時でも……。すると何ですか、此夏は何處にも
被行
(
いらつしや
)
らないんですか?』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
お繼を
欺
(
だま
)
して共に打殺し、私と一緒に逃げ延びて遠い処へ身を隠すか、
否
(
いや
)
じゃアと云えば
弐心
(
ふたごゝろ
)
じゃア、お前も打殺さなければならん
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「そんなに
否
(
いや
)
なら強いてとまでは云いませんが、そう二三時間のうちに、特別の理由もないのに
豹変
(
ひょうへん
)
しちゃ、将来君の信用にかかわる」
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
否
(
いや
)
、似ているよ。随分わからないことを言うでしょう? 友達方に迷惑をかけ通しだろうと陰ながら常々お察し申していますよ」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
私
(
わたし
)
は
心
(
こゝろ
)
に
迎
(
むか
)
へなければならなかつた……それは
力
(
ちから
)
の
弱
(
よわ
)
い
冬
(
ふゆ
)
の
日
(
ひ
)
だからだらうか?
否
(
いや
)
! どうして
彼女
(
かのぢよ
)
の
力
(
ちから
)
を
侮
(
あなど
)
る
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
よう。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
晴
(
はら
)
さんと立上りしが
否
(
いや
)
々
荒立
(
あらだて
)
ては事の破れ何にもせよお浪を引さらひ女房にすれば男は立つ
只
(
たゞ
)
惡
(
につく
)
きは富右衞門なりよき
機
(
をり
)
もあらば
此遺恨
(
このうらみ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
否
(
いや
)
も應もありません。平次とガラツ八は長兵衞を引立てて源助町まで飛びました。今度こそは一擧に事件の謎が解けさうです。
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
役人になるのはおれは
否
(
いや
)
ぢや、退屈な時聞きたいから月琴でも習つて置けとお師匠さんを探して呉れましたので、私は暫く稽古しましたが
千里駒後日譚
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
あっぱの宮田は、ほんとにはあ
機械
(
からくり
)
同然だ。何をしても憤らなきゃあ、小言も云わない。頼むぞと云いさえすりゃあ
否
(
いや
)
と云えねえ爺さまだ。
禰宜様宮田
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それで本人が
否
(
いや
)
だというたら直ぐ無駄な御骨折を御中止を願います。また異存なしと答えたら何分にも御面倒を願いましょう。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
そのなかで割合に気が進まなささうなのが男の
心
(
しん
)
の臓位のもので、持合せの
手帛
(
ハンケチ
)
に包まれさうな物だつたら、どんな物だつて
否
(
いや
)
は言はない。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「まあお嬢様、そんなにお改まりあそばして、何の御用でもわたくしに仰せつけ下さるのに、
否
(
いや
)
の
応
(
おう
)
がございますものですか」
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ありふれた古い
否
(
いや
)
な文句であるが、『孤軍』といふやうな思ひを、一年あるひはもつと、したであらう、と、私は、感じる。
思ひ出すままに:「文藝春秋」と菊池と
(新字旧仮名)
/
宇野浩二
(著)
今の下宿の払ひもしなければならぬ。月給は
明後日
(
あさつて
)
でなければ渡らないとすると、
否
(
いや
)
でも応でも其迄待つより外はなかつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「益々分らなくなった、——
否
(
いや
)
そうじゃない。秘密の鍵をみつけたのだ。……待て、考えなくちゃならんぞ、是が
若
(
も
)
し——」
殺生谷の鬼火
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
お前さんに笑われるかも知れないが、私しゃね、何だか
去
(
かえ
)
るのが
否
(
いや
)
になッたから、今日は
夕刻
(
ゆうかた
)
まで遊ばせておいて下さいな。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
吾等
(
われら
)
が
幾年月
(
いくねんげつ
)
の
苦心慘憺
(
くしんさんたん
)
も
水
(
みづ
)
