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失
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しっ
ふりがな文庫
“
失
(
しっ
)” の例文
人間として着物をつけないのは象の鼻なきがごとく、学校の生徒なきがごとく、兵隊の勇気なきがごとく全くその本体を
失
(
しっ
)
している。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかも黙っていて礼を
失
(
しっ
)
しないだけの才能を、彼はもっていなかった。隣席の人をながめるにしても、あまりにじっと見つめるのであった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ゆえにしばらく先生と談話の機を
失
(
しっ
)
したる時に、いつしか趣味の離隔を発見する珍しからず、先生が最も晩年において、有力なる俳人諸氏と
絶対的人格:正岡先生論
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「好いとも、二倍の賞与を出してやる、ついでに、これから俺を山へ
伴
(
つ
)
れて往け、機を
失
(
しっ
)
しないうちに、すぐ実行する」
警察署長
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
よし
今日
(
こんにち
)
よりは以前に
勝
(
まさ
)
る愛心を以て世の憐むべきものを助けん、余の愛するものは肉身においても
失
(
しっ
)
せざりしなり、余はなお彼を看護し彼に
報
(
むく
)
得べきなり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
▼ もっと見る
僕は大いに面目を
失
(
しっ
)
したね。主人公も驚いたが、大工は呆れ返って、『彼の人は何ものですえ?』と訊いた。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
顔色の土気色をしているのと、口と目が釣り合いを
失
(
しっ
)
して、馬鹿に大きいのが目だっていた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
渠は
先刻
(
さき
)
にいかにしけん、ひとたびその平生を
失
(
しっ
)
せしが、いまやまた自若となりたり。
外科室
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お延はニタリと凄い微笑を
泛
(
う
)
かめた。新九郎もさては後の混乱に
紛
(
まぎ
)
れて、手下の者が火を
失
(
しっ
)
したのであろうと思い合せ、あの火焔の底に白骨とされる戸川志摩の死が無意味でなくなったのを欣んだ。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今、西村先生ここに論及せざるものは、けだしこれを
目睫
(
もくしょう
)
に
失
(
しっ
)
するものならん。およそ人の万物に霊たるは、その思慮
考按
(
こうあん
)
のあるゆえんなり。これをもってよく古代の
籕文
(
ちゅうぶん
)
を読み、磨滅の
篆字
(
てんじ
)
を解す。
平仮名の説
(新字新仮名)
/
清水卯三郎
(著)
破蕉龍
(
はしょうりゅう
)
を
失
(
しっ
)
して水仙
玉
(
ぎょく
)
をはらめり
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
ただ前を忘れ後を
失
(
しっ
)
したる中間が
会釈
(
えしゃく
)
もなく明るい。あたかも闇を
裂
(
さ
)
く稲妻の眉に落つると見えて消えたる
心地
(
ここち
)
がする。
倫敦塔
(
ロンドンとう
)
は
宿世
(
すくせ
)
の夢の
焼点
(
しょうてん
)
のようだ。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大杉の
又
(
また
)
日
(
ひ
)
を
失
(
しっ
)
し
蔓手毬
(
つるでまり
)
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
小説類に興味を
失
(
しっ
)
したこの頃の読物としては適当だろうとふと考えついたので、それを
宅
(
うち
)
から取り寄せてとうとう
力学的
(
ダイナミック
)
に
社会学
(
ソシオロジー
)
を病院で研究する事にした。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「またそんなわからずやを云う。こう云う病気は初期が大切だよ。時期を
失
(
しっ
)
すると取り返しがつかないぜ」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一たび機を
失
(
しっ
)
すれば、同じ色は容易に眼には落ちぬ。余が今見上げた山の
端
(
は
)
には、
滅多
(
めった
)
にこの辺で見る事の出来ないほどな
好
(
い
)
い色が
充
(
み
)
ちている。せっかく来て、あれを
逃
(
にが
)
すのは惜しいものだ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
失
常用漢字
小4
部首:⼤
5画
“失”を含む語句
失敗
失策
過失
紛失
失錯
失望
大失策
失笑
失礼
失敬
消失
紛失物
失踪
失禮
喪失
見失
遺失
茫然自失
大失敗
失念
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