“下蔭”の読み方と例文
読み方割合
したかげ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
行くこと百歩、あのくすの大樹の鬱蓊うつおうたる下蔭したかげの、やや薄暗きあたりを行く藤色のきぬの端を遠くよりちらとぞ見たる。
外科室 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それから黄金色こがねいろに黄ばんだ初冬の街路樹の銀杏いちょうを、彼はその時々の思いで楽しく眺めるのだったが、今その下蔭したかげを通ってそういう時の快い感じも
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ただし因果関係からいえば、自分の枝になった実を梅干にして、その木に近く干すというよりも、ただその下蔭したかげの雪に散る花の方が、複雑でないことはいうまでもない。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)