ある日の印旛沼あるひのいんばぬま
私達は茣蓙を持つたり、煙草盆を持つたり、茶器を携へたりして、午前の日影のをりをり晴れやかに照りわたる間を土手の方へと行つた。水田の中では水鶏の声が頻りにきこえた。 『コ、コ、ココ、コ、コ』 いかにも水に近い感じであつた。沼はまだそれと見えて …