の
泡
(
あわ
)
、
否
(
いや
)
、
我
(
わ
)
が
親愛
(
しんあい
)
なる
日本帝國
(
につぽんていこく
)
の
爲
(
ため
)
に、
計畫
(
けいくわく
)
した
事
(
こと
)
が、
却
(
かへつ
)
て
敵
(
てき
)
に
利刀
(
りたう
)
を
與
(
あた
)
へる
事
(
こと
)
になります。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
器用な
真似
(
まね
)
が出来ないので、この
饒舌家
(
じょうぜつか
)
の婦人の間に挟まった不運を嘆息しながら、
否
(
いや
)
でも応でもそれを拝聴していなければなりませんでした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
六年の田舎住居、多少は百姓の
真似
(
まね
)
もして見て、土に対する農の心理の幾分を
解
(
げ
)
しはじめて見ると、余は
否
(
いや
)
でも
曩昔
(
むかし
)
の
非
(
ひ
)
を
認
(
みと
)
めずには居られぬ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
良
(
りやう
)
さんお
約束
(
やくそく
)
のもの
忘
(
わす
)
れては
否
(
いや
)
よ。アヽ
大丈夫
(
だいじやうぶ
)
忘
(
わ
)
すれやアしなひ
併
(
しか
)
しコーツと
何
(
な
)
んだツけねへ。あれだものを
出
(
で
)
かけにもあの
位
(
くらゐ
)
願
(
ねが
)
つておいたのに。
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
いかに心をつくりたりとて手を尽したりとて
甲斐
(
かい
)
なき女の何事をかなし得らるべき、あないやいやかかる世を見るも
否
(
いや
)
也
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
否
(
いや
)
、それよりもこの弥生が、突然小野塚伊織なる若侍の
扮装
(
いでたち
)
で今日この子恋の森へ現れるにいたるまでに、そもどのような経路が伏在しているのか?
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
否
(
いや
)
もうこゝで結構です。一寸そこまで散歩に來たものですからな。……それで何ですかな、家が定まりましたでせうな? もう定まつたでせうな?」
子をつれて
(旧字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
『
否
(
いや
)
、——誰れにもやられたのではない』と相手は息を切らしながら云った——『ただ……ああ!——ああ!』……
貉
(新字新仮名)
/
小泉八雲
(著)
否
(
いや
)
さらにそれよりもより以上に、「いわゆる特殊部落とは何ぞや」という歴史的事実をよく知るの必要があります。
融和促進
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
牛飼いの若者は
否
(
いや
)
と返事をする代りに、
頬
(
ほお
)
を
脹
(
ふく
)
らせたまま黙っていた。すると相手は流し眼に彼の顔を覗きこんで
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
十二月に
御嶽
(
おんたけ
)
の雪は消ゆる事もあれ
此念
(
このおもい
)
は
消
(
きえ
)
じ、アヽ
否
(
いや
)
なのは岩沼令嬢、恋しいは花漬売と
果
(
はて
)
は
取乱
(
とりみだ
)
して男の
述懐
(
じゅっかい
)
。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
否
(
いや
)
、今年の春頃から、
嚊
(
かゝあ
)
代
(
がは
)
りに連れて来たんだといふ話で、何でも、はア、
芋沢
(
いもさは
)
あたりの者だつて言ふ事だす。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
と急所を指されて商人も閉口せしが前の広言に対して
否
(
いや
)
とも言われず少し直段を高くして
択取
(
よりどり
)
に任せんという。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
否
(
いや
)
、小説ばかりじゃない、一体の人生観という奴が私にゃ然う思えるんだよ……思えると云うと語弊があるが、
那様
(
そんな
)
気がするのだ。どうも
莫迦々々
(
ばかばか
)
しくてね。
私は懐疑派だ
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
つまり、そこです……あのとき、
否
(
いや
)
とかノオとか、言ってくれたら、すぐ、ひっつかまえていた。あなたが庇いたてをしたばかりに、殺さなくともいい人間を
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ヂュリ おゝ、ロミオ、ロミオ!
何故
(
なぜ
)
卿
(
おまへ
)
はロミオぢゃ!
