“失”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
う45.0%
な21.6%
うしな16.0%
なく5.7%
しっ2.5%
しつ2.0%
なくな1.7%
うせ1.1%
うし0.9%
うしの0.5%
うす0.5%
はぐ0.5%
うしなは0.3%
ウシナ0.2%
あやま0.2%
あやまつ0.2%
うしない0.2%
うしなわ0.2%
しな0.2%
そこ0.2%
と0.2%
なくし0.2%
や0.2%
わす0.2%
アヤマ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そのほの暗い車室の中に、私達二人丈けを取り残して、全世界が、あらゆる生き物が、跡方(あとかた)もなく消え失(う)せてしまった感じであった。
押絵と旅する男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「ところで、失(な)くなった絵図面がたった一晩ここへとめられた時、どこにどんな工合に置いてあったか、皆んな知っているだろうな」
けれど斯(か)ふ言ふのが温泉場(をんせんば)へ行(ゆ)く人(ひと)、海水浴場(かいすゐよくぢやう)へ行(ゆ)く人(ひと)乃至(ないし)名所見物(めいしよけんぶつ)にでも出掛(でかけ)る人(ひと)の洒落(しやれ)た口調(くてう)であるキザな言葉(ことば)たるを失(うしな)はない。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
人情の花も失(なく)さず義理の幹も確然(しつかり)立てゝ、普通(なみ)のものには出来ざるべき親切の相談を、一方ならぬ実意(じつ)の有ればこそ源太の懸けて呉れしに
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
人間として着物をつけないのは象の鼻なきがごとく、学校の生徒なきがごとく、兵隊の勇気なきがごとく全くその本体を失(しっ)している。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
……現(げん)に、廣島師範(ひろしましはん)の閣下穗科信良(かくかほしなしんりやう)は——こゝに校長(かうちやう)たる其(そ)の威嚴(ゐげん)を傷(きず)つけず禮(れい)を失(しつ)しない程度(ていど)で、祝意(しゆくい)に少(すこ)し揶揄(やゆ)を含(ふく)めた一句(いつく)がある。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
遊「君の後曳も口ほどではないよ。この間那処(あすこ)の主翁(おやぢ)がさう言つてゐた、風早さんが後曳を三度なさると新いチョオクが半分失(なくな)る……」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
目「なに寒い……当月は八月である、未(いま)だ残暑も失(うせ)せず、夜陰といえども蒸(いき)れて熱い事があるのに、手前は頭巾を被りたるは余程寒がりと見ゆるな」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
蒼白(あをじろ)う、灰(はひ)のやうに蒼白(あをじろ)うなって、血(ち)みどろになって、どこもどこも血(ち)が凝(こご)りついて。見(み)ると其儘(そのまゝ)、わしゃ氣(き)を失(うし)なうてしまひましたわいの。
刈り取られた黍畑や赤はげの小山を超えて、およそ二千メートル後方の仮繃帯場へついた時は、ほッと一息したまま、また正気を失(うしの)てしもた。
戦話 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
神事(じんじ)をはれば人々離散(りさん)して普光寺に入り、初(はじめ)棄置(すておき)たる衣類(いるゐ)懐中(くわいちゆう)物を視(み)るに鼻帋(はながみ)一枚だに失(うす)る事なし、掠(かすむ)れば即座(そくざ)に神罰(しんばつ)あるゆゑなり。
お前(まへ)は眼(め)が開(あ)いてちよいと子柄(こがら)を上(あ)げたよ、本当(ほんたう)にまア見違(みちが)いちまつたよ、一人で来(き)たのかい、なに近江屋(あふみや)の旦那(だんな)を、ムヽ失(はぐ)れて、然(さ)うかい、ぢやア何処(どこ)かで御飯(ごぜん)を食(た)べたいが
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
桟敷(さじき)のこゝかしこに欲然(もえたつ)やうな毛氈(まうせん)をかけ、うしろに彩色画(さいしきゑ)の屏風(びやうぶ)をたてしはけふのはれなり。四五人の婦みな綿帽子(わたばうし)したるは辺鄙(へんび)に古風を失(うしなは)ざる也。
作家(サッカ)ドウシハ、片言満了(ヘンゲンマンリョウ)。貴作(キサク)ニツキ、御自身(ゴジシン)、再検(サイケン)ネガイマス。真偽看破(シンギカンパ)ノ良策(リョウサク)ハ、一作(イッサク)、失(ウシナ)エシモノノ深(フカ)サヲ計(ハカ)レ。「二人(フタリ)殺(コロ)シタ親(オヤ)モアル。」
創生記 (新字新仮名) / 太宰治(著)
然れども同(おなじき)異(ことなること)を別たずして、倶に天皇の勅(みことのり)の随(まま)に、相扶(たす)けて忤(さか)ふること無からむ。若(も)し今より以後(のち)、此(こ)の盟(ちかひ)の如くならずば、身命(いのち)亡(ほろ)び、子孫(うみのこ)絶えむ。忘れじ失(あやま)たじ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
又後(しりへ)よりみの毛を障(さはら)す、熊又まへにすゝむ。又さはり又すゝんで熊終(つひ)には穴の口にいたる。これを視(み)て待(まち)かまへたる猟師(れふし)ども手練(しゆれん)の槍尖(やりさき)にかけて突留(つきとむ)る。一槍(ひとやり)失(あやまつ)ときは熊の一掻(ひとかき)に一命(めい)を失(うしな)ふ。
星は光を失(うしない)て夜暗く、鶯は哀歌を弾じて心を傷(いた)ましむ、富嶽(ふがく)も今は余のものならで、かつて異郷に在りし時、モナドナックの倒扇形(とうせんけい)を見、コトパキシの高きを望みし時
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
... ただ羽が抜けやすくなるとモー直(じ)きに腐るのですからその前食べ頃を失(うしなわ)ないようにしなければなりません」妻君「そう伺(うかが)って始めて分りました。 ...
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
今は堪(た)へ難くて声も立ちぬべきに、始めて人目あるを暁(さと)りて失(しな)したりと思ひたれど、所為無(せんな)くハンカチイフを緊(きびし)く目に掩(あ)てたり。静緒の驚駭(おどろき)は謂ふばかり無く
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この麗(うるはし)き容(かたち)をば見返り勝に静緒は壁側(かべぎは)に寄りて二三段づつ先立ちけるが、彼の俯(うつむ)きて昇(のぼ)れるに、櫛(くし)の蒔絵(まきゑ)のいと能(よ)く見えければ、ふとそれに目を奪はれつつ一段踏み失(そこ)ねて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
たちまち進み来たれる紳士は帽を脱して、ボタンの二所失(と)れたる茶羅紗(ちゃらしゃ)のチョッキに、水晶の小印(こいん)を垂下(ぶらさ)げたるニッケル鍍(めっき)の鏁(くさり)を繋(か)けて、柱に靠(もた)れたる役員の前に頭(かしら)を下げぬ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
自分の家を失(なくし)て了つた己は
都会と田園 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
「失(や)っ張(ぱり)鳴物入で」
雁 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
一一八呆自(あきれ)て足の踏所(ふみど)さへ失(わす)れたるやうなりしが、熟(つらつら)おもふに、妻は既に死(まか)りて、今は狐狸の住みかはりて、かく野らなる宿となりたれば
統道眞傳卷首に聖人自然の眞道を失(アヤマ)る論と題し、劈頭先づ彼の自然觀を述べた句がある。——夫れ自然は始も無く終りも無し。自(ヒト)り感(ハタラ)き他を俟つに非ず、自ら推して至るに非ず。
安藤昌益 (旧字旧仮名) / 狩野亨吉(著)