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鐵車
鐵車は
其樣な
事ではビクともしない、
反對に
獸を
彈飛すと、
百獸の
王樣も
團子のやうに
草の
上を
七顛八倒。
吾等一同はドツと
笑つた。
殆ど
形容の
出來ない
音が
響いて、
炎の
筋を
蜿らした
可恐い
黒雲が、
更に
煙の
中を
波がしらの
立つ
如く、
烈風に
駈𢌞る!……あゝ
迦具土の
神の
鐵車を
驅つて
大都會を
燒亡す
車輪の
轟くかと
疑はれた。
彼方の
山背からぞろ/\と
現はれて
來たが、
我が
鐵車を
見るや
否や
非常に
驚愕いて、
奇聲を
放つて、
向ふの
深林の
中へと
逃げ
失せた。