彼所あそこ)” の例文
そしたら彼所あそこを塞ぐことにして今はだ何にも言わんで知らん顔を仕てる、お徳も決してお源さんに炭の話など仕ちゃなりませんぞ。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
標本みほんとしてわたくし彼所あそこ実家さと忠僕ちゅうぼくおよ良人おっとったはなしなりといたしましょうか。格別かくべつ面白おもしろいこともございませぬが……。
彼所あそこで相手は必要なものを注文し移転の日かその翌日……即ち今日だネ配達するように命じて、出かけにあの標札を見たのだ、それには町名が音羽町おとわちょうと記入してあった
誘拐者 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
警察がやかましく、世話役を呼びつけ、彼所あそこをもっと、どうかしろと、棒を出すと、ハイハイといって置いてそのままにして置く。すると、また呼び出される。今度は別の男が行く。
フロックコートの背にいくつもボタンが付いているが、彼所あそこへあんな物を付けたのはどういう訳であろうか、前にはへそがあるから、平均を保つため後に付けたのか、あるいは乳として付けたのか。
教育の目的 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
じいさま、彼所あそこゆる十五、六さいくらい少女しょうじょなんと品位ひん様子ようすをしてることでございましょう。衣裳いしょうしろ羽根はねしろ、そしてしろひもひたい鉢巻はちまきをしてります……。
彼所あそこなんぶか……つまり籠城中ろうじょうちゅうにそなたがかくれていた海岸かいがん森蔭もりかげじゃ。いまでも里人達さとびとたちは、とおむかしことをよく記憶おぼえていて、わざとあの地点ところえらぶことにいたしたらしい……。