“那処”のいろいろな読み方と例文
旧字:那處
読み方割合
あすこ33.3%
あそこ33.3%
いずく16.7%
いづく8.3%
どこ8.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
日光を結構な土地ところと思つたのが間違で、日光には鋳掛いかけ屋の荷物のやうな、ぴか/\した建物があるだけで、那処あすこでは芸術は死んでゐる。
そして最後に宇治の螢を引張り出して、「那処あそこの螢は大きいね。さやうさ、雀よりももつと大きかつたかな。何しろげん頼政の亡魂だといふんだからな。」
神酒をいただきつつ、酒食のたぐいを那処いずくより得るぞと問うに、酒は此山ここにてかもせどその他は皆山の下より上すという。人馬のついえも少きことにはあらざるべきに盛なることなり。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
護法の善神ならぬも無しと申す、御敵やそも那処いづくにかある、詮ずるところ怨親の二つながら空華の仮相、喜怒もろともに幻翳げんねい妄現まうげん、雪と見て影に桜の乱るれば花のかさる春の夜の月が
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
先づ世間の眼からは賢夫人とも呼ばるべき令閨さいくんとの間は、世間の眼には如何でもなく、むし世間体せけんていは至極平和な家庭であるが、此の令閨が理想に勝つてゐる丈け其れ丈け那処どこか情愛が欠けてゐるので
未亡人と人道問題 (新字旧仮名) / 二葉亭四迷(著)