“あや”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アヤ
語句割合
22.1%
16.4%
11.5%
8.6%
8.1%
6.3%
3.5%
2.4%
2.4%
2.2%
2.0%
2.0%
1.8%
1.6%
1.3%
0.8%
可怪0.6%
0.5%
0.5%
0.4%
謝罪0.4%
0.3%
0.3%
0.3%
0.2%
奇怪0.2%
文彩0.2%
0.2%
0.2%
0.1%
怪訝0.1%
0.1%
交叉0.1%
光彩0.1%
0.1%
奇異0.1%
安益0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
文様0.1%
文理0.1%
文章0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
綾成0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
阿屋0.1%
阿爺0.1%
陳謝0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「——そんな所で、今朝からなにを待っているんだね。このごろは、黄巾賊こうきんぞくとかいう悪徒が立ち廻るからな。役人衆にあやしまれるぞよ」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さてかたばかりの盃事さかずきごとをすませると、まず、当座の用にと云って、塔の奥から出して来てくれたのがあやを十ぴきに絹を十疋でございます。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
女は身をかえすと、掛け香を三十もブラ下げたようなあやしく、艶かしい香気を発散させて、八五郎の膝へ存分に身を投げかけるのでした。
さるゆえ竜造寺長門、これをあやめるに何の不思議があろうぞ。憎むべき仏敵斃すために、人夫の十人二十人、生贄いけにえにする位は当り前じゃわ
あるとし台風たいふうおそったとき、あやうくこぎになろうとしたのを、あくまで大地だいちにしがみついたため、片枝かたえだられてしまいました。
曠野 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかしこれは人をあやめるものではなく、仏さまの守護神まもりがみであることを爺は知つてゐますので、ちつともこはいとは思ひませんでした。
天童 (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
無地にかえって無限のあやを見るのである。無地にはただ何もないというのではない。ここに無地ものに対する私の物偈ぶつげ三句を添える
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
糸子は床の間に縫物の五色を、あやと乱して、糸屑いとくずのこぼるるほどの抽出ひきだしを二つまであらわに抜いた針箱を窓近くに添える。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
またたとひ人たる者がかくかくれたるまことをば世に述べたりとてあやしむなかれ、こゝ天上にてこれを見し者、これらの輪にかゝはる 一三六—
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
天照らす大御神いよよあやしと思ほして、やや戸より出でて臨みます時に、そのかくり立てる手力男の神、その御手を取りて引き出だしまつりき。
光子さんも明日はうちい来なさるやろけど、私に会うのんまり悪がってなさって、「あんたから姉ちゃんにあやまっといて頂戴」
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
勤居つとめゐたりしに若氣わかげあやまちとて不義密通ふぎみつつうに及びし事薄々うす/\かみへも聞え御家法ごかはふに依て兩人の一命をも召さるべきのところ同藩にて五百石をりやう物頭役ものがしらやく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
高貴のなさることは概して下賤の常識では計りかねる非凡なところが多いのだから、その物々しい覆面も例の伝だと思ってさしてあやしむこともなかった。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「さうですか。わかりました。ござんす、それでは十日には屹度越すことにしますから」とあやまるやうに云つた。
子をつれて (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
眼もあやな芝生の向うには、したたらんばかりの緑の林が蓊鬱こんもりと縁どって、まるで西洋の絵でもながめているような景色でした。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
尤も惡者の手にあやつられて、以前は隨分惡いと知りながら、不本意なこともさせられたさうですが、私のところへ來てから、ざつと百日のおこなひといふものは
その時は何んの心もなく、くだんの二股をあおいだが、此処ここに来て、昔の小屋の前を通ると、あの、蜘蛛大名くもだいみょうが庄屋をすると、可怪あやしく胸に響くのであった。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
