いや)” の例文
余は人間と生れしをたんぜり、もし愛情ちょうものの余に存せざりしならば余にこの落胆なかりしものを、ああ如何いかにしてこの傷をいやすを得んや。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
妾の懺悔ざんげ、懺悔の苦悶これをいやすの道は、ただただ苦悶にあり。妾が天職によりて、世とおのれとの罪悪と戦うにあり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
恋愛なるものはこの弱性をれうじ、この不満足をいやさんが為に天より賜はりたる至大の恩恵にして、男女が互に劣情をほしいまゝにする禽獣的慾情とは品異れり。
「歌念仏」を読みて (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
こうした噂までが、いやが上に、この狂言の人気をそそった。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
懺悔の苦悶、これをいやすの道はただおのれを改むるよりにはあらじ。されど如何いかにしてかその己れを改むべきか、これいつの苦悶なり。苦悶の上の苦悶なり、苦悶を愈すの苦悶なり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)