“隠”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
かく80.7%
こも4.0%
かくし2.7%
かくれ2.3%
がく2.0%
1.0%
ごも1.0%
いん0.7%
かくま0.7%
ひそか0.7%
かこ0.3%
いた0.3%
かくろ0.3%
かぐ0.3%
かげ0.3%
かば0.3%
ぐも0.3%
こもり0.3%
ひそ0.3%
0.3%
イン0.3%
オン0.3%
ゴモ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ことわるのもめんどうとおもって、ににぎっていた財布さいふを、きゅうにむしろのしたかくして、をつぶってねむったふりをしていたのであります。
善いことをした喜び (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしがここにこもっていれば、世界は暗闇になった筈ではないか? それを神々は楽しそうに、笑い興じていると見える。」
神神の微笑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それはいきな外国人で、靴を穿いて来ましたが、其の靴をぬいでかくしから帛紗ふくさを取出しましたからなんの風呂敷包かと思いますと、其の中から上靴を出してはきまして
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
義人の妝飾そうしょくは「髪をみ金を掛けまた衣〔を着〕るがごとき外面の妝飾にあらず、ただ心の内のかくれたる人すなわちやぶることなき柔和にゅうわ恬静おだやかなる霊」
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
手紙偽造の共謀者はその前から見えがくれに様子をうかがうて居た所が、本人の手塚は一人ひとりしきりにその手紙を見て居る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
忘れちゃ困るぜ、私をくしてくれたのはお神さんじゃないか、——まア宜いや、あの話の様子じゃ、白山はどう考えても穏やかな山じゃねエ。
天保の飛行術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
み身ごもり雲がくります山の襞また現れて事なきごとし
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
伯夷叔斉はくいしゅくせい太公たいこうも群衆に逆らった心の独立はみすべきであるが、もし二人の兄弟が武王ぶおうに反対して、ひそかに出版物をき散らしたり、あるいはいんに徒党を組んだり
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
揉むには当らぬ。お前の事は初手しょてからいわば私が酔興すいきょうでこうしてかくまって上げているの故、余計な気兼きがねをせずと安心していなさるがいい。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
少年達はひそかに笑いあった。その時試験官はれた題では受験者が前人の文章を模倣するの弊があると思って、つとめて変った題を出した。その題は皆孫の作った文章に符合していた。
阿宝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
永禪和尚とお梅と間男をして居りみして、七兵衞がっては邪魔になるというて、とゝまの七兵衞を薪割で打殺ぶちころし、本堂のいんの下へかこしたところが、われえ事は出来でけぬものじゃなア、心棒が狂いまごうたから
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
〈王もしその罪なくして死地に就くをいたまばすなわち牛羊何ぞ択ばん〉といえるにてその意明らけし。
言ひ消たれ給ふとがおほか※なるに、いとどかかる好色事すきごとどもを、末の世にも聞き伝へて、軽びたる名をや流さむと、忍び給ひけるかくろへ事をさへ、語り伝へけむ人の物言ひさがなさよ。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
また思ふ釣船の海人あまの子を、巌穴いはあなかぐろふかに
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
「手前の後をけて来て、勝手口の方から裏へ廻った奴があるから、月を眺めるような顔をして、縁側から覗くと、戸袋のかげから、刀の小尻こじりが二本」
姫を背後うしろかばうと見るやキラリと太刀を引き抜いた。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
さよばひにが来ればたなぐもり雪は降り来ぬ、さぐもり雨は降り来ぬ、つ鳥、きぎすはとよむ、家つ鳥、かひも鳴く。
浮標 (新字旧仮名) / 三好十郎(著)
またはいかにもさび沼とか浅芽あさめ沼とかこもり沼とか言はれさうな沼が、夢の中で見た不思議なシインか何ぞのやうに私の前にあらはれて来たからである。
ある日の印旛沼 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
故にいやしくも粋を立抜かんとせば、文里がなびかぬ者を遂に靡かす迄に心をひそかに用ひて、而して靡きたる後に身を引くを以て最好の粋想とすべし。
ひとりコノ筆録一友人ノ許ニ託ス。因テ免ルヽコトヲ得タリ。コレヲ篋衍きょうえんニ蔵ス。南郭子なんかくし纂ノ言ヘルアリ。今ノル者ハ昔ノ几ニ隠ル者ニ非ズト。一隠几いんきノ間ニシテナホ然リ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
リョウ、乱世ニ生レテ、身ヲ農迹ノウセキインス所ニ、先帝三顧ノ恩ヲウケ、孤子ヲ託スルノ重キヲコウムル。コレニヨリテ、不才、犬馬ノ労ヲ尽シ、貔貅ヒキュウノ大軍ヲ領シテハ、六度、祁山キザンノ陣ニ出ヅ。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで、女を洒落しゃれにオニ(オン)と言い、美しい女ほどオニになりたがる。オニ籠れりということは、美しい女がいるという平安朝の洒落であったということです。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
併しもう一代古い処では、とこよが常夜トコヨで、常夜トコヨく国、闇かきクラす恐しい神の国と考へて居たらしい。常夜の国をさながら移した、と見える岩屋戸ゴモりの後、高天原のあり様でも、其俤は知られる。
妣が国へ・常世へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)