父御
(
てゝご
)
をも、
自身
(
じしん
)
の
名
(
な
)
をも
棄
(
す
)
てゝしまや。それが
否
(
いや
)
ならば、せめても
予
(
わし
)
の
戀人
(
こひゞと
)
ぢゃと
誓言
(
せいごん
)
して
下
(
くだ
)
され。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
否
(
いや
)
寧
(
むし
)
ろ
嚇
(
おど
)
し付けて
俥
(
くるま
)
に乗って此処まで来たが車夫の密告が怖くなった処から、車夫を殺して着物を剥ぎ、そいつを着て車夫に化け、俥を
曳
(
ひ
)
いて逃亡したのだろう。
国事犯の行方:―破獄の志士赤井景韶―
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
『
然
(
さ
)
らばいかなる
身分
(
みぶん
)
の者ぞ、
衞府附
(
ゑふづき
)
の
侍
(
さむらひ
)
にてもあるか』。『
否
(
いや
)
、さるものには候はず、御所の曹司に横笛と申すもの、聞けば
御室
(
おむろ
)
わたりの郷家の娘なりとの事』
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
事の急変と、その荒ッぽさに驚いたのは、店の一室で寝ていたあだ名、
※命
(
べんめい
)
(命知らず)三郎の
石秀
(
せきしゅう
)
である。むらむらッとしたが、すぐ
否
(
いや
)
と、胸をなでさすった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
否
(
いや
)
でも応でも、彼らは自己の迷信的恐怖と実在性とを、私に強制しようとするのであった。だが私は、別のちがった興味でもって、人々の話を面白く傾聴していた。
猫町:散文詩風な小説
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
俺
(
おれ
)
は今朝、ある
忌
(
いま
)
わしい場面を、この船の事務員が見たとか、いう話をきいたときは、初めは話のほうが信用できなかった。
否
(
いや
)
、今でも、そんな話は信用しとらん。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
互にその不思議な現象を笑いながら、なおも人々と進んで行くと、また大きな平原=
否
(
いや
)
海原に出た。
月世界跋渉記
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
むずかしい表情はしているものの、やはり社会大変革の手が当時の若者に分与した夢を抱いていたのだろう。
否
(
いや
)
でも
応
(
おう
)
でも抱かねばならなかった立身出世の夢である。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
「
否
(
いや
)
、まだなかなかですよ」と老紳士が口をはさんだ。「まだトンネルも越しませんからな」
ペルゴレーズ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
ただ一撃ちに
羽翼締
(
はがいじ
)
めだ。
否
(
いや
)
も応も言わせるものか。しかし彼の容色はほかに得られぬ。まずは珍重することかな。
親父
(
おやじ
)
親父。親父は必ず逃がさんぞ。あれを巧く説き込んで。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
家へ帰ると、これを取り返されるから
否
(
いや
)
だと云って
後生
(
ごしょう
)
大事に例の絵馬を抱えている始末。
半七捕物帳:50 正雪の絵馬
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
否
(
いや
)
、お雪さんは行きゃしないが、お
母
(
っか
)
さんが、お雪さんの処へ行って、そう言ったんでしょう。……そうして此の頃何だか、ひどくソワ/\して、
一寸々々
(
ちょいちょい
)
泊っても来るって。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「幸いにそういう便宜があれば一つ頼みたい。」「よろしい。私の友達だから決して
否
(
いや
)
とはいいますまい。どうせ帰りに荷物を沢山積んで来るので往きには空馬が沢山あるから」
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
あなたも御存じでしょう、テナルディエの所から子供を取り戻す手紙に私に署名させなすったのを。もう先方でも
否
(
いや
)
とは言えませんわねえ。きっとコゼットを返してくれるでしょう。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
“否”の意味
《名詞》
(ヒ)反対。拒否。辞退。
(いな)そうでないこと。
《感動詞》
(いな、いや)いいえ。そうではない。
(出典:Wiktionary)
否
常用漢字
小6
部首:⼝
7画
“否”を含む語句
否々
実否
諾否
否定
否応
良否
否諾
臧否
嫌否
安否
賛否
成否
否應
佳否
否認
實否
拒否
在否
運否天賦
適否
...