前に抱へて出てゆく姿は我さへ背後うしろ見らるる心地して、あやにく照れる月影を、隈ある身ぞと除きてゆくあやしの素振り、なかなか人の眼をひきてや、向ふより来し人の
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
歴史的伝統の道を外れたものとしての外道として、既成の権威にあやからぬものである限り権威なきものとして、そのような問題は見做され易いのが事実である。
イデオロギーの論理学 (新字新仮名) / 戸坂潤(著)
れいのやまとあやあたいのやからとは平ぜい往来の頻繁なこの宮の舎人をつとめてゐるだけに尚さら、小黒の胸にはひしひしと感じられるのだつた。
春泥:『白鳳』第一部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
私は謝罪あやまる、私は謝罪まる。……そうは云っても面白いの。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
晝のおもひの織り出でしあやのひときれ
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
たゞ無々ない/\とばかり云ひをつておのれ今にあやまるか辛目からきめ見せて呉んと云ながら一升ます波々なみ/\と一ぱいつぎ酒代さかだい幾干いくらでも勘定するぞよく見てをれと冷酒ひやざけますすみより一いきにのみほしもうぱいといひつゝ又々呑口のみくち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今年ことし——大正七年に彼女は四十四歳になるが、この上の平和と幸福とは重なろうとも、彼女の身辺に冷たい風のせまろうはずはない。私が彼女は幸福だといっても、あやまった事ではなかろうと思う。
竹本綾之助 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
いたずらにひとあやめる丈である。国と国とも同じことで、単に勝つ見込があるからと云つて、みだりに干戈かんかを動かされては近所が迷惑する丈である。文明を破壊する以外に何の効果もない。
点頭録 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
海蛇丸かいだまるさきには子ープルスかうにていと奇怪あやしき擧動ふるまひをなし、其時そのとき弦月丸げんげつまるよりは數分すうふんまへみなとはつして、かくも迅速じんそくなる速力そくりよくてるにもかゝはらず、いまかへつふねあとふてるとは、これたん
代助の言葉には、普通の愛人の用いる様な甘い文彩あやを含んでいなかった。彼の調子はその言葉と共に簡単で素朴であった。寧ろ厳粛の域にせまっていた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いとうことはなはだしく主従の礼儀れいぎ師弟の差別を厳格にして言葉づかいの端々はしばしに至るまでやかましく云い方を規定したまたまそれにもとることがあれば平身低頭してあやまっても容易にゆるさず執拗しつようにその無礼を
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
世人は皆小野蘭山の『本草綱目啓蒙』の僻説にあやまられて麦門冬に二種ありとし
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
此の家あやしけれど、おのれが親の五〇目かくる男なり。五一心ゆりて雨め給へ。そもいづ旅の御宿やどりとはし給ふ。御見送りせんもかへりて無礼なめげなれば、此のかさもて出で給へといふ。
二七八あやしき軒にかがまりて、生けるここちもせぬを、翁、豊雄にむかひ、つらつら二七九そこのおもてを見るに、此の二八〇隠神かくれがみのために悩まされ給ふが、吾救はずばつひに命をも失ひつべし。
「ウムウム。しかし彼奴きゃつはコンナ無茶な事を決してせぬ奴じゃったが……それに物を一つも盗っておらんところが怪訝あやしいでナ」
S岬西洋婦人絞殺事件 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……のみならずその昨夜というのは陰暦二十九日の暗夜で、月なんぞは出なかった筈なのに、白昼のような満月が光っていたというのがすこぶ怪訝あやしい。
S岬西洋婦人絞殺事件 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
奥から子供をあやしている女中の声が洩れて来た。夫人が誰かと話している声も聞えた。客は女らしい、はなやかな笑い声もするようである。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
しばらく女中と二人で、子供をあっちへ取りこっちへ取りして、あやしていた。子供は乳色の顔をして、よく肥っていた。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
かかとは意識のない後ずさりを見せ、なにかを守るような姿勢で両の手を交叉あやに、じぶんの胸を抱きすくめた。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じゃあ今度は一つ、せめて、その眼の光彩あやだけでも語ってみるがいい。
