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下蔭
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したかげ
ふりがな文庫
“
下蔭
(
したかげ
)” の例文
行くこと
数
(
す
)
百歩、あの
樟
(
くす
)
の大樹の
鬱蓊
(
うつおう
)
たる
木
(
こ
)
の
下蔭
(
したかげ
)
の、やや薄暗きあたりを行く藤色の
衣
(
きぬ
)
の端を遠くよりちらとぞ見たる。
外科室
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それから
黄金色
(
こがねいろ
)
に黄ばんだ初冬の街路樹の
銀杏
(
いちょう
)
を、彼はその時々の思いで楽しく眺めるのだったが、今その
下蔭
(
したかげ
)
を通ってそういう時の快い感じも
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
但
(
ただし
)
因果関係からいえば、自分の枝になった実を梅干にして、その木に近く干すというよりも、ただその
下蔭
(
したかげ
)
の雪に散る花の方が、複雑でないことはいうまでもない。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
樗
(
あふち
)
の
咲
(
さ
)
いてゐる
家
(
いへ
)
の
外側
(
そとがは
)
の
木立
(
こだ
)
ちの
下蔭
(
したかげ
)
に、ぽた/\と
露
(
つゆ
)
が
落
(
お
)
ちる
程
(
ほど
)
に、
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
きとほる。それは、
幾日
(
いくにち
)
か
降
(
ふ
)
り
續
(
つゞ
)
いてをつた
梅雨
(
ばいう
)
が
上
(
あが
)
る
風
(
かぜ
)
である、といふ
意味
(
いみ
)
です。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
かくて
當日
(
このひ
)
は、二十
里
(
り
)
近
(
ちか
)
く
進
(
すゝ
)
んで
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れたので、
夜
(
よる
)
は
鐵車
(
てつしや
)
をば
一
(
いち
)
大樹
(
だいじゆ
)
の
下蔭
(
したかげ
)
に
停
(
とゞ
)
めて、
終夜
(
しうや
)
篝火
(
かゞりび
)
を
焚
(
た
)
き、
二人
(
ふたり
)
宛
(
づゝ
)
交代
(
こうたい
)
に
眠
(
ねむ
)
る
積
(
つもり
)
であつたが、
怒
(
いか
)
り
叫
(
さけ
)
ぶ
猛獸
(
まうじう
)
の
聲
(
こゑ
)
に
妨
(
さまた
)
げられて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
たちまちに見る七名の影は、松林の
下蔭
(
したかげ
)
から、それぞれが
江州車
(
こうしゅうぐるま
)
(手押し車)の七輛を押し出し、なんの
憚
(
はばか
)
りもなく、
楊志
(
ようし
)
、執事以下、十七名の者が、現にいるところへ、どやどやと寄ってきた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
色ある
衣
(
きぬ
)
は
唐松
(
からまつ
)
の
翠
(
みどり
)
の
下蔭
(
したかげ
)
に
章
(
あや
)
を成して、秋高き清遠の空はその後に
舗
(
し
)
き、
四脚
(
よつあし
)
の雪見燈籠を
小楯
(
こだて
)
に裾の
辺
(
あたり
)
は
寒咲躑躅
(
かんざきつつじ
)
の
茂
(
しげみ
)
に隠れて、近きに二羽の
鵞
(
が
)
の
汀
(
みぎは
)
に
𩛰
(
あさ
)
るなど、
寧
(
むし
)
ろ画にこそ写さまほしきを
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
山毛欅
(
ぶな
)
の
瑞枝
(
みづえ
)
の
下蔭
(
したかげ
)
で
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
あの
下蔭
(
したかげ
)
で休みましよ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
白糸の胸中は沸くがごとく、
焚
(
も
)
ゆるがごとく、万感の
心
(
むね
)
を
衝
(
つ
)
くに任せて、無念
已
(
や
)
む
方
(
かた
)
なき松の
下蔭
(
したかげ
)
に立ち尽くして、夜の
更
(
ふ
)
くるをも知らざりき。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
滝かと思ふ
蝉時雨
(
せみしぐれ
)
。光る雨、輝く
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
、此の炎天の
下蔭
(
したかげ
)
は、
恰
(
あたか
)
も
稲妻
(
いなずま
)
に
籠
(
こも
)
る穴に似て、もの
凄
(
すご
)
いまで
寂寞
(
ひっそり
)
した。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
下蔭
(
したかげ
)
は
矢張
(
やっぱり
)
こんなに暗かったか、
蒼空
(
あおぞら
)
に日の照る時も、と
然
(
そ
)
う思って、
根際
(
ねぎわ
)
に居た黒い
半被
(
はっぴ
)
を
被
(
き
)
た、
可愛
(
かわい
)
い顔の、小さな
蟻
(
あり
)
のようなものが、偉大なる材木を仰いだ時は
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
(
その
)
時
(
とき
)
は、
其
(
その
)
下蔭
(
したかげ
)
は
矢張
(
やつぱり
)
こんなに
暗
(
くら
)
かつたが、
蒼空
(
あをぞら
)
に
日
(
ひ
)
の
照
(
て
)
る
時
(
とき
)
も、と
然
(
さ
)
う
思
(
おも
)
つて、
根際
(
ねぎは
)
に
居
(
ゐ
)
た
黒
(
くろ
)
い
半被
(
はつぴ
)
を
被
(
き
)
た、
可愛
(
かはい
)
い
顏
(
かほ
)
の、
小
(
ちひ
)
さな
蟻
(
あり
)
のやうなものが、
偉大
(
ゐだい
)
なる
材木
(
ざいもく
)
を
仰
(
あふ
)
いだ
時
(
とき
)
は
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
蔭
漢検準1級
部首:⾋
14画
“下”で始まる語句
下
下手
下駄
下手人
下谷
下婢
下総
下司
下野
下僕