思ひ出すままにおもいだすままに「文藝春秋」と菊池と「ぶんげいしゅんじゅう」ときくちと
私が「文藝春秋」の創刊号を見たのは、たしか、本屋の店頭であつた。しかし、今から思ふと、いくら呑気な大正時代でも、あんな粗末な体裁のわるい薄つ片な雑誌が、数多の名のある雑誌がならんでゐる店頭で、目につく筈がない。が、又、考へ方によつては、なる …