“いやし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
54.1%
17.6%
16.4%
3.1%
3.1%
1.3%
医癒0.6%
0.6%
卑賤0.6%
弥頻0.6%
0.6%
0.6%
鄙俗0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一方は赤裸々の心事を、赤裸々に発表すれども、他方はいやしくも人に許さず、甚だ一笑一顰いっぴんおしみ、礼儀三千威儀いぎの中に、高く標置す。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
更に人格の深処に根ざした、我々が一生の一大事である。純を尊び雑をいやしむのは、好悪かうを如何いかんを超越した批判ひはん沙汰さたに移らねばならぬ。
雑筆 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
能々よく/\見るに岡山におはせし時數年我が家に使ひたる若黨の忠八にて有ければあまりの事に言葉も出ず女の細き心にてかゝいやし姿すがたに成しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
彼が最愛の妻は、その一人を守るべき夫の目をかすめて、いやしみてもなほ余ある高利貸の手代に片思の涙をそそぐにあらずや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
既にして挙場では、沈詢ちんじゅんが知挙になってから、温を別席に居らせて、隣に空席を置くことになった。詩名はいよいよ高く、帝も宰相もその才を愛しながら、その人をいやしんだ。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
と、いやしむ者もあった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ゲネサレの人々はすぐにイエスを認めて、あまねくあたりを馳せまわり、そのいますと聞く所々に病人を連れきたって医癒いやしを求めました。ゲネサレ一帯はこのために湧き立ちました。
しかるに現実の経過を顧みれば、彼を心より信じたる者は少なく、多くの群衆はただ皮相に彼を崇拝し、彼より医癒いやしを得たいとか、奇蹟を見たいとか、群衆心理によって集まりきたったにすぎない。
是はまあどうした訳と二三日は気抜きぬけする程恨めしくは存じたれど、只今ただいま承れば御親子ごしんしの間柄、大切の娘御を私風情のいやしき者に嫁入よめいらしてはと御家従ごけらいのあなたが御心配なすッてつれゆかれたも御道理
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さりながら正四位しょうしい何のなにがしとあって仏師彫刻師をむこにはたがらぬも無理ならぬ人情、是非もなけれど抑々そもそも仏師は光孝こうこう天皇是忠これただの親王等の系にいで定朝じょうちょう初めて綱位こういけ、中々なかなかいやしまるべき者にあらず
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
彼の面容かおかたちを変らせていやり給う、その子貴くなるも彼はこれを知らず、卑賤いやしくなるもまたこれをさとらざるなり、ただ己みずからその心に痛苦いたみを覚え己みずからその心になげくのみ
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
(前略)ほととぎす弥頻いやしき喧きぬ独のみ聞けば不怜毛サブシモ(下略) (巻十九。四一七七)
『さびし』の伝統 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
卒業論文には、国史は自分が畢生ひっせいの事業として研究する積りでいるのだから、いやしくも筆をけたくないと云って、古代印度インド史の中から、「迦膩色迦王かにしかおう仏典結集ぶってんけつじゅう
かのように (新字新仮名) / 森鴎外(著)
もともとやつこといふ名からして、大昔からいやしめられ、罵しられた卑稱で、あやつ、こやつ、やつ、やつこ、いへの子、ツ子だといふことだ。
凡愚姐御考 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
われ一人の女性を救ひ、茲に妻となして、永恒の赤縄ゑにしを結ぶと雖も、いささかも亦浮きたるほこりを思はず。人間の悲願いよいよ高けれども、又あながち世の鄙俗いやしきを棄てず。
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)