“あそこ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
彼処66.7%
彼處8.8%
彼家5.9%
彼所4.9%
那処3.9%
彼方2.9%
那家2.0%
双鶴館1.0%
府中1.0%
彼地1.0%
彼室1.0%
那處1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一階南側にならんでいる窓が恰も巨大な閘門こうもんのようにおびただしい濁流を奔出させているのであったが、あの小学校が彼処あそこに見えるとすると
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
宿やどかたらないつてふんですがね、ちよい/\彼處あそこるんですつて、いつも、つがひで洒落しやれてるわね。なんでせう。」
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わしが考えますに、先方むこうはあゝ云う奴だから、詫びたってもくまいと思って、私が急いでお知らせ申しに来やしたが、お嬢さまが彼家あそこへ住込む時、虫が知らせましたよ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
標本みほんとしてわたくし彼所あそこ実家さと忠僕ちゅうぼくおよ良人おっとったはなしなりといたしましょうか。格別かくべつ面白おもしろいこともございませぬが……。
『モ少許すこし真摯まじめに考へて見ませう……若しの際、那処あそこに居たのが貴女でなくて別の人だつたらですね、僕は同じ行動ことるにしても、モツト違つた心持でつたに違ひない。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
あの方はお金があるために悪者達に狙われているし、貴郎はあんまり美しい為に私のような悪い女に魅込みこまれたではありませんか——おや、畜生! また彼奴が、彼方あそこから私達を見張っている!
温室の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それより安くても泊めて呉れさうな家が、那家あそこ那家あそこと二三軒心に無いではない。が、重兵衛は何事にまれ此方から頭を下げて他人ひとに頼む事は嫌ひなのだ。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
きょう双鶴館あそこから電話で部屋へやの都合を知らしてよこす事になっていたがお前聞いたか……
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
乾児こぶん衆に担がせ、いくらともなく出張って来、掛け小屋で大きな勝負をやる筈。拙者、明日は早々ここを立って、府中あそこへ参るつもりじゃ
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あそこ——お藤のほか誰も人の知らない彼地あそこへ!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
もうずっと以前からお客様をお入れしない事になっていますので、——と申しますのは、実はく内々のお話なのですが、彼室あそこは『亡霊の部屋』とって、私共仲間でも怖がって近寄らないくらいです
亡霊ホテル (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「會堂が那處あそこに建つ!」と、屹と西山の嶺に瞳を据ゑる。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)