又いにしへ六二ある僧あやしき家に旅寝せしに、其の夜雨風はげしく、ともしさへなきわびしさに六三いも寝られぬを、夜ふけてひつじの鳴くこゑの聞えけるが
奇異あやしく、怖しく思ふ程に、内野にありける十歳許なる死人を、此れ川原に持行ててよと責めければ、男終日長谷より歩みこうじて、力なく堪へ難くて、我れ長谷に三年月参りして
放免考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
舒明天皇が讃岐さぬき安益あや郡に行幸あった時、軍王いくさのおおきみの作った長歌の反歌である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
自分が手籠てごめになろうとしたのを、折よく来かかってたすけてくれた、旅客に顔を見られたが、直ぐにとこうの口も利かず、鬼にられた使の白鳩しらはと、さすがに翼をあやめたらしゅう、肩のあたり
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
背後うしろの方から、顔をのぞいてあやしたり、手を出しておいでおいでをする婦人などがあった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
その両方の酔いがもう大分まわったらしく、バイエルタールはだんだんあやしくなってきた。半白の髪の様子ではもう五十にちかいだろう。ただ剛気そうな目が、うっとりとした快酔中にもぎらついている。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
筆者は松月しょうげつ尼というだけで、どういう人物か知られていないが、説話の文様あやからおすと、この事件に関係のあった一人だということがわかる。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
おのずからなる石の文理あやの尉姥鶴亀なんどのように見ゆるよしにて名高き高砂石といえるは、荒川のここの村に添いて流るるあたりの岸にありと聞きたれば
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この外種々さまざま色々の絢爛きらびやかなる中に立交たちまじらひては、宮のよそほひわづかに暁の星の光を保つに過ぎざれども、彼の色の白さは如何いかなるうつくし染色そめいろをも奪ひて、彼の整へるおもては如何なるうるはしき織物よりも文章あやありて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
舜瞽瞍を見てそのかたちいためるあり、孔子曰く、この時に於てや、天下あやうかりしかな、岌岌乎たりきと。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
深い眼睫まつげの奥から、ヴィーナスはけるばかりに見詰められている。ひややかなる石膏せっこうの暖まるほど、まろ乳首ちくびの、呼吸につれて、かすかに動くかとあやしまるるほど、女はひとみらしている。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
七年の毎日歌壇の投稿も最後となりてあやふかく詠む
遺愛集:02 遺愛集 (新字新仮名) / 島秋人(著)
二氣の正しきに乘り、五行のつぎてととのへ、あやしき理をけてひとすすめ、すぐれたるのりを敷きて國を弘めたまひき。
色あるきぬ唐松からまつみどり下蔭したかげあやを成して、秋高き清遠の空はその後にき、四脚よつあしの雪見燈籠を小楯こだてに裾のあたり寒咲躑躅かんざきつつじしげみに隠れて、近きに二羽のみぎは𩛰あさるなど、むしろ画にこそ写さまほしきを
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それを急に取るや否や彼は「おれの綾成あやす事のできないのは子供ばかりじゃないよ」と云った。自分は黙って彼の顔を打ち守った。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
さきにこれをあやつりしは、わがなにがし省の官長にて、今はこの糸、あなあはれ、天方伯の手中に在り。余が大臣の一行と倶にベルリンに帰りしは、あたかも是れ新年のあしたなりき。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
余計に私なんざなつかしくって、(あやちゃんお遊びな)が言えないから、合図の石をかちかち叩いては、その家の前を通ったもんでした。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この門は色としては、古い心持を起す以外に、特別なあやをいっこう具えていなかった。木も瓦も土もほぼ一色ひといろに映る中に、風鈴ふうりんだけが器用に緑を吹いていただけである。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
家慈輿中よちゅうヨリコレヲうかがツテ欷歔ききょス。小弟ふところニアリ呱呱ここ乳ヲもとム。余モマタ家慈ニ向ツテしきり阿爺あやまみユルコトいずれノ日ニアルヤヲ問フ。シカモソノ幽囚ニアルヲ知ラザル也。至レバすなわチ老屋一宇。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
僕は君には大に陳謝あやまらなければならないが、しかし何しろ僕としてはこうせざるを得なかったのだ。